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些稚絃羽

探し続ける、僕はずっと

消えた影を追いかけて
行くあてもなく踏み出した
どこにいるの、なんて
声にすることは許せなくて
くうを切り続ける指を噛む

何かの問いの答えをずっと
探しているような気がする

あの人の笑顔に背いたら
車輪は加速し遠のいて
もう一度ここに、なんて
むしろ拒絶が願いになるから
流れる街の匂いが薄れだす

答えを探している問いはずっと
目の前に差し出されていたらしい

月日が刻んだ溝がそこここで
さざ波を立てて打ち付ける
壊してしまえ、なんて
爪先の泥に浸るように
吐いた息が浅く沈み行く

見えない問いの答えはずっと
僕の中にあったのだろうか
逸らした頬の影の隅で
うずくまっていたのだろうか

背中の語る声が聞きたくて
落ちるいつかの涙を拭いたくて
時は進むことしか認めないけど
はじめの一歩 蹴り上げた空に
たゆたう風は春の匂いがする

誰が帰りを待つ街で
僕の歩むべき道は続いていく
探し続ける場所が咲いている

  

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