ダークエルフさん、俺の家で和まないでください! ~俺はガチャを回しただけなのに~

巫夏希

第三十二話 世界の秘密を知りましょう(前編)

「この世界とリアライズ世界では別々のルールが備わっており、それらが中和することは先ず有り得ません。即ち、その世界に存在している人間が別世界へ移動したとき、定義が書き換えられてしまい、結果として何も生み出さなくなります。簡単に言えば、その身体を維持出来なくなる……と言えばいいでしょうか」

 レティーナの話を要約すると、本来ならばレティーナやメイルのような存在はこの世界に実体として保つことができない、ということなのかな。
 ならば、どうして姿を保つことが出来るのか。その答えははっきりとしていた。

「まあ、もう理解しているとは思いますが、答えは簡単ですよ。リアライズマスターがリアライズ世界とこの世界を繋いでいるのですよ。もちろん、ゲートに比べればその力は少ないものではありますが……。いずれにせよ、リアライズマスターが居なければ私たちはこの姿を保つことは出来ない。だからこそわたしは感謝しているのですよ、彼女には」

 そう言ってレティーナは隣に座っている少女に手を添える。

「そう言われちゃうと照れちゃうなあ……。あ、私の名前は上崎エレナ。本名はエレナ=バートン=上崎なんだけど、長ったらしいからこれで。よろしくね」

 よろしくね、とは随分馴れ馴れしい。絶対年齢は低いと思うのだけれど。
 まあ、子供の発言だ。あまり社会常識を知らないのかもしれない。それに、ここで怒りに任せるのははっきり言って得策じゃない。

「それはそれとして……これからどうするつもりですか?」

 私は、一応レティーナに訊ねた。メイルに聞くと結構な確率で、この世界も占領してやる! と言いかねないからね。仕方ないね。信頼されていないというのはそういうものだからね。
 レティーナは咳払いして、

「ええ。よく聞いてくれました。簡単なことですよ。この世界とリアライズ世界を繋ぐゲートを再び開きます。今は閉じかけてしまっている状態ですが、リアライズ世界から来た私たちが魔法を使えば簡単に開くことが出来るはずです。まあ、それでも結構な人数が必要になりますが」


 ◇◇◇


 俺たちの話も佳境を迎えていた。……こう言うと何か別の場所でも話があったように見えるが、残念ながらそんなことは知らない。はっきり言ってしまえば、第三の壁というやつだ。

「……つまり、リアライズ世界へのゲートは今閉じている状況にあるということか?」

 言ったのはルイスだった。
 マリアはそれを聞いて笑みを浮かべ、大きく頷いた。

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