この異世界は小説でできています
Page.23 旧校舎に潜む闇③
旧校舎にある意味閉じ込められた僕達は、校舎を徘徊する何かを退治する為に作戦を練る事にした。
「とりあえずユーリティアが特攻役」
「特攻役って何ですか?! 死ぬんですか私」
「大丈夫、骨は拾うから」
「そういう問題じゃないですよ!」
そんな冗談はさておき、どうやら旧校舎を徘徊する何かは単体ではなく複数いるらしく、今後の学校の安全の為にもここで片付けておきたいらしい。
「でも私達がこうしている間にも、外に出る危険性だってあるんじゃなですか?」
「その辺はアッちゃんがしっかりとしているから心配ないわよ。ただ問題が一つあるとしたら、それがいつまでも続かない事かしら」
「私の魔力も有限」
「つまり速やかに倒さないといけない、という事ですか」
僕自身まだ戦闘にはそこまで慣れていない点から考えると、それって結構難易度が上がっている気がする。それに複数が相手なら、一人で最低では一体倒さなければならない。得体の知れない何かと果たしてどこまで渡り合えるのだろうか。
「あの先輩。私まだそこまで戦闘とか行ってないのでうまく戦える自信がないんですけど」
「その辺りは私達がサポートする」
「でも複数が相手なら、戦う場所もバラバラなのでは?」
「敵を一箇所に集めて、それを叩く」
「なるほど。でもどうやって」
「ルナ」
「はいアッちゃん」
ハクア先輩に指示され、ルナ先輩が教室の出口へと向かう。
「なるべく壊さないようにね」
「相変わらず無理な注文をするわね」
出口へたどり着いたたどり着いたルナ先輩は、さっき開かずの扉を壊した同じ原理で、大きな音とともにドアを破壊した。
「この音で敵を呼び寄せ、この教室で殲滅させる」
「え、ちょ、もう始まっているんですか作戦」
「勿論」
「始めるなら先に言ってくださいよぉ」
そう会話している間にも、教室に素早い何かが侵入してきた。どうやらもう、音を聞きつけてやってきたらしい。
「は、早い」
咄嗟に僕は魔法を使って敵の動きを封じる。 氷の魔法で封じた影響で、その物体の正体が分かった。
「これは……」
その凍りついた物体の正体それは、形を成していない闇の塊。一体それの原形がなんなのかすらも把握できないただの塊。
「やっぱり確実に漏れ出しているわね、アッちゃん」
「漏れ出しているってどういう……」
「次が来る」
一体これがなんなのかを聞く前に、第二陣がさっきと同じスピードどで入ってくる。今度は単体ではなく複数。
「ユーリティア、私の魔法にあなたの魔力を乗せて」
「の、乗せるってどういう意味ですか?」
「私の風の魔法に向かって氷の魔法を打つ、ただそれだけ」
「わ、分かりました」
ハクア先輩の言う通りに彼女が放った魔法に向かって氷の魔法を放つ。すると不思議な事に、風が氷を纏っって、新たな魔法となって闇の物体へと襲いかかった。
「すごい、いきなり合体魔法をを使うなんて。やはりアッちゃんが見込んだだけの事はあるわね」
思わずルナ先輩が関心してしまうほどのその魔法は、敵を一度に凍らせてその動きを止めた。そして凍ったそれもやはり闇の塊だった。
「とりあえず、把握している数は倒した」
「でもまだ油断はできないわね」
「今後も見守る必要性はある」
「まさかここまでになっているなんて……」
「あの、先輩方。分かるように説明して欲しいんですけど」
「どうするルナ」
「生徒会の人も知っているのは、私とアッちゃんだけなんだけど、次期生徒会長候補なら話しておくべきなのかしら」
「私もそう思う」
真剣な面持ちになる二人。一部の人しか知らない秘密、それを僕は知らされるという事は、もう引き返す事のできない道を進む事になる。
生徒会長なんて気の進む話ではないのだけれど、どうしても気にせずにはいられない事が、今日この身に起きてしまったわけなのだから、もう進む以外にないのかもしれない。
