これは、皆も知っているテディベアのお話
第16話、ロシア王女の愛したアルフォンゾ
こんばんは~‼
今日はクリスマスイブ‼
この日は家族と静かに……あれ?違うの?
あ、そうか、日本は宗教色が薄いんだね。
で、皆でわぁっと騒ぐ人もいるんだ。
だから、町は賑やかなんだね。
僕たちの生まれたヨーロッパでは家族とキリストの誕生日の前日だから、そんなにおおはしゃぎはしないよ。
静かなときを楽しむんだ。
じゃぁ、今日は僕たちの兄弟、アルフォンゾを紹介するよ。
アルフォンゾは、1908年にロシア大公ジョージ・ミハイロヴィッチが、娘のエクセニア・ジョージェヴィナ王女のためにシュタイフ社に依頼したテディベアなんだ。
ちなみに、ロシア語と英語では呼び方が違うの解るよね?
だから、僕が伝えている名前は、インターネットや本によっては違ってくるんだ。
ごめんなさい。僕、ロシア語とフランス語はどうしても苦手。
ん?
今日は大人しくしてるな~と思ってたのに、横から、
「はーい‼」
はい、何ですかー?
「国語、漢文、古文は上位ですが、英語で9点取りました~‼」
……えっと、いつの?
「高校三年生の二学期に入ってすぐのテストでっす‼だって、夏休みほとんどなくて、宿題もできなかったし~。補習が増えた~ので、余計に英語がダメになったよ」
自慢できることじゃないでしょ……。
って、ジトーって見たら、
「でも、英語は耳で聞くと良いんだなぁ……と最近思うよ。英語さえ覚えて喋れていれば、世界中ある程度行けるもんね……もうちょっと頑張るべきだったかも。で、中国語は書くコツは解ってきたんだけどpinyinはね……」
あ、pinyinって言うのは、別名『四声』って書くんだ。
中国語の独特の言葉の音の上下を示すんだよ。
「もうちょっと頑張って、まずは四川省に行きたいな~‼大熊猫‼」
ハイハイ、パンダね。
pinyin発音違うよ~?
「うぅぅ……喋れるようになるもん‼」
ハイハイ頑張って。
あ、拗ねた。
まぁいいよね。
じゃあ、続きだよ?
大公から贈られたのは、さび色がかった赤いモヘアのテディベア。
エクセニア王女は、大好きなお父さんから貰った兄弟にアルフォンゾって名前をつけるんだ。
でね?ロシアの民族衣装を着せるんだよ。
オレンジ色で首の回りと手の回り、足の回りは白い、短い丈の上着の。
素敵だよね。
僕だったら、その色似合わないだろうなぁ……。
エクセニア王女は1914年にイギリスのバッキンガム宮殿に行くんだけれど、その時も『王室関係者』と言う身分で着いていったんだって‼
うわぁ、身分証がついたのかな?名札?
って、言っている訳にはいかなくなったんだよ。
第一次世界大戦が勃発して、ロシアに帰れなくなっちゃうんだ。
そして、その後起きたロシア革命で、お父さんや親族が亡くなっちゃうんだ。
ひとりぼっちで残された王女……でも、ただひとりそばにいてくれる存在がいた。
それがアルフォンゾだったんだよ。
大好きだったお父さんのくれた宝物……国はなくなり、家族もいない……心の支えだったんだ。
1965年に王女が亡くなってからも、王女の娘さんと一緒に過ごしてきたんだけれど、そのままではアルフォンゾに環境が良くないと、1989年5月に行われたクリスティーズのオークションで当時の世界記録の12100ポンド(19800ドル)で、「テディ・ベアズ・オブ・ウィットニー」のイアン・パウトさんの元に行くことになったんだ。
えっと、ポンドやドルって言う単位は、時代時代によって違うんだけど、確か、当時の日本円で500万円位だよ。
テディ・ガールはその後更新されたから当時の最高価格‼
すごいよね。
でも、悲しくはないけれど、切なくなるのは、翌年、シュタイフ社でレプリカが発売されているんだけれど、その違い。
レプリカはキリッとしていて、昔の当初のアルフォンゾを忠実に再現していて、左耳にはオリジナルにはないボタンに白いタグで黒い印刷が書かれている。
でも、本物は、全体的に手先や足の裏がほつれていて、中には昔から伝統の木毛がちらっと見えるところもある。
服も色褪せているし……。
だけど、僕が引き寄せられたのは、ほつれたお鼻の刺繍と、その回りの赤い毛が少ない。
……ハゲって言ったら駄目だよ?
僕たちだって気になるんだからね。
ファッションセンスだって流行に敏感だよ?
それはね?エクセニア王女が、いつも傍にいてくれるアルフォンゾに、今はいないお父さんたちの代わりにキスをしていたからなんだ。
寂しいとき、悲しいとき、苦しいとき……嬉しいとき、エクセニア王女はアルフォンゾに数限りなく、キスをしてきたんだ。
それだけ愛された証拠があるなんて、人間の勲章よりも、もっと素晴らしいと思うよ。
羨ましいなぁ……。
僕を愛してくれる人は、いるのかな……?
