この異世界は小説でできています
Page.06 Shall we Dance?
それから二時間近く最後の追い込みをして、迎えた舞踏会本番。会場には多くのお金持ちと思わしき人物達が既に集まっている。
「そんなに緊張しなくても大丈夫ですよお嬢様。出番は舞踏会の最後なんですから」
「そ、そうは言ってもやっぱり緊張するわよ」
僕にとってはこんな大きな舞台に立たされる事自体が初めてなので、出番のかなり前からずっと緊張している。でも練習はやれるところまでやったし、後は己の実力に頼るしかない。
「それにお嬢様、本番までの間多くの方に話しかけられるのですから、そんなに緊張していてはコミュニケーションが取りづらいですよ」
「私も分かってはいるんだけど……」
コミュニケーション
言われたって、そもそも僕にこんないかにも礼儀正しそうな人達の方々の中に混ざって、会話をするだなんて難しすぎる。
でも主催者側として、しっかりやらなければならないのは事実だ。
「君がこの屋敷の主人の娘かね」
「は、はい」
そんな葛藤している間に、突然初老の人に話しかけられる。僕はガチガチになりながらも、しっかkりと返事はする事はできた。
「そんなに固くならなくて良い。君の父親には大変お世話になったからな」
「そ、そうなんですか」
「今でも若い頃が懐かしい」
どこか思い出に浸る男性。そういえばこの二日間、ユーリティアの両親を見かけていない。一応設定では生きているはずなのに、この男性の言い方だと今はいないみたいな感じだ。
「まあ今日の舞踏会は君のダンスがあると聞いている。是非我々を楽しませてくれ」
「き、期待に添えられるか分かりませんが、是非楽しんでいただけると嬉しいです」
男性は頭を軽く下げると、私の元から去っていった。なんか色々期待されちゃっているけど、大丈夫かな僕。
「今の方はヘリウス様と言いまして、父方の昔からのご友人でした」
「結構温厚そうな人だったわね」
「私が知る限りではあの人はかなりお優しい方だと思います」
その後も色々な人達に挨拶をされた。その辺りは実は昨日僕が少し手を加えたところで、こうやって様々な人と触れ合えればこの世界の事を知れるかと思ったからだ。
思惑はもう一つあっって、こうして忙しければあのイスミに遭遇せずに済むと考えていた。
「これで大体の方とは挨拶をしたのではないでしょうか」
「うん。最初は緊張したけど、話せば慣れるものね」
「そう言って実は、イスミ様と遭遇するのを避けているのではないですか?」
「べ、別にそうじゃないわよ」
「あ、あそこにイスミ様が」
「ど、どこ?!」
「嘘です」
「心臓に悪いからそういうのはやめなさい!」
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
舞踏会が始まって既に一時間が経過した。会場では舞踏会なだけあってか、皆踊っている人が多くどれもやはりレベルが高かった。ただ、それらを見ていて一つ感じたのが、
「ねえキリハ」
「何でしょうか」
「皆私達の踊りみたいなあのレベルなもの踊っていないんだけど」
誰もが僕が二日かけて練習してきたあの踊りではなく、普通の社交ダンスを踊っていたこと。もしかして僕、これから場違いな踊りをするのでは?
