この異世界は小説でできています
Page.17 騎馬の上の決戦 ユーリティア対サキ
ついに幕を開けた体育祭最後の種目、騎馬戦。大勢の騎馬が一斉に動き出していく中で、僕達は状況を冷静に見極めるために、一度その場にとどまっていた。
「数が数なだけにすごいわね」
「この数だと、お嬢様がもっても私達の方がもつか分かりませんね」
「おまけにサキとの対決は避けられないと思うし、それまでもつかが問題ね」
それにキリハが使った魔法が長持ちするかも分からない。つまり、長期戦は確実に不利に近い。
「やはり考える事は一緒だったようねユーリティア」
少し遠くからもう聞き慣れた声が聞こえる。そちらの方に騎馬を向けると、動き出していないサキの騎馬が一騎。更に奥には、例の三学年トップが乗っていると思われる騎馬が一騎。
これだと戦場を見守っている総大将達みたいだ。
「あんたと全力で戦えるために力をためているのよ。それに今回のライバルはもう一人いるから」
「三年生の学年トップの子ね。けど、あなたが戦うまでもないわ。何故なら」
遠距離から魔法が飛んでくる。どうやら会敵するまでもないらしい。向こうがその気ならこっちだって、
「待ってくださいお嬢様。今ここでいきなり魔法を使うと今のお嬢様の体力だと長くは持ちません」
「でもやられっぱなしなわけにはいかないわよ」
「だから作戦があるんです」
「作戦?」
全員にキリハが作戦を伝える。それはいたってシンプルなものなので、僕達はそれを了承してすぐに動き出した。
「行くわよサキ!」
「来なさいユーリティア」
僕達はサキの騎馬に向かって、ある程度のスピードを出して突進。そのままサキの騎馬へと衝突した。
「くっ、魔法を使わないで戦う気なの?」
「ようは騎馬を崩せばこちらの勝ちなんだから、戦い方は人それぞれでしょ」
僕は騎馬の上に立ち、足場にして宙へ向かいサキの騎馬へと更なるついげき。誰も騎馬から離れてはいけないとは言ってないので、落ちさえしなければ問題ない。
「ちょ、直接の攻撃なんてずるいわよ」
「落ちなければ何も問題ないもの。それに私のここへ来た目的は」
ゼロ距離で魔法を放つ。それはサキの騎馬への大きなダメージとなり崩れかける。僕はその間に同じ原理を使って自分の騎馬へと戻ろうとするが、
「動きさえ分かっていれば、こっちだって」
サキが炎を放ってそれを阻止せんとする。僕はそれを避けることはできたものの、戻る分の勢いがなくなってしまい、届く前に地面へと落下。だけどそれも、ギリギリのところでキリハ達が助け出してくれる。
「っと、危なかったですねお嬢様」
「ありがとう皆」
再びサキと対峙する。先程の攻撃が大きなダメージになったのか、向こうはかなりボロボロになっていた。
「次で終わりにするわよ皆」
「「はい!」」
崩れた騎馬へ最後の一撃を加えようと、再び突進しようとする。
「止まって!」
だけど、僕はそれを一度止める。
(何だろこの今までとは桁違いの魔力)
「どうしたんですかお嬢様。何故お止めに」
「来るっ!」
それはほんの一瞬の出来事だった。何かを感じた時には僕もサキも大きな竜巻に巻き込まれていた。しかも騎馬ごとではなく、私達だけをピンポイントで。
「うっ」
「お姉様!」
強烈なダメージとともに宙へと舞う僕の体。こんなピンポイントで魔法が使える人物、今この場にいるものの中で考えられる人物はただ一人。僕は空中でその人物を確かに見つけた。
「私を忘れているとは、哀れ」
僕達を狙ったのは他でもない三年生のトップでなおかつ、現生徒会長であるハクア先輩だった。
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
