続 他称改造人間になった俺

チョーカー

暗闇の屋上

 あれから2日後。俺がやったことはパフォーマンスだった。
 周囲に屋上での事件を調べてるというパフォーマンスだ。
 幸いにも篠川先生の件もあってか、俺が生徒や教員に聞き込みの真似をすることを許されるような雰囲気になっていた。
 犯人を煽り、プレッシャーをかけ動かざる得ない状況を作り出す。
 撒き餌は終わり、後は釣りを楽しむだけ。
 さて釣れるものなのか? そう思う暇もなく反応があった。
 仕事に一段落つけて用務員室に戻ると机に一つ手紙が置かれていた。
 内容を確認してみると簡潔に要件が書かれていた。

 『今日、夜7時に屋上で待つ』

 やれやれ、まるで果し合い状みたいな内容だ。
 どうやら、この学校の屋上にはよほどの縁があるようだ。 警察の立ち入り禁止は解かれているが、学校側はしばらく屋上に鍵をかけるつもりらしい。まず、俺がカギを手にしないとダメだろうな。
 そして、夜7時。俺は屋上に向かった。
 雲に月が隠れ、辺りは暗闇に包まれていた。
 しばらく、待っていると入口の扉が開き、少女が現れた。
 日高香 新聞部のあの少女だった。 
 「君が犯人だったのか?」
 その問いに彼女が笑うような表情で答える。
 「犯人ってなんですか?」
 なんだか、話が噛み合わっていない。しかし、彼女が無関係なら屋上にくるはずもない。
 「ここで飛び降りた子なら自殺でしたよ。私の目の前でフェンスに登って、飛び降りました」
 淡々と事実をしゃべっているのような彼女を前にどうしたらいいのか。どう判断したらいいのかわからない。 しかし、嘘を喋ってるには感じなかった。ここで何かがあり、その結果が飛び降り自殺だったのだろう。
 「私はただ知りたかっただけなんですよ。どうして、私のことを嗅ぎ回っているのか?どうして?」
 私は、ただ占いをしてただけなのに?
 どうして私を探すの?まるで今のあなたのように

 彼女の訴えに答えられず、俺は立ちすくむだけだった。
 俺の最初の目的はなんだったのか? 
 占いサイト。そう、異常に情報が溢れてるしまってる占いサイト。
 その相手が社会に影響を与えかねない社長令嬢達だから、やめてもらいたい。
 やめなくても自重してほしい。 そういう警告、というよりもお願いをするのが目的だった。
 自分たちの組織にも影響がでてしまうから。
 少なくとも建前上は・・・。
 たぶん、本当に組織が期待してるのは、情報収集の方法を知ること。
 いや、情報を乗っ取ることかな? この情報能力は、組織に取っても喉から手が出るほどほしいものだろう。 
 しかし、目の前の彼女にそれを伝えてどうなるのか?
 もう、この出来事は人死が出てしまい、そういう枠組みを越えてしまっている。
 答えがでない。

 それでも何か言葉をかけなければいけない。彼女に近づこうとしたが、思わず立ち止まった。
 彼女は何かを持ってコチラに向けている。それに気づく。
 やがて、雲に隠れた月が顔を出し、月明かりが戻ってきた。
 彼女の手には、スリングショットという凶器が握られている。

 


 
 

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