「勿論皆様が普通のダンスをしているのは了承済みですよ。皆さんがあんな踊りを踊っていたら、それはもう大変お見苦しいものかと」
「それを今から僕が踊るんだけど?」
「僕?」
(あ)
ついいつもの僕に戻ってしまった。こ、ここはなんとか誤魔化さないと。
「あ、え、えっと。き、き、聞き間違いよ聞き間違い」
「お嬢様」
「な、何よ」
「お嬢様はいつのまにボクっ娘に目覚めたのですか?」
「目覚めてないわよ!」
どうやらキリハは、ユーリティアがてっきりボクっ娘に目覚めたのかと勘違いしてくれたらしい。というかこの世界にも存在したんだ、ボクっ娘。
「そんな冗談はさておき、やはりお嬢様はこの会の主催者でございますから、普通の人とは違うものをお見せしたいと考えたんです。この家の当主でもあるのですから、そこは腹をくくってもらわわないと」
「 私もここまで来て今更変えるつもりはないけど、別に普通の踊りでもよかったんだと思うけど。って、今キリハなんて言った?」
「お嬢様はどうしようもないクズと言いました」
「それ絶対言ってないわよね!」
「ではお嬢様は大変お見苦しいと」
「何かさっきの言葉と混ざっているわよ!」
聞き間違いでなければキリハは間違いなくユーリティアを現当主といった。つまりそれは、彼女の両親は本当に……。
「そろそろお嬢様の時間ですね。着替えの方に向かいましょうか」
「え? このドレスで踊らないの?」
「ドレスでは いささか踊りづらいと思いまして、今回は特別な衣装を用意させていただきました」
「特別な衣装?」
なんか凄く嫌な予感がするんだけど。
三十分後。ドレッサールームで着替えを終えた僕は、部屋を出るのを拒んだ。
「どうかしましたかお嬢様。早く向かいますよ」
「で、出れるわけないでしょ。こんな格好で」
その理由は僕の悪い予感の通り、キリハが用意した衣装に問題があったからだ。
「だ、誰がこんな姿で踊らなければいけないのよ」
「お似合いでいいじゃないですか。スクール水着」
「そういう問題じゃないわよ! あと全然似合ってないわよこれ」
キリハが用意したのは、よく学校のプールの時間とかでよく着るあれだ。さっきのボクっ娘も驚いたけど、まさかスク水の概念がこの世界に実在しているなんて。
(って、考えたのは僕か)
もしかして昨日眠気を我慢しながら書いたから、気がついたらこんな内容を書いてしまっていたのかもしれない。少女にスク水だなんて、そんなの……。
(一部の人には受けそうだけど、踊り常に場違いなことが起きそう)
あんな人達の中に、そんな性癖の人なんて……いるわけないよね。
「もうお嬢様、いつまでもダラダラしていないで行きますよ」
「え、あ、ちょっと私のドレスを持っていかないでよキリハ」
「もう着替えている時間はございませんから、我慢してくだい」
「もうどうなっているのよこの舞踏会!」
もうメチャクチャすぎる。
「そんなに緊張しなくても大丈夫ですよお嬢様。出番は舞踏会の最後なんですから」
「そ、そうは言ってもやっぱり緊張するわよ」
僕にとってはこんな大きな舞台に立たされる事自体が初めてなので、出番のかなり前からずっと緊張している。でも練習はやれるところまでやったし、後は己の実力に頼るしかない。
「それにお嬢様、本番までの間多くの方に話しかけられるのですから、そんなに緊張していてはコミュニケーションが取りづらいですよ」
「私も分かってはいるんだけど……」
コミュニケーション
言われたって、そもそも僕にこんないかにも礼儀正しそうな人達の方々の中に混ざって、会話をするだなんて難しすぎる。
でも主催者側として、しっかりやらなければならないのは事実だ。
「君がこの屋敷の主人の娘かね」
「は、はい」
そんな葛藤している間に、突然初老の人に話しかけられる。僕はガチガチになりながらも、しっかkりと返事はする事はできた。
「そんなに固くならなくて良い。君の父親には大変お世話になったからな」
「そ、そうなんですか」
「今でも若い頃が懐かしい」
どこか思い出に浸る男性。そういえばこの二日間、ユーリティアの両親を見かけていない。一応設定では生きているはずなのに、この男性の言い方だと今はいないみたいな感じだ。
「まあ今日の舞踏会は君のダンスがあると聞いている。是非我々を楽しませてくれ」
「き、期待に添えられるか分かりませんが、是非楽しんでいただけると嬉しいです」
男性は頭を軽く下げると、私の元から去っていった。なんか色々期待されちゃっているけど、大丈夫かな僕。
「今の方はヘリウス様と言いまして、父方の昔からのご友人でした」
「結構温厚そうな人だったわね」
「私が知る限りではあの人はかなりお優しい方だと思います」
その後も色々な人達に挨拶をされた。その辺りは実は昨日僕が少し手を加えたところで、こうやって様々な人と触れ合えればこの世界の事を知れるかと思ったからだ。
思惑はもう一つあっって、こうして忙しければあのイスミに遭遇せずに済むと考えていた。
「これで大体の方とは挨拶をしたのではないでしょうか」
「うん。最初は緊張したけど、話せば慣れるものね」
「そう言って実は、イスミ様と遭遇するのを避けているのではないですか?」
「べ、別にそうじゃないわよ」
「あ、あそこにイスミ様が」
「ど、どこ?!」
「嘘です」
「心臓に悪いからそういうのはやめなさい!」
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
舞踏会が始まって既に一時間が経過した。会場では舞踏会なだけあってか、皆踊っている人が多くどれもやはりレベルが高かった。ただ、それらを見ていて一つ感じたのが、
「ねえキリハ」
「何でしょうか」
「皆私達の踊りみたいなあのレベルなもの踊っていないんだけど」
誰もが僕が二日かけて練習してきたあの踊りではなく、普通の社交ダンスを踊っていたこと。もしかして僕、これから場違いな踊りをするのでは?