「ティアちゃん、これを話す以上あなたにはこれから色々な仕事を任せる事になるの。それも公に言えないような。あなたはその道に進む覚悟はある?」
「覚悟……」
「それにこれは、ユーリティアにすごく関わってくる話でもある」
「私に?」
「そう、あなたの……いえ、あなたの血筋に関わる全ての事に」
ユーリティアの血筋の秘密。それは僕は把握している。もしそれと関わる何かがあるなら、僕にはそれを紡ぐ必要がある。
「この先、不安な事ばかりなのかもしれないけど、生徒会に入った時点で私の運命は決まっていたのかもしれません。なら、私はその運命に従います」
「それで本当にいいの?」
「はい。私はその道を進みます」
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
結局家に帰ったのは夜遅く。キリハに怒られてしまったけど、生徒会の仕事だって誤魔化した。
(なんか色々疲れたなぁ)
旧校舎の一件の疲れがどっと体に押し寄せる。夕飯を食べてないけど、明日は休日だしそれはいいかな。
(学園に潜む闇か……)
ハクア先輩の話を思い出しながら、例の本を開く。どうやら書かずとも、ここまでの歩みは勝手に記されていくらしく、いつの間にかページ数も増えていた。
(って、あれ? 何だこれ)
改めてハクア先輩の話の部分を見返していると、ある事に気がつく。彼女の話が終わった後に、何ページか自分の知らない話が記されていた。内容を見ると、どうやら僕と別れた。直後の先輩達の会話らしいけど、
『これでよかったの? アッちゃん』
『これでよかったと思う。彼自身も何かのきっかけとなる事件に遭遇したみたいだし』
『彼って誰?』
『それは……』
思わず僕は本を落としてしまう。この会話、もし先程起きた会話というなら、もしかしてハクア先輩はユーリティアの秘密を知りながらも、僕の事も……。
『私達とは全く違う世界の存在。それはこの先大きな何かを起こす人物になると思う』
「とりあえずユーリティアが特攻役」
「特攻役って何ですか?! 死ぬんですか私」
「大丈夫、骨は拾うから」
「そういう問題じゃないですよ!」
そんな冗談はさておき、どうやら旧校舎を徘徊する何かは単体ではなく複数いるらしく、今後の学校の安全の為にもここで片付けておきたいらしい。
「でも私達がこうしている間にも、外に出る危険性だってあるんじゃなですか?」
「その辺はアッちゃんがしっかりとしているから心配ないわよ。ただ問題が一つあるとしたら、それがいつまでも続かない事かしら」
「私の魔力も有限」
「つまり速やかに倒さないといけない、という事ですか」
僕自身まだ戦闘にはそこまで慣れていない点から考えると、それって結構難易度が上がっている気がする。それに複数が相手なら、一人で最低では一体倒さなければならない。得体の知れない何かと果たしてどこまで渡り合えるのだろうか。
「あの先輩。私まだそこまで戦闘とか行ってないのでうまく戦える自信がないんですけど」
「その辺りは私達がサポートする」
「でも複数が相手なら、戦う場所もバラバラなのでは?」
「敵を一箇所に集めて、それを叩く」
「なるほど。でもどうやって」
「ルナ」
「はいアッちゃん」
ハクア先輩に指示され、ルナ先輩が教室の出口へと向かう。
「なるべく壊さないようにね」
「相変わらず無理な注文をするわね」
出口へたどり着いたたどり着いたルナ先輩は、さっき開かずの扉を壊した同じ原理で、大きな音とともにドアを破壊した。
「この音で敵を呼び寄せ、この教室で殲滅させる」
「え、ちょ、もう始まっているんですか作戦」
「勿論」
「始めるなら先に言ってくださいよぉ」
そう会話している間にも、教室に素早い何かが侵入してきた。どうやらもう、音を聞きつけてやってきたらしい。
「は、早い」
咄嗟に僕は魔法を使って敵の動きを封じる。 氷の魔法で封じた影響で、その物体の正体が分かった。
