《異世界の主人公共へ》

怠惰のあるま

《ヤンデレ爆誕》

新たな四天王を迎え入れることができたので、朝食を食べるべく拠点に戻ろう。

ベリアスさんは何か気になることがあるようで首を傾げたりしながら後ろをついてきました。

拠点が見え始めた頃、ずっと黙り込んでいた彼女がくだらないことを聞いてきた。

「主はそんな強いのに、なぜ魔王になろうとしないんだ?」
「あ?たらたんに面倒くさいだけだ」
「本当か......?」

実際は俺は魔王にはなれない、何故かは覚えていないがただ《なれない》と言うことだけは言える。

昔なにか約束でもしたのかな?昔のことなんかまったく覚えてない。とにかく腹が減ったから急いで帰ろう。

拠点に帰る間もベリアスの俺への疑念はなぜか晴れてくれず、むしろ深まる一方だそうだ、迷惑な悪魔さんだ。

彼女の疑念が晴れぬまま拠点に到着、建物の中に入ると朝食が出来ておりテーブルの上に並べられていた。

カイネだけが座って待っているところを見ると、あの三人はまだ戻ってきていないと言うことか。なにをやっているんだ。

ただいま、とカイリさんに言うとなぜか構えられた。そしてなぜか、なんだよって顔をしている。俺なにもしてないよ?

「ボケると思って待ち構えてたのに」
「いつもボケてねえよ!」
「で?召喚結果は?」
「(無視ですかそうですか)成功したよ、一応」
「一応ってなんだ一応って」

変にツッコミ入れられるから俺がボケてるみたいになるんだよな。俺はボケているつもりは毛頭ありません。全ての行動一つ一つが素です。

「そいつは?」
「ベリアスと言う上級悪魔さんです。生贄使って召喚したのに力ずくっておかしいと思わねえ?」
「あんたが生贄だからでしょ?」

何それ酷い。百歩譲って俺が原因だとしても生贄捧げたら普通それだけで済むと思いますが?

呆れた顔ではいはいと言い、ベリアスの方を見るとなぜかキョトンとしている彼女を見てクスッと笑った。

「なんで知ってるんだろうって顔してるね?こいつの異常さを近くで見てると大体想像できる」
「確かに異常だ」

俺って仲間集め向いていないのかな。毎回だけど四天王になる奴や幹部どもは個性豊かすぎるんだよなぁ。

ましてや毎度のように俺をいじめてくるんだ。パンドラだけだ、俺をいじめてこないの。あくまでいじめては、だ。あの娘もあの娘で個性的すぎる。

この悲しみをベリアスにぶつけた時、とっくに朝食の時間が過ぎていることに気が付いた。腰を床に着いて怯えている彼女を無視して俺は朝食をいただくことにした。

カイリがガタガタと震えているベリアスの肩に手を置き慰めると自分が体験したことを語り始めた。

「あれはもう恐怖以外で表せない......!体をどれだけ砕いたり引きちぎっても死なずに笑いながら近づいてくるんだ............しかも強さも筋金入りと来て、まるで魔王を相手してるみたいだった」

