Opening Is Empty

些稚絃羽

ただひとつの言葉を

ただの音の集まりが
単語になって 言葉になって
そうして心を撫でることだって
確かにあるはずなのに
無垢な顔して尖らせた
剣先が突き立つことだって
確かに知っているはずなのに

戦闘力競うゲームのように
殺傷能力を高めてさ
レベルMAXの武器向けるのは
レベルも振られない村人A?

一撃の強さを知らないから
振りかぶった声を止められない
護る難しさを知らないから
攻撃ばかりが容易になる
饐えた刃の臭いを嗅げよ
舞い戻るライフは価値もない

ただの音の集まりを
単語にして 言葉に変えて
そうして包み込むことだって
確かにできるはずなのに
不器用にも捏ね繰り回した
思いが人を繋ぐことだって
確かにできるはずなのに

言葉の権利を受けたヒトであることを
履き違えちゃいけない
読み違えちゃならない
自由自在で無限だからこそ
削り出していかなくては
限りあるひとつの命のように

ただの音から始まるこの世界を
単語が変えて 言葉が染めて
そうして華やぐ命があるから
確かな声が必要で
届ける声が 言葉があれば
人を繋げる思いだって
確かに生まれるはずだから  

今、確かに色付くひとつの言葉を

  

コメント

コメントを書く

「詩」の人気作品

書籍化作品