「勿論皆様が普通のダンスをしているのは了承済みですよ。皆さんがあんな踊りを踊っていたら、それはもう大変お見苦しいものかと」
「それを今から僕が踊るんだけど?」
「僕?」
(あ)
ついいつもの僕に戻ってしまった。こ、ここはなんとか誤魔化さないと。
「あ、え、えっと。き、き、聞き間違いよ聞き間違い」
「お嬢様」
「な、何よ」
「お嬢様はいつのまにボクっ娘に目覚めたのですか?」
「目覚めてないわよ!」
どうやらキリハは、ユーリティアがてっきりボクっ娘に目覚めたのかと勘違いしてくれたらしい。というかこの世界にも存在したんだ、ボクっ娘。
「そんな冗談はさておき、やはりお嬢様はこの会の主催者でございますから、普通の人とは違うものをお見せしたいと考えたんです。この家の当主でもあるのですから、そこは腹をくくってもらわわないと」
「 私もここまで来て今更変えるつもりはないけど、別に普通の踊りでもよかったんだと思うけど。って、今キリハなんて言った?」
「お嬢様はどうしようもないクズと言いました」
「それ絶対言ってないわよね!」
「ではお嬢様は大変お見苦しいと」
「何かさっきの言葉と混ざっているわよ!」
聞き間違いでなければキリハは間違いなくユーリティアを現当主といった。つまりそれは、彼女の両親は本当に……。
「そろそろお嬢様の時間ですね。着替えの方に向かいましょうか」
「え? このドレスで踊らないの?」
「ドレスでは いささか踊りづらいと思いまして、今回は特別な衣装を用意させていただきました」
「特別な衣装?」
なんか凄く嫌な予感がするんだけど。
三十分後。ドレッサールームで着替えを終えた僕は、部屋を出るのを拒んだ。
「どうかしましたかお嬢様。早く向かいますよ」
「で、出れるわけないでしょ。こんな格好で」
その理由は僕の悪い予感の通り、キリハが用意した衣装に問題があったからだ。
「だ、誰がこんな姿で踊らなければいけないのよ」
「お似合いでいいじゃないですか。スクール水着」
「そういう問題じゃないわよ! あと全然似合ってないわよこれ」
キリハが用意したのは、よく学校のプールの時間とかでよく着るあれだ。さっきのボクっ娘も驚いたけど、まさかスク水の概念がこの世界に実在しているなんて。
(って、考えたのは僕か)
もしかして昨日眠気を我慢しながら書いたから、気がついたらこんな内容を書いてしまっていたのかもしれない。少女にスク水だなんて、そんなの……。
(一部の人には受けそうだけど、踊り常に場違いなことが起きそう)
あんな人達の中に、そんな性癖の人なんて……いるわけないよね。
「もうお嬢様、いつまでもダラダラしていないで行きますよ」
「え、あ、ちょっと私のドレスを持っていかないでよキリハ」
「もう着替えている時間はございませんから、我慢してくだい」
「もうどうなっているのよこの舞踏会!」
もうメチャクチャすぎる。
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