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悠久のアトランティス

夙多史

第01話 プロローグ

 その瞬間、大地を揺るがす巨大な時空の歪みが、各『世界』で発生した
 そして、世界は大きく二種類に分かれることとなる。
 すなわち、歪みの意味を特定した世界と、そうではない世界。
 特定できなかった世界はただの巨大地震だと思っただろう。
 だが、特定した世界は声を揃えて同じことを言う。

 古代の超文明――《アトランティス》が復活したのだと。

 あらゆる世界に《アトランティス》に関するなにかしらの伝説がある。全能の神ゼウスの怒りに触れ海底に沈められた都市、過ぎた力に自らを焼いてしまった国、一万二千年以上前に消えた幻の大陸、はたまた『世界』そのものだという世界もある。残された伝説は各世界によりバラバラだ。
 しかし、それらの伝説には共通していることもあった。
 それは――

《アトランティス》が復活した時、彼の地は人々を、『王』を求めるということである。

        †

 とある貧しい世界は、《アトランティス》の超文明を用いて貧困を打破しようと考えた。そのために、最も知力のある者を代表に選抜した。
 その者は、利用するために《アトランティス》に乗り込んだ。

 とある戦争の盛んな世界は、《アトランティス》の絶対的な力を手に入れたいと願っていた。そのために、最も体力のある者を代表に選抜した。
 その者は、全ての頂点に立つために《アトランティス》に乗り込んだ。

 とある豊かな世界は、《アトランティス》を我が物にするのではなく、協力関係を築こうと動いていた。そのために、最も社交的かつ統率力のある者を代表として選抜した。
 その者は、国交を深めるために《アトランティス》に乗り込んだ。

 とある恐怖によって支配されている世界は、《アトランティス》も同様に支配下に置こうと企てていた。そのために、最も魔力のある者を代表として選抜した。
 その者は、失敗すると殺される恐怖に怯えながら《アトランティス》に乗り込んだ。

 とある他世界の事情に詳しい世界は、《アトランティス》を脅威の存在だと看做した。故に、確実に彼の地を排除できるだろう者を執行者として派遣した。
 その者は、再び滅ぼすために《アトランティス》に乗り込んだ。

        †

 彼の地は強力な結界に守られている。その結界を抜けるためには、三つの条件を満たす必要があった。

 一つ、一つの世界につき一人のみであること。
 二つ、二十歳未満の未来ある若者であること。
 三つ、自らの世界を深く愛する者であること。

 だが、それらの制約は意図的に結界を抜けようとした場合に限る。つまり、先の歪みの意味を知り、彼の地の出現に気づいた世界にのみ制約がかかるということだ。
 彼の地の出現に気づかなかった世界からは、《アトランティス》が最も王の資質のある者を選び招き入れることとなる。
 その者は、なにも知らないまま《アトランティス》に乗り込んだ。

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