スキルゲ

チョーカー

ピンクのネゴシエイター

 次の日、ファーストフード店にて。

 「で?私に要件ってなんなの?」
 「実はカクカクシカジカで」
 「はぁ?馬鹿にしてんの?」
 「いや、冗談やがな!オオサカンジョークやで」

 今日は、この辺りの顔役的な人を交渉をする予定だったのだが‥‥‥。
 すごいのが来ちゃった。
 高いレベル、多くの人脈を持つ人物。一体、どんな強者が現れるのか?そんな不安をよそに、現れたのは女子高生だった。ただし、普通に女子高生とは言い難い。
 意志が強そうで凛とした表情。間違いなく美人の部類に入るだろう。なんとなく、カリスマ性というものを感じてしまう。
 たが、それ以上に目を引いたのは彼女の髪だった。綺麗に染められた、長く腰の位置まである髪。
 問題は髪の色だ。彼女の髪はピンク色に染められていた。

 ピンク色。ピンク髪。

 アニメやゲームなら、目にする事が多い髪の色かもしれないが、実際にピンク色の髪を見ると違和感というか、見ていると不思議な不安感が湧き上がってくる。
 しかも、晴人の赤髪とセットで目立っている。

 「つまり、殺人犯がいて、警察じゃ役に立たないから手を貸せと?」
 「かいつまんで言うとそういう事やけど、身も蓋もない言い方やね」

 その後、彼女は黙り込んで長考に入った。
 10分くらいが経過したくらいだろうか。

 「とりあえず、あなたのレベルは?」

 急に彼女は、晴人に向けて訪ねた。

 「74やけど、それが何か?」
 「モンスターと戦うだけで日常を過ごすには高すぎる。かと言って、高みを目指すとか、スキルで好き放題したいって層にしては、低すぎる。中途半端なレベルなのは、急激なレベル上げしたのかしら?あなた、この街に来る前に何かあったって感じ?」
 「最近のハイレベル様はプロファイリングも必要なのですか?大変ですね。心に土足で入り込むと嫌われますよ?」

 晴人が標準語になってる。やばい、ブチキレモードだ。

 「レベルがおメガネにかなわないなら、試してみますか?レベルが低いから弱い。高いから強い。戦いは、そんな単純なものではないと思い出させてあげますよ?」

 緊張の糸が張り詰める。何かあれば、この場でも戦うつもりなのだろう。両者ともに。

 「ふふっふ‥‥‥ブァアァハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ」
 「あは‥‥‥アハアハアハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ」

 いきなり、派手は2人が店内で大声で笑い始めたのだ。従業員を含め、店内にいた全員が注目している。正直、帰りたい。

 「あぁ、笑った。笑った。いいわよ」
 「へっ?」
 「次の日曜日、この場所で街の有力者に集合をかける。ここで話した内容をもう一度しなさい。私は、探索系スキル持ちによる調査隊の編成を提案するわ。あなたも調査隊に立候補しなさい。それと 」

 言葉を切って、僕の方へ視線をむける。そのまま、体ごと顔を近づけてくる。
 思わず、体を仰け反ると、彼女は僕の顔に触れるように手を伸ばした。

 「あなた、可愛い顔をしてるわね。実を言うと、最初に見た瞬間に気に入っちゃった。一目惚れって初めてだわ」

 彼女の手から逃げようと、更に体を反らして、椅子から転がり落ちた。
 それを見た彼女は、表情を崩し、年頃の女の子のような笑顔を見せた。

 「無口なあなたに免じて、この赤髪の事を信じてあげるわ」

 そう言うと、席を立ち店を出て行く。その途中で急に振り向き。

 「私の名前は藤川。藤川艶子。これからよろしくね」

 最後に自己紹介をして、さらに投げキッスを飛ばして店を出て行った。

 呆然とする僕を見て

 「お前って変な女にモテる体質みたいやな」

 そんな晴人の感想が聞こえてきた。

 

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品