《異世界の主人公共へ》

怠惰のあるま

《生贄・・・それは俺だ!》

朝食を作ってもらうべくカイネが寝ている部屋へ向かった。説明していなかったが、俺達の拠点は意外に広く設計している。

女の子が多いために部屋は個別でないといけないだろ?ムーさんは今まで、俺と一緒の部屋でしたが、女の子になってからは個室を作ってあげた。殺しにかかってくれるのは嬉しいけど、睡眠妨害はご遠慮いただく。

軽い拠点説明は置いといて、カイネの部屋に着いた。ドアを開けると、いつの間に持ってきていたのかベッドで寝ていました。最初は優しく起こしたのだが、起きる気配が全くない。

体も多少は揺すってみるが効果はない。しょうがないので荒く起こすことにする。荒いと言っても脅迫するだけさ。

「カイネさぁん?起きないとゾンビにするぞ?」
「うわあ!!」

ものすごい勢いで跳ね起きると、寝ていたベッドからずり落ちた。相当怖かったのか起きても体が震えていた。そんなことを知らない振りして挨拶をした。

「おはようカイネ」
「あんたの冗談に聞こえないんだよね・・・本当にやりそうで怖い」

あなたが望むのなら俺はゾンビにしてあげますよ。けど、俺自身ではゾンビになるのを勧めることは絶対しません。俺と同じ目にあって欲しくないからさ。

カイネの震えがおさまると立ち上がり、着替えるからと言って追い出された。覗きの趣味は無いので、ドアの前で座りながら待っていた。

数分が経ち、ドアが開くと同時に頭を少々強めに叩かれた。理由は少しは覗いたりしろよ、だそうです。理不尽だ。

「それで何のよう?」
「朝食作れる?」
「・・・・ムーに頼めばいいじゃん」

ことの事情を、カイネに説明すると、とても呆れた顔になっていました。まあ、無理も無いよね。内容が幼稚だもん。俺でさえ、呆れるほどだもの。

「ムーも可哀想な役柄だねえ」
「まあ昔っからだ。朝食は?」
「軽くなら作れる」
「なら頼んだ」
「待て?どこ行くんだ?」

え?どこ行くってカイネ選手が作ってる間、俺は安心かつ健康的に死ねる方法でも考えようとしてたんだけど。何かご不満でもあるのだろうか。

「お前も手伝え」
「やだ。てか無理」
「どうせ暇だろう?」

カイネの一言はとても心外だ。死ぬ方法を考えるのに、とてつも無く忙しいんだぞって言ったら怒りそうだから言わない。だから、俺は召喚をするから忙しいと嘘をつき場を逃れようとしました。

いや、召喚っていろいろ準備がめんどくさいんだよね。ぶっちゃけやりたいとは思えない行為です。しかし、カイネさんはそんな冗談を本気にしてこう言って来ました。

「それがもし嘘だったら命がないと思ってね?」
「やったね!!」
「喜ぶな!!」

まあ、さすがに、ちゃんと召喚術やらないと朝食を抜きにされそう。不老不死でも、朝食は食べたい。頑張ってきますか。

拠点の近くにある草原に移動した。ここなら、特に被害を受けても、いいだろうし、生き物は俺ーー生き物ではない死に物だーー以外いない。安心して、召喚の準備ができる。

召喚術式を書き、中央に立ち両手をぱんっ!と合わせ地面に勢い良く置くと召喚ができると思った?残念、生贄が必要です。俺が召喚したい奴がね。生贄はどうするのかって?もちろん俺だ。死ねるかもしれないからな。

「古の魔神よ!捧げし供物と引き換えに、我が願いを叶えよ!出でよ!炎の魔神ベリアス!」

定番とも言えるお言葉を言い終えると、雲が集まり太陽を隠し天気が荒れ、黒雷が召喚陣に降り注いだ。もちろん俺に的中。魔界の雷は触れた生き物を防御無視で消し炭にするほどの電力だ。

流石のゾンビである俺もこれは何回も受けたいとは思わないほどに痛い。しかも、たとえ耐えれたとしても、状態異常を付与するタチの悪い雷だ。

俺の場合は、土だが電力が桁違いのために消し炭にされた。そんな魔法陣の中央に、謎の生き物がいた。頭には金色に輝く、二対の角が生え、背中からは、広げれば二、三メートルはあるコウモリのような黒い翼、すらっとした足と、ほっそりとしたくびれ、そして、誰もが目のやり場に困りそうな豊満な胸。まさに美女と言う言葉が似合う、悪魔がそこに立っていた。

「この男は馬鹿なのか?自分を生贄にして召喚する奴なんて、聞いたことないぞ」
「そんな物好きいないだろ」

呆れた口調の美女に即再生した俺は言葉を返した。

「まったくだーーーーーーって、なぜ生きている!?」
「生きてるとは自分でも思わなかった」
「き、貴様なんだというのだ一体!」
「土の四天王です」

名前はないけどな。自分で言ってて悲しくないかって?いつも死ねなくて悲しいから、全然悲しくありません。部屋の隅で体育座りしていたいなんて、ぜんっぜん思ってなんかいないからね。

「土の四天王って、あの死にたがりの不老不死か?でも不老不死だからって、生贄になったら、普通は死ぬだろう?」

俺ってば魔界でも有名なのか。生贄で死なないことについては、俺にだってわからん死ねなかったと言うのは事実だけど、おれの体が勝手に生き返るだけだもの。

「呪いみたいなものだし?それよりも、俺はべリアスを召喚したはずだけど」
「何を言っている?私が、ベリアスだ」

ちょっとお待ちください。ベリアスって女だったのか。俺は、もっとごつくて、いかつい目をして狂気を撒き散らし、見たもの全てを殺してやろうってほどのさっきを持っていて、男らしくて残虐非道なやつを期待してたんだけど、実際はボンキュッボンで、金髪サラサラヘアーで、まさに美人!って感じの美女だった。

まあ、あれだね。期待するだけ無駄だってことだ。でも、相当な魔力を持っているから本物だと言うことはわかる。



「《異世界の主人公共へ》」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く