この異世界は小説でできています
Page.12 誰よりも頑張り屋故の
体育祭当日に自分が何を着させられるのか気になりながらも、僕達は当日へ向けての練習を重ねた。
そして体育祭前日、今日は授業がない代わりに体育祭の前日準備と練習だけだった。
「いよいよ明日ねユーリティア」
その最中、久しぶりにサキが話しかけてきた。ブラコン事件以来、お互い話をする事はなかったので、僕は未だに彼女はブラコンだと思っている。
「あ、ブラコンお姉ちゃんじゃない」
「あなたまだそれ忘れていなかったの? 言っておくけど私は決してブラコンじゃないんだから」
「ブラコンじゃなかったらなんなのよ。ただの変態?」
「どうしてそうなるのよ」
どうしても何も、実の弟に女装させているのだから、変態以外の何物でもないと僕は思うのだけれど、間違っているだろうか。
(僕も人の事言えないけど、それ以上なのは間違っていないと思うんだけどなぁ)
「ま、まあその事は後でちゃんと誤解を解くわ。それよりも今は体育祭よ体育祭」
「あ、誤魔化した」
「う、うるさい! 騎馬戦で覚えていなさいよ」
「それはこっちのセリフよ。今年こそは私勝たせてもらうから」
「望むところよ」
その後少し会話をした後サキは自分のクラスへと戻っていった。残された僕は、一ヶ月を思い返していた。
決して楽な練習ではなかったけれど、この一ヶ月で僕は確実に実力をつけた。今ならサキにも絶対に勝てると思えるくらいの核心がそこにはあった。
(でも本当ならこのセリフは、僕が言う言葉じゃなかったんだよね)
去年負けたのは僕ではなく、ユーリティア自身だったのだからこのセリフはユーリティアが言う言葉だった。思えばここまで考えたことがなかったけど、僕がユーリティアとして転生する前の本当のユーリティアはどこへ行ってしまったのだろうか。
今平然として僕はここに立っているわけだけど、本当のユーリティアは一体どこに。
「どうかされましたかお嬢様」
「明日が本番だから少しドキドキしてきたのよ」
「明日の着る服が何なのかドキドキですか」
「そういう意味でのドキドキじゃないわよ、馬鹿」
まあ、そっちのドキドキもあるけどさ。
「何かこの一ヶ月あっという間だったわね」
「かなり頑張っていましたからね。お嬢様の体でありながらも、全く使いこなせていませんでしたから」
「慣れるのが大変だったのよ。でもうもうすぐ二ヶ月経つから、もうこの体での生活も慣れた」
「そういえば二ヶ月ですかお嬢様も」
「本当に早いものよ」
神様に滅茶苦茶なことを言われてから二ヶ月経ったなんて考えたら、結構あっという間だった気もする。この体での生活もだいぶ慣れ始めたし、この体育祭もその成長の証を見せられる格好の場でもある。
(頑張らないと、僕として……ユーリティアとして)
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
学校も終わり家へと帰宅した後も、僕は無理のないくらいに練習を重ねていた。ここであまり無理しすぎると、明日に影響しかねないからだ。
「練習の調子はいかがですか、お姉様」
「私は結構順調よ。イスミの方はどうなのよ」
「わたくしも勿論です。お姉様の前ではヘマをこくわけにもいきませんから」
「私のために頑張らなくてもいいのよ」
途中から一緒に練習に参加し始めたイスミとそんな会話をする。彼女もこの学校に来てから早くも一ヶ月経つのだけれど、初日があまりに酷かった以外は特に問題も起こさずに普通に生徒の一人して、今や僕達のクラスの一員になっている。
「お姉様はあまり無理なさらないでくださいよ。本番で倒れてしまっては、ここまでの練習も意味がないですから」
「大丈夫よ。ここまでの練習を無駄にするような事は絶対にしない」
「そうは言いますが、ここ最近のお姉様は結構無理してばかりだとクラスの皆さんが思っています。本番に倒れるんじゃないかって」
「言うほど無理はしていないわよ私だって」
「自覚していないんだから怖いんですよ」
イスミはそう言うけど、僕はそこまで無茶している気はしなかった。一からの鍛え直しだったとは言っても、ちゃんと適度な休憩はとっていたし、今だって万全の体調だ。
「イスミ様の言う通りですよお嬢様。私から見ても無理はしているように見えます。ですから、今日は早めに休んだ方がいいですよ」
「キリハまで……。まあ、明日は本番だからちゃんと休むつもりでいたけど」
「分かったら今日の練習はここで切り上げますよ」
「……分かったわよ」
気が進まなかったけど、キリハとイスミに言われて僕は早めに休みを取るために部屋へと戻る。
(二人とも心配性なんだから)
ため息をつきながらも部屋へと戻った僕は、着替えなどを色々済ませてベッドへ。明日が本番だと考えると、緊張して眠れない気もするけど、何故か不思議とすぐに眠気がやってきた。
(って、あれ……)
だけど眠りにつこうとしてすぐ、体に異変が起きる。身体が急に熱くなり始めたのだ。
(そんな、どうして急に……)
嫌な予感はしながらも、僕は体の熱を忘れる為にすぐに眠りについた。
だけど翌日、その熱は決して下がってはおらず、僕は最悪の状態で体育祭当日を迎える事になった。
