スキルゲ
現実と虚構
放課後、場所は滝川邸。
「あ~、メンドくさい」 そう言うと、晴人は家に着くなり、包帯を取り外し、松葉杖をほおり投げた。
「大丈夫なの?その怪我?」
「大丈夫なもんか。全身が軽い打ち身に打撲に捻挫状態やで。あとは擦り傷か」
「症状だけ聞くと大丈夫そうなのに、全身レベルだと重症ぽい!」
「鍛え方が違うからな。あとで自慢のトレーニングルームでも見るか?」
この家、専門のトレーニングルーム完備なのかい。 一体、どのくらいのお金で購入したんだろ?
「さて」と気を取り直して本題へ入る空気に変わった。
「怪我は全く問題がない。今日からでも復帰や。」
「全治1日か。それはそれは、退院おめでとう」
「が、問題が1つ出てきた」
「問題?」
「あの巨大スライムの事や。ボス化現象。あの時、少しだけ説明したやろ?」
確かに、そんな事を言ってた気がする。なんだったけ?モンスターもレベルがあがるって話だったのは覚えているけど。
「モンスターのレベルが上がる原因は覚えてるか?あの時の場合は、レベルの高い人間が殺されたって可能性を話したよな?」
「そうだったな」 重い空気が流れる。
あの時は現実感がなく、軽い受け答えをしていたが、誰かの死が僕らの前にあったんだ。
もしかしたら、僕らも死んでたかもしれないのに、現実感はおぼろにしか感じられなかったのだ。
「ここで不思議なことがあるんやけど。なんでハイレベルの人間が低レベルのスライムに殺されていたかってことや?」
晴人の言葉に、うまく頭が回らなかった。
『なんで、スライムに殺されていたのか?』
僕は、全く考えもしていなかったのだ。
「いくらスライムが低レベルモンスターって言っても、普通の人間に取って致死量の攻撃をしてくるわけだろ? 逆に言えば、レベルが高くても不覚を取りかねないって事なんじゃ?」
「いや、ありえへんな」晴人は僕の言葉をあっさりと否定した。
「この世界で重要なのは、攻撃スキルよりも防御スキルや。回復スキルのアイテムもないんやかな。ハイレベルなら、強い防御スキルを常時展開しててもおかしくない。でも死んだ。おかしいやろ?」
「すまないが、僕の頭じゃ話について行くだけで一杯一杯だ。つまりはどういうことなんだい?」
しばらくの沈黙。晴人から、何か説明したくないような雰囲気が感じられる。
さらにしばらくの沈黙。意を決したように晴人から放たれた言葉は、僕に深い衝撃を刻んだ。
「誰かが誰かを罠に嵌めて、瀕死状態でスライムに食わせた。俺はそう考えている」
「そ、それじゃ殺人じゃないか」
「ゲームで言うPK行為。言わえるプレイヤーキルを現実世界でやろうとしてる奴がおる可能性があるんや」
「なんでも、かんでもゲームで喩えるな!」
気がつくと僕は大声で叫んでいた。晴人が悪いわけじゃないとわかってるはずなのに。
「あ~、メンドくさい」 そう言うと、晴人は家に着くなり、包帯を取り外し、松葉杖をほおり投げた。
「大丈夫なの?その怪我?」
「大丈夫なもんか。全身が軽い打ち身に打撲に捻挫状態やで。あとは擦り傷か」
「症状だけ聞くと大丈夫そうなのに、全身レベルだと重症ぽい!」
「鍛え方が違うからな。あとで自慢のトレーニングルームでも見るか?」
この家、専門のトレーニングルーム完備なのかい。 一体、どのくらいのお金で購入したんだろ?
「さて」と気を取り直して本題へ入る空気に変わった。
「怪我は全く問題がない。今日からでも復帰や。」
「全治1日か。それはそれは、退院おめでとう」
「が、問題が1つ出てきた」
「問題?」
「あの巨大スライムの事や。ボス化現象。あの時、少しだけ説明したやろ?」
確かに、そんな事を言ってた気がする。なんだったけ?モンスターもレベルがあがるって話だったのは覚えているけど。
「モンスターのレベルが上がる原因は覚えてるか?あの時の場合は、レベルの高い人間が殺されたって可能性を話したよな?」
「そうだったな」 重い空気が流れる。
あの時は現実感がなく、軽い受け答えをしていたが、誰かの死が僕らの前にあったんだ。
もしかしたら、僕らも死んでたかもしれないのに、現実感はおぼろにしか感じられなかったのだ。
「ここで不思議なことがあるんやけど。なんでハイレベルの人間が低レベルのスライムに殺されていたかってことや?」
晴人の言葉に、うまく頭が回らなかった。
『なんで、スライムに殺されていたのか?』
僕は、全く考えもしていなかったのだ。
「いくらスライムが低レベルモンスターって言っても、普通の人間に取って致死量の攻撃をしてくるわけだろ? 逆に言えば、レベルが高くても不覚を取りかねないって事なんじゃ?」
「いや、ありえへんな」晴人は僕の言葉をあっさりと否定した。
「この世界で重要なのは、攻撃スキルよりも防御スキルや。回復スキルのアイテムもないんやかな。ハイレベルなら、強い防御スキルを常時展開しててもおかしくない。でも死んだ。おかしいやろ?」
「すまないが、僕の頭じゃ話について行くだけで一杯一杯だ。つまりはどういうことなんだい?」
しばらくの沈黙。晴人から、何か説明したくないような雰囲気が感じられる。
さらにしばらくの沈黙。意を決したように晴人から放たれた言葉は、僕に深い衝撃を刻んだ。
「誰かが誰かを罠に嵌めて、瀕死状態でスライムに食わせた。俺はそう考えている」
「そ、それじゃ殺人じゃないか」
「ゲームで言うPK行為。言わえるプレイヤーキルを現実世界でやろうとしてる奴がおる可能性があるんや」
「なんでも、かんでもゲームで喩えるな!」
気がつくと僕は大声で叫んでいた。晴人が悪いわけじゃないとわかってるはずなのに。
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