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些稚絃羽

サヨナラ、僕の青春

サヨナラ 、僕の青春
沈みゆく濁った水の中
浮かんでく空気の粒を見送りながら
もう一度心に呟く
サヨナラ、僕の青春

影さえ見えない暗い夜
月も星もくすんで見えて
見下げるのは鈍く光る瞳だけ
擦れた頬の痛みなんて
歪んだ笑みより軽かった
熱く冷えた空気に落ちる
甲高い声が痛かった

サヨナラ、僕の青春
飛び込んだ砂混じりの水の中
飛び交う無数の声を見送るように
そっと瞳を閉じた
サヨナラ、僕の青春

大人は知らない夜の秘密
誰の手も望めなくて
見上げるのは醜く光る瞳だけ
足を受け止めた腹の痣
きっと黒く染まってる
冷えない熱い身体に落ちる
重く深い音がまたひとつ

サヨナラ、僕の青春
アリガトウ、僕を愛してくれた人
伝えられなかった言葉が最期
心に浮かんだことが救い
もう浮かべない水面を思い
もう一度唇を震わす
サヨナラ、僕の青春
       

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