続 他称改造人間になった俺

チョーカー

数日前の電話 その続き

 数日前
 あの日の夜。九郷用との電話の続きを思い出す。
『現状報告でもしてもらおうかな。推理でも憶測でも構わないから、お前の考えを聞かせてみろ』九郷用はまだ笑いながら言った。
 色々と考えはあるが、まとまっていない。 さて、どうしたものか。
 「まず、学校に情報提供者が用意されてますよね?」
 『そうだ。お前にはあえて黙っていたが、知っていたという事は接触はしたか?』
 「いいえ。ご存知のとおり接触する前に殺害されました」
 『なるほど、自分で提供者の存在に気づいたということか』
 この事件において被害者と言っていい存在がいるとしたら、屋上から命を落とした少女 安藤栄子。
 彼女が情報提供者である。
 「・・・簡単でしたよ。生徒を覚えるために用意されたリストは、重要性の高い人物から順番になってましたから、平凡な家庭の彼女の重要性は不自然でした」
 まぁ、組織で任務の説明を受けた時、例で出たA子。
 安藤栄子。
 偽名にしてもわかりやすい。意図的に分かりやすくしていたのだろう。
 「彼女が自殺ではなく、殺されたのだとしたら、動機は制裁ですかね?女の子だけの秘密を大人の世界に流出してしまった事でしょうか?」
 『思春期の女の子って奴は俺達が考えるより潔癖らしいからな。そんなことが動機になってしまう。なんでもありえる世界らしいからな』
 「彼女、日高香にとって彼女が作ったシステムを崩そうとする人間は、すべてが敵で裏切り者。占いサイトが彼女の世界。そこまで依存してるかもしれません」
 『ほう、日高香か。意外な名前だが、どうして彼女が犯人だと思っている?』
 「気がついているのかもしれませんが、今まで喋った内容は俺の憶測ですよ。証拠はありません。しかし、揺さぶりをかければ何か出てくるかもしれません」
 『まるで答えになってない返答だな。まぁ、詳しく聞かないでおくよ』
 九郷用の苦笑が聞こえ、それで電話が切れた。
 

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