悪魔のベリアスですら体を震わせ血の気が引いたように顔を青ざめさせた。土の四天王を見ながらカイリは彼の異常な強さはどうやって手にしたものなのか疑問を抱いていた。

「主はなんで魔王をやってないんだ......?」
「そういえば、なんであいつが魔王をやらないんだろう?」

彼女たちの疑問を尻目に予想以上に美味しい朝食に満足している死にたがりの四天王であった。

朝食を食べ終えた頃、パンドラとエンリそして涙目のムーさんが一緒に戻ってきた。

「おかえりパンドラ」
「お兄ちゃんただいまー!!」

元気に俺に抱きついたパンドラは嬉しそうに顔を擦り付けてきた。

一応いい年なんだからこうゆうのは控えような?それを見たエンリは羨ましそうな顔をしていた。

「ツッチー!私には?」
「はいはい、おかえり」
「ぶー!」

ぶーって子供かよ。ちゃんと挨拶しただろうに、それよりもなんでムーさんは目を合わせてくれないんですか?ちょっと悲しいですよ。

「ムー?おかえり」
「え?あ、うん............ただいま......です」

だから、なんで顔を合わせてくれないんだよ。俺なんかした?だとしたら怒って俺をぶん殴るか殺してくるから違うな。

それとも、さっきからそこでひそひそ話してる奴らのせいか?どれだけ変なことを言われたんだか......。

「なあ、ムーどうかしたのか?」
「そうゆうわけじゃない......」

どんどんしおらしくなっていき、頬も徐々に赤く染まっていく。なんというか可愛いと思えた。

ムーが女の子っぽくなってる。いや、女の子なんだけどさ。

そんなオドオドしているムーさんを見かねたパンドラが元気づけるように言った。

「ムーさんもっと素直になってよ!」
「素直って言われても......」
「私達が教えたでしょ?素直がいいって!」

それが原因だな。エンリとパンドラの二人に迫られ、何かを吹き込まれたんだろうな。それが、かなり怖かったんだな。

しかし、その言葉で元気になったかは知らないけど勇気付けられたようです。素直という言葉をブツブツと言いながら何かを頑張ろうとしていました。

すっげえ嫌な予感するんだけど。気のせいですか?やっと目を合わせてくれたムーさんの目はとてもキラキラとしていてまるで星屑のように綺麗だった。

「た、隊長!えっと......その......隊長は、なんで私を助けてくれたの?」
「そりゃあ、死にかけてたら助けるだろ普通」
「魔族なのに.........?」

まあそうなるだろうな。俺は魔族で相手は人間、助けるどころかあの時は敵同士だった。

なんでだろうな。昔っからだった気がする、誰かれ構わず困ってる奴を助けるの。

けど、ムーの時は違う。同胞である魔物を助けてくれた上に庇ってくれたんだ。それ以上にこいつは助けたいと思ったんだ。

「そうなんだ............それじゃあもし私がいきなりいなくなったら?」

気のせいかこれを聞いた時のムーの顔が悲しそうな顔に見えた。

それに、ムーがいなくなったら..................か。考えたこともなかったな。けど、そんなことは許さない。

勝手に俺の前からいなくなるのは絶対にダメだ、俺のそばに居てもらわないとしっかりとした人物がいなくなってしまう。

それに仮にそうなったとしてもーーーーー

「世界中のどこにいても見つけて引きずり帰ってやる」

一瞬、ムーの顔が笑った気がした。そして、その笑顔がとても愛おしく思えた。なんでだろうな。

嬉しそうに笑っているムーに見惚れているとパンドラがあることに気がついた。

「そういえばお姉ちゃんだれ?」
「お、お姉ちゃん!?」
「ほんとだー!新しい人?だぁ!」

紹介し忘れてた。さらにいたの忘れてた。まあ、仕方ないね影薄かったから。そんなベリアスに対して不服そうな顔をしているムーが言った。

「隊長?なんでまた女の子なんですか?」
「俺が聞きてえよ。てか女だとダメなのかよ」

俺が軽い冗談で言ったつもりの言葉に笑っているはずのムーの顔が歪んだ笑顔に変わっていた。

もしかして、超怒ってる?背中からもドロドロと黒いオーラのようなものが出ているし、部屋の空気がとっても重い。なんと言うか、汚染エリアに入った気分。

その元凶のムーさんが歪みきった笑顔と声で答えた。

「はい。隊長は私のですから」
「え?お、おい!待て!いままで散々俺のことを馬鹿にしておいて、いきなりお前もパンドラ達みたいなこと言ってんじゃねえよ!!」

こいつらだけで精一杯だって言うのに、めんどくさい性格の奴が増えただけじゃないか!俺の仲間はどうしていつもこうなんだ!!

「大丈夫ですよ。隊長に近づく女狐は叩きのめすので」
((なんか素直になりすぎじゃないこの子))

なんだろう。今のムーからはいじりたいと言う気持ちが出てこなくなった。むしろ怒らせたらいけないと本能が語ってる。

つまらないけど、これはこれでいいかもな。ムーが素直になったのはいい事と言える。それにちょっとだけ昔みたいにムーと接したかったから、結果オーライってやつだ。

今回の成果は四天王の一人としてベリアスが仲間となり、ムーがとても素直になりました。

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