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些稚絃羽

愛の微熱

冷えた頬を包む手が
小さいのに温かいから
僕は君を愛すのかもしれない


目覚めるのをためらう朝も
泣きたいのに泣けない夜も
少しの笑みを湛えた顔で
何も言わずに寄り添ってくれる
君はどうしてそうなのだろう

失望を求めてふらついた身体も
背中を見るための黒い言葉も
少しの眉の動きだけで
全部を抱き締めてしまう
君はどうしてそうなのだろう

僕が捕らえてしまったなら
君が囚われてしまったなら
自由を君にあげたかった
鳥が翼を広げるように
それ以外にあげられるものがないのなら
自由を君にあげたかった

なのに君は今日もまた
明日もきっとここにいるのだろう
君はどうしてそうなのだろう

好きだからだよ、なんて
そんな答えはあんまりだよ


冷えた頬を包む手が
小さいのに温かいから
僕は君を愛すのかもしれない

思わずくちづけた柔い手が
赤く染まる柔い頬が
どうしようもなく愛しいから

僕は永く続く明日もまた
君だけを愛すのかもしれない

  

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