ダークエルフさん、俺の家で和まないでください! ~俺はガチャを回しただけなのに~

巫夏希

第三十話 話し合いをしましょう 4

「……なんというか、隣が騒がしいな」
「あら。そう? 別にお客さんが来ているだけじゃないの。私としては安心しているけれど、お隣さんに友達が居た、ってことになるのだから。いつも一人で出歩いている姿しか見たことないから、もしかしたら天涯孤独じゃないかって思っていたくらいだし」

 私はプリンを食べながら、メイルの話を聞いていた。
 メイルはすっかりこの世界に馴染んでしまったようで、私としても大変有り難いことだった。
 そんな時だった。私の部屋の玄関のチャイムが鳴ったのは。

「何だ、また何か買ったのか?」
「インターネットで買ったのは確かだけれど、今日届く予定のものはなかった筈だよ? まあ、たぶんガスの検針とかじゃないかな? もしかしたら受信料かも」

 そう言って私はちょこっと恰好を確認して(女の子だからね。それくらいきちんと確認しておかないと。身だしなみ、大事!)、外に出た。
 そこに居たのは、ジャケットにショートパンツを履いた女の子だった。黒と白のボーダーのハイソックスを履いていて、ブーツを履いている。

「大槻レナさん……で良かったかな? ちょっとこの子が、用事があるみたいで」

 隣にいる白のローブを着けた金髪の女の子がむすっとした表情でこちらを向いた。

「魔王、メイル様にお会いしたい。ここに居ることは知っている」

 それを聞いて、私は顔面蒼白になった。
 なぜ彼女はここにメイルがいることを知っているのだろうか? 魔王陣営? 勇者陣営? まあ、いずれにせよ、彼女がリアライズ世界からやってきたというのは間違いなさそうだ。
 ジャケットの女の子の話は続く。

「ごめんなさいね。ちょっと話がついていけないかもしれないのだけれど。彼女は神官レティーナ。あなたも『クイズと魔法のリアライズ』をプレイしていたのならば知っているのではないかな。世界のすべてを見通すことのできた、魔王軍の精鋭」
「おお! レティーナではないか!」

 背後からメイルの喜んでいる声を聴いて私は振り返る。どうやら玄関での会話が聞こえていたようだった。
 とにかく、こんなところで話す内容では無いことは明らかだった。
 そうおもって私は一先ず彼女たちを家の中に案内することとした。


 ◇◇◇


「それにしてもまさかレティーナもこの世界に来ているとはなあ」

 そう言ってメイルはお茶を啜った。どうやらこの魔王、自分でこの世界にきておいてまったく誰が来たのか理解していないらしい。なんというか、思い付きでこの世界に来たのか、と思ってしまうくらいだ。
 対してレティーナは溜息を吐き、

「まったく。魔王様の考えにはほとほと呆れますよ。ゲートを作って、この世界と私たちの世界を繋げて。挙句、どうなさるつもりですか? まさか、リアライズマスターを潰すおつもりで?」
「何だ。分かっているではないか。協力してくれるな?」

 メイルの発言にレティーナは再び溜息を吐く。
 どうやらいつもこのようなメイルの発言に振り回されているようだった。心情、お察しします。

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