この異世界は小説でできています
Page.11 近づく日と嫌なフラグ
キリハの独断で勝手に我が家に泊まる事になったイスミ。僕が一番会いたくなかった人物なのに、どうしてよりにもよってこんな事になってしまったのだろうか。
「今日からしばらくこの学校でお世話になりますイスミと申します。皆さんよろしくお願いしますね」
その日の翌日から同じ学校の同じクラスにしばらく居座り続ける事にもなって、僕にとってはどうあがいても絶望的な状況だった。
「何でよりによってあなたと同じクラスなのよ。本当に最悪よ」
「私はお姉様と同じクラスで嬉しいですよ」
「私が良くないのよ!」
今日学校に来てからため息しか吐いていない。イスミはどこでも自分のお姉様呼ばわりするものだから、変なプレイでも始めたのではないかと勘違いされてしまっている。
僕は何度も釈明して入るものの、当の本人が反省をしていない為、それも全く意味していない。
「そもそも私にはあんたと結婚する気なんてないのよ。いい加減諦めてくれないかしら」
そんな状態が昼食になっても一向に変わらないので、僕はついに怒ることにした。このままだとユーリティアは道を踏み外してしまった人間になってしまう。それだけは絶対に避けたい。
「どうしてでしょうか。私はこんなにもお姉様を好きだというのに」
「それがすごくめいわくなのを、どうして分からないのかしら。好きならその相手の気持ちを考えるのも当たり前でしょ」
「お姉様も私の事が好きだと分かっているので、こういう行動を取っているんですよ。それを受け取らないのはお姉様じゃないですか」
「誰がいつ、好きって言ったのよ! もういい加減にしなさい」
あまりの身勝手さについ大きな声を出してしまう。少しやりすぎなのかもしれないけど、ここまで言わないと今後の学園生活が不安にしかならない。
別に学生としてここに通う事に反対しているのではなく、そういう事を単に自重して欲しいだけなのだ。
「やはりお姉様は分かっていないんですね。愛というのを。そちらがその気なら」
「その気なら何よ」
「お姉様が私の愛を理解してくれるまで、ずっと居続けます」
「少しくらい反省しなさいよ!」
結局僕の説教は何の意味もなさずに、昼食は終わってしまうのであった。
だけど少しイスミも反省はしたのか、そこから以前よりはマシになっていた。所構わず僕の元に寄ってくるなんて事もなく、気がついたらクラス内で新しい友達も作っていた。
家に帰ると相変わらずではあるけれど、初日の事がまるで嘘かのように彼女は少しずつではあるけど変わってくれた。
(小説に書き加えて、すぐにでも帰ってもらおうかって思ったけど、そこまでする必要はなかったかな)
そんな感じで新しいメンバーを加えた僕達のクラスはその裏で、刻一刻と迫ってくる体育祭にもより一層力を入れていくのであった。
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
イスミが僕達のクラスにやって来てからもう間もなく三週間。体育祭まで残り一週間を切ったある休日、例の運動場を使って練習をしていると珍しくユナが家を訪ねてきた。
「相変わらずユーちゃんの家は広いよね。私羨ましい」
「そんな自慢できるほどではないわよ。それに何度も遊びに来た事があるんだから、何の代わり映えもしないでしょ?」
「それもそっか」
ちなみにユナが訪ねてきたのは、体育祭も近いので一緒に練習したいという事らしい。それまで一緒に練習していたイスミも含めて三人で練習をする事にした。
「そういえばユーちゃん、去年のリベンジで騎馬戦に参加するんだよね」
「うん。あっち側からも挑戦をされたし、受けるしかないかなって思って」
「でも騎馬戦って、かなり消耗が激しい競技だけど大丈夫?」
「勿論! ここまで何度も練習してきたから、今年こそ絶対に勝って見せるわよ」
「といって怪我しないでくださいよお嬢様」
「そういうキリハも出場するんでしょ?」
実は僕が騎馬戦に出場を決めるよりも先にキリハも出場する事を決めていた。その事が分かったのもつい先日の話で、陰でかなり練習を積み重ねているらしい。
「私は去年は出ていませんので、折角の機会に出てみようかと思いまして」
「大丈夫か少し心配よ」
「私はお姉様が怪我をしないかすごく心配です。怪我した時には私が代わりに出ます」
「あんたは騎馬戦のルール理解してないでしょイスミ」
騎馬戦に交代とかそんなルールはないから。
まあそんな感じで各々近づく体育祭に向けて準備を着々と進めている。もう残された日数も一週間もない。
(騎馬戦か……)
ルールを見た限りではどこにでも変わらない騎馬戦なんだけど、ある意味何でもありな内容になっているので、イスミの言う通り怪我をしないか若干心配である。一番の大目玉なだけあって、一番最後のプログラムなんだけど、その後に病院送りなんて事も。
「あ、そういえばお嬢様にお一つ伝え忘れていたのですが」
「伝え忘れていた事?」
「体育祭当日、お嬢様は選手代表として宣誓の仕事とかがありますので、その為に特別な衣装を用意させてもらっていたんです」
「何でこんな時に?! 体育祭はジャージでしょ?」
「それだと代表として面白くないので、ここはサプライズをと思いまして」
「学校には許可とったの?」
「勿論、わい……ちゃんとした交渉をして」
「今賄賂って言わなかった?それ犯罪だからやめなさいよ!」
「まあまあ。とにかく当日の衣装はお楽しみにしていてください」
「すごく嫌な予感がするんだけど……」