そして体育祭前日、今日は授業がない代わりに体育祭の前日準備と練習だけだった。
「いよいよ明日ねユーリティア」
その最中、久しぶりにサキが話しかけてきた。ブラコン事件以来、お互い話をする事はなかったので、僕は未だに彼女はブラコンだと思っている。
「あ、ブラコンお姉ちゃんじゃない」
「あなたまだそれ忘れていなかったの? 言っておくけど私は決してブラコンじゃないんだから」
「ブラコンじゃなかったらなんなのよ。ただの変態?」
「どうしてそうなるのよ」
どうしても何も、実の弟に女装させているのだから、変態以外の何物でもないと僕は思うのだけれど、間違っているだろうか。
(僕も人の事言えないけど、それ以上なのは間違っていないと思うんだけどなぁ)
「ま、まあその事は後でちゃんと誤解を解くわ。それよりも今は体育祭よ体育祭」
「あ、誤魔化した」
「う、うるさい! 騎馬戦で覚えていなさいよ」
「それはこっちのセリフよ。今年こそは私勝たせてもらうから」
「望むところよ」
その後少し会話をした後サキは自分のクラスへと戻っていった。残された僕は、一ヶ月を思い返していた。
決して楽な練習ではなかったけれど、この一ヶ月で僕は確実に実力をつけた。今ならサキにも絶対に勝てると思えるくらいの核心がそこにはあった。
(でも本当ならこのセリフは、僕が言う言葉じゃなかったんだよね)
去年負けたのは僕ではなく、ユーリティア自身だったのだからこのセリフはユーリティアが言う言葉だった。思えばここまで考えたことがなかったけど、僕がユーリティアとして転生する前の本当のユーリティアはどこへ行ってしまったのだろうか。
今平然として僕はここに立っているわけだけど、本当のユーリティアは一体どこに。
「どうかされましたかお嬢様」
「明日が本番だから少しドキドキしてきたのよ」
「明日の着る服が何なのかドキドキですか」
「そういう意味でのドキドキじゃないわよ、馬鹿」
まあ、そっちのドキドキもあるけどさ。
「何かこの一ヶ月あっという間だったわね」
「かなり頑張っていましたからね。お嬢様の体でありながらも、全く使いこなせていませんでしたから」
「慣れるのが大変だったのよ。でもうもうすぐ二ヶ月経つから、もうこの体での生活も慣れた」
「そういえば二ヶ月ですかお嬢様も」
「本当に早いものよ」
神様に滅茶苦茶なことを言われてから二ヶ月経ったなんて考えたら、結構あっという間だった気もする。この体での生活もだいぶ慣れ始めたし、この体育祭もその成長の証を見せられる格好の場でもある。
(頑張らないと、僕として……ユーリティアとして)
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
学校も終わり家へと帰宅した後も、僕は無理のないくらいに練習を重ねていた。ここであまり無理しすぎると、明日に影響しかねないからだ。
「練習の調子はいかがですか、お姉様」
「私は結構順調よ。イスミの方はどうなのよ」
「わたくしも勿論です。お姉様の前ではヘマをこくわけにもいきませんから」
「私のために頑張らなくてもいいのよ」
途中から一緒に練習に参加し始めたイスミとそんな会話をする。彼女もこの学校に来てから早くも一ヶ月経つのだけれど、初日があまりに酷かった以外は特に問題も起こさずに普通に生徒の一人して、今や僕達のクラスの一員になっている。
「お姉様はあまり無理なさらないでくださいよ。本番で倒れてしまっては、ここまでの練習も意味がないですから」
「大丈夫よ。ここまでの練習を無駄にするような事は絶対にしない」
「そうは言いますが、ここ最近のお姉様は結構無理してばかりだとクラスの皆さんが思っています。本番に倒れるんじゃないかって」
「言うほど無理はしていないわよ私だって」
「自覚していないんだから怖いんですよ」
イスミはそう言うけど、僕はそこまで無茶している気はしなかった。一からの鍛え直しだったとは言っても、ちゃんと適度な休憩はとっていたし、今だって万全の体調だ。
「イスミ様の言う通りですよお嬢様。私から見ても無理はしているように見えます。ですから、今日は早めに休んだ方がいいですよ」
「キリハまで……。まあ、明日は本番だからちゃんと休むつもりでいたけど」
「分かったら今日の練習はここで切り上げますよ」
「……分かったわよ」
気が進まなかったけど、キリハとイスミに言われて僕は早めに休みを取るために部屋へと戻る。
(二人とも心配性なんだから)
ため息をつきながらも部屋へと戻った僕は、着替えなどを色々済ませてベッドへ。明日が本番だと考えると、緊張して眠れない気もするけど、何故か不思議とすぐに眠気がやってきた。
(って、あれ……)
だけど眠りにつこうとしてすぐ、体に異変が起きる。身体が急に熱くなり始めたのだ。
(そんな、どうして急に……)
嫌な予感はしながらも、僕は体の熱を忘れる為にすぐに眠りについた。
だけど翌日、その熱は決して下がってはおらず、僕は最悪の状態で体育祭当日を迎える事になった。
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