ハクア先輩の魔法によって、大きなダメージを受けた僕の体は、再びキリハ達のファインプレーによって落馬せずには済んだもののそのダメージは大きくて、すぐには動き出せなかった。
「大丈夫ですかお嬢様」
「まさかこんなピンポイントで魔法を使うなんて……」
サキの騎馬を見る。どうやら彼女達も落馬は免れたが、僕の一撃と先輩の一撃が蓄積したため、そのダメージは僕達よりも深刻だった。
「騎馬より乗っている人を狙ったほうが早いって考えは、皆一緒だったみたいね」
「それでもここまでピンポイントな魔法だと、私達の手ではどうにも」
「面白くなってきたじゃない。やっぱり参加して正解だったわよ」
少し場所を移動して、先輩も目視できる範囲の場所へとやってくる。噂とかは色々聞いていたけど、こうしてまともに対峙するのは初めてだった。
「初めまして、ですね先輩」
「初めてじゃない。何度か会った事がある」
「あ、そうなんですか」
その場にボロボロになりながらもサキの騎馬も到着する。
「ユーリティア、まだ私達の戦い……終わってないわよ」
「そんなボロボロな姿で言われても困るわよサキ。そっちが戦う気なら私も戦うけど」
「確かに私達も限界が近い。けどあんたとは……」
サキがそこまで言ったところで、騎馬が崩れてしまう。どうやらサキよりも騎馬の方がとっくに限界は来ていたようだ。
「ちょ、ちょっと、しっかりしなさいよ」
「決着は今度つけましょうサキ。それよりも今は」
サキの騎馬が崩れたところを確認したところで、改めてハクア先輩と対峙する。その実力は先程も見たように、かなりのものなのは確かだ。
だけど向こうが本気でくるならば、僕もそれに答えなければならない。
「キリハ、お願いがあるんだけど」
「分かっていますよ。ただし、無茶だけはしないでくださいよ」
「ありがとう」
本来ならこういう場で使うのはあれかもしれないけど、この戦いでは使いざるおえない。この体育祭で勝利をつかむためにも。
「行きますよ先輩!」
「あなたに、私に勝てる?」
「数が数なだけにすごいわね」
「この数だと、お嬢様がもっても私達の方がもつか分かりませんね」
「おまけにサキとの対決は避けられないと思うし、それまでもつかが問題ね」
それにキリハが使った魔法が長持ちするかも分からない。つまり、長期戦は確実に不利に近い。
「やはり考える事は一緒だったようねユーリティア」
少し遠くからもう聞き慣れた声が聞こえる。そちらの方に騎馬を向けると、動き出していないサキの騎馬が一騎。更に奥には、例の三学年トップが乗っていると思われる騎馬が一騎。
これだと戦場を見守っている総大将達みたいだ。
「あんたと全力で戦えるために力をためているのよ。それに今回のライバルはもう一人いるから」
「三年生の学年トップの子ね。けど、あなたが戦うまでもないわ。何故なら」
遠距離から魔法が飛んでくる。どうやら会敵するまでもないらしい。向こうがその気ならこっちだって、
「待ってくださいお嬢様。今ここでいきなり魔法を使うと今のお嬢様の体力だと長くは持ちません」
「でもやられっぱなしなわけにはいかないわよ」
「だから作戦があるんです」
「作戦?」
全員にキリハが作戦を伝える。それはいたってシンプルなものなので、僕達はそれを了承してすぐに動き出した。
「行くわよサキ!」
「来なさいユーリティア」
僕達はサキの騎馬に向かって、ある程度のスピードを出して突進。そのままサキの騎馬へと衝突した。
「くっ、魔法を使わないで戦う気なの?」
「ようは騎馬を崩せばこちらの勝ちなんだから、戦い方は人それぞれでしょ」
僕は騎馬の上に立ち、足場にして宙へ向かいサキの騎馬へと更なるついげき。誰も騎馬から離れてはいけないとは言ってないので、落ちさえしなければ問題ない。
「ちょ、直接の攻撃なんてずるいわよ」
