続 他称改造人間になった俺

チョーカー

屋上にて

 ようやく解放されたのは、日付も変わる深夜だった。
 この学校の生徒が死亡した。俺は、その第一発見者として警察に根掘り葉掘り話を聞かれたのだった。
 よく言う、第一発見者が疑われるってのは本当みたいだ。
 しかし、俺の偽名である元下学が警察のような組織に通じるのが意外だった。
 はっきり言ってしまうと、俺は組織にそんな力があるとは思っていなかったのだ。
 しかし、実際は警察に対してある程度の影響力を持っているようだ。
 なんだろうか? うまく言葉にできないが、イビツな感じがする。
 そんな権力があるなら、俺を学校に潜り込ませて調査させるよりスマートな解決法がいくつもあると思うが?
 逆に言えば、この任務は俺が担当する必要性があるのではないか?
 そう思うと、島崎美鈴と島崎浩一郎の幻影が頭にチラつく。
 やはり、関係あるのだろうか?

 ただなんとなく、外から校舎を眺めているとあることに気がついた。
 屋上に誰かいる。一瞬だったが、屋上に僅かな光が見えたのだ。
 屋上は、事件現場の可能性が高いということで、立ち入り禁止になっているはずだが、もう警察も帰っているはずだ。
 では、何者が、なんの目的で? 俺は、屋上に向かうことにした。
 やはり、屋上に出るドアには立ち入り禁止になっていたようだ。
 しかし、立ち入り禁止を意味するKEEPOUTの黄色いテープは何者かによって、むちゃくちゃに破り捨てられていた。
 このドアの向こうに、その相手がいるのだろう。相手はこの生徒を殺した殺人犯かもしれない。 そう考えると緊張感が増してきた。 俺は大きく息を吐くと、音がしないようにゆっくりとドアノブに手をかけた。
 そして、屋上には一人の男がいた。
 その人物は篠川篤嗣。
 篠川先生は、一人屋上でタバコを吸っていた。
 やがて俺に気がついたように、片手を上げて挨拶してきた。
 「やぁ、元下さん。一緒にどうです?」とタバコを進めてきたが、タバコを吸った記憶のない俺は丁重にお断りした。
 そのまま沈黙の続く中、意を決して聞いてみた。
 「なぜこんなところでタバコを?篠川先生がテープを破ったんですか?」
 「なぜと聞かれても学び舎ですから、校内じゃタバコは吸えないんですよ」
 なにか噛み合わない答えが返ってきた。
 いや、そういうことじゃなくてと口ごもる俺に篠川先生は話を続けた。
 「教師をしてると、こういうことに出くわすことは1度や2度じゃないんですよ」

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