じゃぁ、今日はクリスマスイブ。
良い夜を……。
明日は、サンタクロースがプレゼントを持ってきてくれるよ‼
今日はクリスマスイブ‼
この日は家族と静かに……あれ?違うの?
あ、そうか、日本は宗教色が薄いんだね。
で、皆でわぁっと騒ぐ人もいるんだ。
だから、町は賑やかなんだね。
僕たちの生まれたヨーロッパでは家族とキリストの誕生日の前日だから、そんなにおおはしゃぎはしないよ。
静かなときを楽しむんだ。
じゃぁ、今日は僕たちの兄弟、アルフォンゾを紹介するよ。
アルフォンゾは、1908年にロシア大公ジョージ・ミハイロヴィッチが、娘のエクセニア・ジョージェヴィナ王女のためにシュタイフ社に依頼したテディベアなんだ。
ちなみに、ロシア語と英語では呼び方が違うの解るよね?
だから、僕が伝えている名前は、インターネットや本によっては違ってくるんだ。
ごめんなさい。僕、ロシア語とフランス語はどうしても苦手。
ん?
今日は大人しくしてるな~と思ってたのに、横から、
「はーい‼」
はい、何ですかー?
「国語、漢文、古文は上位ですが、英語で9点取りました~‼」
……えっと、いつの?
「高校三年生の二学期に入ってすぐのテストでっす‼だって、夏休みほとんどなくて、宿題もできなかったし~。補習が増えた~ので、余計に英語がダメになったよ」
自慢できることじゃないでしょ……。
って、ジトーって見たら、
「でも、英語は耳で聞くと良いんだなぁ……と最近思うよ。英語さえ覚えて喋れていれば、世界中ある程度行けるもんね……もうちょっと頑張るべきだったかも。で、中国語は書くコツは解ってきたんだけどpinyinはね……」
あ、pinyinって言うのは、別名『四声』って書くんだ。
中国語の独特の言葉の音の上下を示すんだよ。
「もうちょっと頑張って、まずは四川省に行きたいな~‼大熊猫‼」
ハイハイ、パンダね。
pinyin発音違うよ~?
「うぅぅ……喋れるようになるもん‼」
ハイハイ頑張って。
あ、拗ねた。
まぁいいよね。
じゃあ、続きだよ?
大公から贈られたのは、さび色がかった赤いモヘアのテディベア。
エクセニア王女は、大好きなお父さんから貰った兄弟にアルフォンゾって名前をつけるんだ。
でね?ロシアの民族衣装を着せるんだよ。
オレンジ色で首の回りと手の回り、足の回りは白い、短い丈の上着の。
素敵だよね。
僕だったら、その色似合わないだろうなぁ……。
エクセニア王女は1914年にイギリスのバッキンガム宮殿に行くんだけれど、その時も『王室関係者』と言う身分で着いていったんだって‼
うわぁ、身分証がついたのかな?名札?
って、言っている訳にはいかなくなったんだよ。
第一次世界大戦が勃発して、ロシアに帰れなくなっちゃうんだ。
そして、その後起きたロシア革命で、お父さんや親族が亡くなっちゃうんだ。
ひとりぼっちで残された王女……でも、ただひとりそばにいてくれる存在がいた。
それがアルフォンゾだったんだよ。
大好きだったお父さんのくれた宝物……国はなくなり、家族もいない……心の支えだったんだ。
1965年に王女が亡くなってからも、王女の娘さんと一緒に過ごしてきたんだけれど、そのままではアルフォンゾに環境が良くないと、1989年5月に行われたクリスティーズのオークションで当時の世界記録の12100ポンド(19800ドル)で、「テディ・ベアズ・オブ・ウィットニー」のイアン・パウトさんの元に行くことになったんだ。
えっと、ポンドやドルって言う単位は、時代時代によって違うんだけど、確か、当時の日本円で500万円位だよ。
テディ・ガールはその後更新されたから当時の最高価格‼
すごいよね。
でも、悲しくはないけれど、切なくなるのは、翌年、シュタイフ社でレプリカが発売されているんだけれど、その違い。
レプリカはキリッとしていて、昔の当初のアルフォンゾを忠実に再現していて、左耳にはオリジナルにはないボタンに白いタグで黒い印刷が書かれている。
でも、本物は、全体的に手先や足の裏がほつれていて、中には昔から伝統の木毛がちらっと見えるところもある。
服も色褪せているし……。
だけど、僕が引き寄せられたのは、ほつれたお鼻の刺繍と、その回りの赤い毛が少ない。
……ハゲって言ったら駄目だよ?
僕たちだって気になるんだからね。
ファッションセンスだって流行に敏感だよ?
それはね?エクセニア王女が、いつも傍にいてくれるアルフォンゾに、今はいないお父さんたちの代わりにキスをしていたからなんだ。
寂しいとき、悲しいとき、苦しいとき……嬉しいとき、エクセニア王女はアルフォンゾに数限りなく、キスをしてきたんだ。
それだけ愛された証拠があるなんて、人間の勲章よりも、もっと素晴らしいと思うよ。
羨ましいなぁ……。
僕を愛してくれる人は、いるのかな……?
じゃぁ、今日はクリスマスイブ。
良い夜を……。
明日は、サンタクロースがプレゼントを持ってきてくれるよ‼
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