Opening Is Empty

些稚絃羽

春の詩を歌う

春のうたを歌う
あの人の元へと届くように

早咲きの桜が咲かないまま
いつしか春がやって来る

また二人で見ようねと貴方の約束
この木だけが覚えていて
私一人じゃいつまで経っても咲いてはくれない

春の詩を歌う
あの人をここへと呼ぶように

早咲きの桜が咲かないまま
気付けば木々は新緑へ

一人にできないなと貴方の呟き
私だけが聞いていて
それならどうして私を置いて行ってしまったの

花も葉も出ないまま
この木だけがあの冬から抜け出せない
それをただ見つめる私も
貴方の居ない冬から抜け出せない

春の詩を歌う
もう叶わぬ願いを込めて

春の詩を歌う
空に溶けて貴方の元へと届くように

春の詩を歌う
花へと繋がる雫を一つ土に還すから

春の詩を歌おう
 

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