「これは……」
その凍りついた物体の正体それは、形を成していない闇の塊。一体それの原形がなんなのかすらも把握できないただの塊。
「やっぱり確実に漏れ出しているわね、アッちゃん」
「漏れ出しているってどういう……」
「次が来る」
一体これがなんなのかを聞く前に、第二陣がさっきと同じスピードどで入ってくる。今度は単体ではなく複数。
「ユーリティア、私の魔法にあなたの魔力を乗せて」
「の、乗せるってどういう意味ですか?」
「私の風の魔法に向かって氷の魔法を打つ、ただそれだけ」
「わ、分かりました」
ハクア先輩の言う通りに彼女が放った魔法に向かって氷の魔法を放つ。すると不思議な事に、風が氷を纏っって、新たな魔法となって闇の物体へと襲いかかった。
「すごい、いきなり合体魔法をを使うなんて。やはりアッちゃんが見込んだだけの事はあるわね」
思わずルナ先輩が関心してしまうほどのその魔法は、敵を一度に凍らせてその動きを止めた。そして凍ったそれもやはり闇の塊だった。
「とりあえず、把握している数は倒した」
「でもまだ油断はできないわね」
「今後も見守る必要性はある」
「まさかここまでになっているなんて……」
「あの、先輩方。分かるように説明して欲しいんですけど」
「どうするルナ」
「生徒会の人も知っているのは、私とアッちゃんだけなんだけど、次期生徒会長候補なら話しておくべきなのかしら」
「私もそう思う」
真剣な面持ちになる二人。一部の人しか知らない秘密、それを僕は知らされるという事は、もう引き返す事のできない道を進む事になる。
生徒会長なんて気の進む話ではないのだけれど、どうしても気にせずにはいられない事が、今日この身に起きてしまったわけなのだから、もう進む以外にないのかもしれない。
「ティアちゃん、これを話す以上あなたにはこれから色々な仕事を任せる事になるの。それも公に言えないような。あなたはその道に進む覚悟はある?」
「覚悟……」
「それにこれは、ユーリティアにすごく関わってくる話でもある」
「私に?」
「そう、あなたの……いえ、あなたの血筋に関わる全ての事に」
ユーリティアの血筋の秘密。それは僕は把握している。もしそれと関わる何かがあるなら、僕にはそれを紡ぐ必要がある。
「この先、不安な事ばかりなのかもしれないけど、生徒会に入った時点で私の運命は決まっていたのかもしれません。なら、私はその運命に従います」
「それで本当にいいの?」
「はい。私はその道を進みます」
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
結局家に帰ったのは夜遅く。キリハに怒られてしまったけど、生徒会の仕事だって誤魔化した。
(なんか色々疲れたなぁ)
旧校舎の一件の疲れがどっと体に押し寄せる。夕飯を食べてないけど、明日は休日だしそれはいいかな。
(学園に潜む闇か……)
ハクア先輩の話を思い出しながら、例の本を開く。どうやら書かずとも、ここまでの歩みは勝手に記されていくらしく、いつの間にかページ数も増えていた。
(って、あれ? 何だこれ)
改めてハクア先輩の話の部分を見返していると、ある事に気がつく。彼女の話が終わった後に、何ページか自分の知らない話が記されていた。内容を見ると、どうやら僕と別れた。直後の先輩達の会話らしいけど、
『これでよかったの? アッちゃん』
『これでよかったと思う。彼自身も何かのきっかけとなる事件に遭遇したみたいだし』
『彼って誰?』
『それは……』
思わず僕は本を落としてしまう。この会話、もし先程起きた会話というなら、もしかしてハクア先輩はユーリティアの秘密を知りながらも、僕の事も……。
『私達とは全く違う世界の存在。それはこの先大きな何かを起こす人物になると思う』
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