スキルゲ

チョーカー

あの日のよる3

 回復方法がない。
 僕は例のスライムを思い出していた。
 複数の触手からムチのような攻撃。あれを喰らったら死ぬんじゃないの?

 「えっと、あのスライムってレベル1だよね?あの時点で勝てる気がしないんだけど」
 「レベル1でもモンスターだからなぁ。そりゃ強いわな。ただ、勝てるように攻略法はあるんやで」
 「攻略法!?それを詳しく。詳しく。」
 「いや、単純に攻撃パターンがあるから、慣れれば余裕で勝てるで?」
 「慣れる前に死ぬ!」

 こっちは必死なんだが、笑いのツボにハマったらしく、晴人は笑い転げてた。
 殴ってやろうか・・・・・・。

 「心配せんでも、攻撃で狙ってくる場所もパターン化されとるんやで。戦う前に鉄板でも仕込んでたら死ぬことはないわ。腐ってもレベル1ってことやな」

 その言葉でようやく安堵のの胸をなでおろす。腐ってもの使い方に突っ込むのはやめといてあげよう。

 「でも、スライム以外のモンスターもいるんでしょ?回復がなくても本当に大丈夫なの?」
 「危険だからと言ってもどうしょうもないやん。最初に言ったけど、これから生き続けていくには強くなるしか方法がない。人間やって原始時代は武器と知恵で猛獣を逆に食らってきたんや。俺らにも同じ事ができんことはない」
 「そういうものかな?」
 「そういうもんや。それに街中でいきなり強いモンスターに襲われる事なんて、まずないから安心せいや」
 「え?なんで?」

 最初の街の周辺のモンスターは弱いってゲームにはよくある話だけど、この世界でも同じなのかな?
 と考えていたが違うみたいだった。

 「単純に強いモンスターは簡単に討伐されるからや」
 「強いのに?なんで簡単に討伐されるんだ?」
 「シャレにならんレベルのモンスターでも数の暴力にはかなわへんよ。ヤバイレベルのモンスターが現れたら、とんでもない数の集団で排除しようとする。いわゆる決死隊って奴やね」
 「ん?いや、アレ?僕らみたいにモンスターと戦ってる人ってそんなにいるの?」
 「正確な人数はわからんが、コミュニティみたいなもんは、あちらこちらで見てきたで」

 なるほど、僕らみたいな人はたくさんいるのか。その事実は僕を勇気づけた。

 「ところでケンジン」
 「お前は、ケンジン言うな」

 昨日、会ったばかりなのにあだ名は早いよ。と言うか、ゆうだけが使ってるあだ名だし。

 「今日は、この後どうする?」

 ん?どういう意味だろ? 
 時計を見ると、思ってた以上の時間が経過していた。

 「この後って?普通に帰るつもりだけど?」
 「ほう、勇気があられるようで」

 ??? なにが言いたいのよくわからない。

 「今日、普通に家に帰ってモンスターに襲われたらどうすんの?」
 「!? 全く、考えてなかった!」
 「晩飯と夜食代だけくれたらボディガードを受けてもいいで。2000円やけど」

 ぬぐぐぐ 僕は仕方なく財布の中身を確認した。

   

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