舞踏会の前例があるので、体育祭もトラウマにならなければいいんだけど……。
「今日からしばらくこの学校でお世話になりますイスミと申します。皆さんよろしくお願いしますね」
その日の翌日から同じ学校の同じクラスにしばらく居座り続ける事にもなって、僕にとってはどうあがいても絶望的な状況だった。
「何でよりによってあなたと同じクラスなのよ。本当に最悪よ」
「私はお姉様と同じクラスで嬉しいですよ」
「私が良くないのよ!」
今日学校に来てからため息しか吐いていない。イスミはどこでも自分のお姉様呼ばわりするものだから、変なプレイでも始めたのではないかと勘違いされてしまっている。
僕は何度も釈明して入るものの、当の本人が反省をしていない為、それも全く意味していない。
「そもそも私にはあんたと結婚する気なんてないのよ。いい加減諦めてくれないかしら」
そんな状態が昼食になっても一向に変わらないので、僕はついに怒ることにした。このままだとユーリティアは道を踏み外してしまった人間になってしまう。それだけは絶対に避けたい。
「どうしてでしょうか。私はこんなにもお姉様を好きだというのに」
「それがすごくめいわくなのを、どうして分からないのかしら。好きならその相手の気持ちを考えるのも当たり前でしょ」
「お姉様も私の事が好きだと分かっているので、こういう行動を取っているんですよ。それを受け取らないのはお姉様じゃないですか」
「誰がいつ、好きって言ったのよ! もういい加減にしなさい」
あまりの身勝手さについ大きな声を出してしまう。少しやりすぎなのかもしれないけど、ここまで言わないと今後の学園生活が不安にしかならない。
別に学生としてここに通う事に反対しているのではなく、そういう事を単に自重して欲しいだけなのだ。
「やはりお姉様は分かっていないんですね。愛というのを。そちらがその気なら」
「その気なら何よ」
「お姉様が私の愛を理解してくれるまで、ずっと居続けます」
「少しくらい反省しなさいよ!」
結局僕の説教は何の意味もなさずに、昼食は終わってしまうのであった。
だけど少しイスミも反省はしたのか、そこから以前よりはマシになっていた。所構わず僕の元に寄ってくるなんて事もなく、気がついたらクラス内で新しい友達も作っていた。
家に帰ると相変わらずではあるけれど、初日の事がまるで嘘かのように彼女は少しずつではあるけど変わってくれた。
(小説に書き加えて、すぐにでも帰ってもらおうかって思ったけど、そこまでする必要はなかったかな)
そんな感じで新しいメンバーを加えた僕達のクラスはその裏で、刻一刻と迫ってくる体育祭にもより一層力を入れていくのであった。
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
イスミが僕達のクラスにやって来てからもう間もなく三週間。体育祭まで残り一週間を切ったある休日、例の運動場を使って練習をしていると珍しくユナが家を訪ねてきた。
「相変わらずユーちゃんの家は広いよね。私羨ましい」
「そんな自慢できるほどではないわよ。それに何度も遊びに来た事があるんだから、何の代わり映えもしないでしょ?」
「それもそっか」
ちなみにユナが訪ねてきたのは、体育祭も近いので一緒に練習したいという事らしい。それまで一緒に練習していたイスミも含めて三人で練習をする事にした。
「そういえばユーちゃん、去年のリベンジで騎馬戦に参加するんだよね」
「うん。あっち側からも挑戦をされたし、受けるしかないかなって思って」
「でも騎馬戦って、かなり消耗が激しい競技だけど大丈夫?」
「勿論! ここまで何度も練習してきたから、今年こそ絶対に勝って見せるわよ」
「といって怪我しないでくださいよお嬢様」
「そういうキリハも出場するんでしょ?」
実は僕が騎馬戦に出場を決めるよりも先にキリハも出場する事を決めていた。その事が分かったのもつい先日の話で、陰でかなり練習を積み重ねているらしい。
「私は去年は出ていませんので、折角の機会に出てみようかと思いまして」
「大丈夫か少し心配よ」
「私はお姉様が怪我をしないかすごく心配です。怪我した時には私が代わりに出ます」
「あんたは騎馬戦のルール理解してないでしょイスミ」
騎馬戦に交代とかそんなルールはないから。
まあそんな感じで各々近づく体育祭に向けて準備を着々と進めている。もう残された日数も一週間もない。
(騎馬戦か……)
ルールを見た限りではどこにでも変わらない騎馬戦なんだけど、ある意味何でもありな内容になっているので、イスミの言う通り怪我をしないか若干心配である。一番の大目玉なだけあって、一番最後のプログラムなんだけど、その後に病院送りなんて事も。
「あ、そういえばお嬢様にお一つ伝え忘れていたのですが」
「伝え忘れていた事?」
「体育祭当日、お嬢様は選手代表として宣誓の仕事とかがありますので、その為に特別な衣装を用意させてもらっていたんです」
「何でこんな時に?! 体育祭はジャージでしょ?」
「それだと代表として面白くないので、ここはサプライズをと思いまして」
「学校には許可とったの?」
「勿論、わい……ちゃんとした交渉をして」
「今賄賂って言わなかった?それ犯罪だからやめなさいよ!」
「まあまあ。とにかく当日の衣装はお楽しみにしていてください」
「すごく嫌な予感がするんだけど……」
舞踏会の前例があるので、体育祭もトラウマにならなければいいんだけど……。
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