ルームメイトが幽霊で、座敷童。
姉弟の決意と秘密手段
ふと俺は腰にあるホルダーに収納されていたものを見る。
封霊銃、ピースフル・フィスト。
俺が持つことを許された、じいちゃん譲りのそれは鈍い光を放っていた。
俺は本当にこれを持つべき人間なのだろうか。
神憑きであるにもかかわらず、カミサマを憑かせることのできなかった俺は、とんでもない異端児だ。いや、異端児ではない。出来損ないとも言える。
この銃から放たれる弾丸が霊にあたると封印される。それが例え、どんな霊であってもだ。
ならば、それは妖怪にでも成立しないだろうか? 霊とかいいながらカミサマも封印できるんだから、妖怪だって封印できてもおかしくはない。
すたすたと歩いていく姉ちゃんに、俺は言った。
「姉ちゃん」
姉ちゃんは止まることなく歩いていく。
「いや、この場合は……副署長とでも言えばいいのかな。とにかく、今俺に課せられた命令は『帰れ』ということだった。そうだよな?」
姉ちゃんからの返事はない。
姉ちゃんからの返事を望んでなどいなかった。
俺は話を続ける。
「姉ちゃんがそうならそうでいいんだけど。俺はとりあえず一応言っておかないと気が済まないから言っておく」
ピースフル・フィストを姉ちゃんに向けて。
俺は言った。
「俺は今から碧さん……アマテラスとともに百鬼夜行を倒しに行く。文句は聞かない、以上!」
そう言って踵を返し、俺は碧さんの元へと向かった。
なんか嫌な予感がしたのは、誰にも言いたくなかった。
◇◇◇
「……やっぱりね。まあ、言っても言わなくてもきっとあいつはそういう選択肢を選んだと思うし、それ以外にあいつが選ぶ選択もなかった」
私は独りごちる。物事を整理するときはこういうふうにするのが一番だ。
「それにしても……嫌な予感がするな。なんというか……本当に……」
嫌な予感がする。
それもアマテラスなどにはかなわないような、なにか重大な出来事が、起きようとしている。
だが、私は私のことをしなくてはならない。
そう思って、私はある場所へと向かっていたのだ。
そして、その場所へとたどり着いた。
そこは小さな蔵だった。その蔵は古びた鍵がついていたが直ぐに外すことができた。
扉を開けて中に入る。中は非常に埃っぽいが、そこには何もなかった。
机の上に乗っかっている、剣を除けば――の話だが。
その剣は瀬谷家に伝わる大事な宝だった。強いて言うならば、もともと古くは武士であった瀬谷家が持っていたものであり、それが今まで受け継がれているといえるだろう。
「よお、俺は今までどれくらい眠っていた? そして今は何年だ」
その声に、私はもう驚くことはない。
その声は――私の目の前にある剣から発せられていた。妖刀、とでもいうのだろうか。私の目の前にある剣は妖刀の類だった。
私は頭を下げる。
「力を貸してくれ。……『雪斬』」
その言葉に、妖刀『雪斬』は笑ったような気がした。
封霊銃、ピースフル・フィスト。
俺が持つことを許された、じいちゃん譲りのそれは鈍い光を放っていた。
俺は本当にこれを持つべき人間なのだろうか。
神憑きであるにもかかわらず、カミサマを憑かせることのできなかった俺は、とんでもない異端児だ。いや、異端児ではない。出来損ないとも言える。
この銃から放たれる弾丸が霊にあたると封印される。それが例え、どんな霊であってもだ。
ならば、それは妖怪にでも成立しないだろうか? 霊とかいいながらカミサマも封印できるんだから、妖怪だって封印できてもおかしくはない。
すたすたと歩いていく姉ちゃんに、俺は言った。
「姉ちゃん」
姉ちゃんは止まることなく歩いていく。
「いや、この場合は……副署長とでも言えばいいのかな。とにかく、今俺に課せられた命令は『帰れ』ということだった。そうだよな?」
姉ちゃんからの返事はない。
姉ちゃんからの返事を望んでなどいなかった。
俺は話を続ける。
「姉ちゃんがそうならそうでいいんだけど。俺はとりあえず一応言っておかないと気が済まないから言っておく」
ピースフル・フィストを姉ちゃんに向けて。
俺は言った。
「俺は今から碧さん……アマテラスとともに百鬼夜行を倒しに行く。文句は聞かない、以上!」
そう言って踵を返し、俺は碧さんの元へと向かった。
なんか嫌な予感がしたのは、誰にも言いたくなかった。
◇◇◇
「……やっぱりね。まあ、言っても言わなくてもきっとあいつはそういう選択肢を選んだと思うし、それ以外にあいつが選ぶ選択もなかった」
私は独りごちる。物事を整理するときはこういうふうにするのが一番だ。
「それにしても……嫌な予感がするな。なんというか……本当に……」
嫌な予感がする。
それもアマテラスなどにはかなわないような、なにか重大な出来事が、起きようとしている。
だが、私は私のことをしなくてはならない。
そう思って、私はある場所へと向かっていたのだ。
そして、その場所へとたどり着いた。
そこは小さな蔵だった。その蔵は古びた鍵がついていたが直ぐに外すことができた。
扉を開けて中に入る。中は非常に埃っぽいが、そこには何もなかった。
机の上に乗っかっている、剣を除けば――の話だが。
その剣は瀬谷家に伝わる大事な宝だった。強いて言うならば、もともと古くは武士であった瀬谷家が持っていたものであり、それが今まで受け継がれているといえるだろう。
「よお、俺は今までどれくらい眠っていた? そして今は何年だ」
その声に、私はもう驚くことはない。
その声は――私の目の前にある剣から発せられていた。妖刀、とでもいうのだろうか。私の目の前にある剣は妖刀の類だった。
私は頭を下げる。
「力を貸してくれ。……『雪斬』」
その言葉に、妖刀『雪斬』は笑ったような気がした。
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