「落ちなければ何も問題ないもの。それに私のここへ来た目的は」
ゼロ距離で魔法を放つ。それはサキの騎馬への大きなダメージとなり崩れかける。僕はその間に同じ原理を使って自分の騎馬へと戻ろうとするが、
「動きさえ分かっていれば、こっちだって」
サキが炎を放ってそれを阻止せんとする。僕はそれを避けることはできたものの、戻る分の勢いがなくなってしまい、届く前に地面へと落下。だけどそれも、ギリギリのところでキリハ達が助け出してくれる。
「っと、危なかったですねお嬢様」
「ありがとう皆」
再びサキと対峙する。先程の攻撃が大きなダメージになったのか、向こうはかなりボロボロになっていた。
「次で終わりにするわよ皆」
「「はい!」」
崩れた騎馬へ最後の一撃を加えようと、再び突進しようとする。
「止まって!」
だけど、僕はそれを一度止める。
(何だろこの今までとは桁違いの魔力)
「どうしたんですかお嬢様。何故お止めに」
「来るっ!」
それはほんの一瞬の出来事だった。何かを感じた時には僕もサキも大きな竜巻に巻き込まれていた。しかも騎馬ごとではなく、私達だけをピンポイントで。
「うっ」
「お姉様!」
強烈なダメージとともに宙へと舞う僕の体。こんなピンポイントで魔法が使える人物、今この場にいるものの中で考えられる人物はただ一人。僕は空中でその人物を確かに見つけた。
「私を忘れているとは、哀れ」
僕達を狙ったのは他でもない三年生のトップでなおかつ、現生徒会長であるハクア先輩だった。
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
ハクア先輩の魔法によって、大きなダメージを受けた僕の体は、再びキリハ達のファインプレーによって落馬せずには済んだもののそのダメージは大きくて、すぐには動き出せなかった。
「大丈夫ですかお嬢様」
「まさかこんなピンポイントで魔法を使うなんて……」
サキの騎馬を見る。どうやら彼女達も落馬は免れたが、僕の一撃と先輩の一撃が蓄積したため、そのダメージは僕達よりも深刻だった。
「騎馬より乗っている人を狙ったほうが早いって考えは、皆一緒だったみたいね」
「それでもここまでピンポイントな魔法だと、私達の手ではどうにも」
「面白くなってきたじゃない。やっぱり参加して正解だったわよ」
少し場所を移動して、先輩も目視できる範囲の場所へとやってくる。噂とかは色々聞いていたけど、こうしてまともに対峙するのは初めてだった。
「初めまして、ですね先輩」
「初めてじゃない。何度か会った事がある」
「あ、そうなんですか」
その場にボロボロになりながらもサキの騎馬も到着する。
「ユーリティア、まだ私達の戦い……終わってないわよ」
「そんなボロボロな姿で言われても困るわよサキ。そっちが戦う気なら私も戦うけど」
「確かに私達も限界が近い。けどあんたとは……」
サキがそこまで言ったところで、騎馬が崩れてしまう。どうやらサキよりも騎馬の方がとっくに限界は来ていたようだ。
「ちょ、ちょっと、しっかりしなさいよ」
「決着は今度つけましょうサキ。それよりも今は」
サキの騎馬が崩れたところを確認したところで、改めてハクア先輩と対峙する。その実力は先程も見たように、かなりのものなのは確かだ。
だけど向こうが本気でくるならば、僕もそれに答えなければならない。
「キリハ、お願いがあるんだけど」
「分かっていますよ。ただし、無茶だけはしないでくださいよ」
「ありがとう」
本来ならこういう場で使うのはあれかもしれないけど、この戦いでは使いざるおえない。この体育祭で勝利をつかむためにも。
「行きますよ先輩!」
「あなたに、私に勝てる?」
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