ルームメイトが幽霊で、座敷童。
独白と神様の一触即発(中編)
でも。
そろそろ私は私として頑張らなくてはならないのだろうか。
日本という場所を創ったときのような忙しさを、また経験しなくてはならないのか。だから私は……あの世界から飛び出たというのに。
カミサマは、腐ってもカミサマだ。
かつて一緒に暮らしていたアイツの言葉が耳に残る。
「……ほんっと、くだらない話よ」
私は呟くと、行動を開始した。
――これが、私の最後の戦い、みたいなものを私は心の中でなんとなく思うのであった。
◇◇◇
人間界より遥か空にある、神界という場所がある。
それはカミサマが住む世界だ。しかしたまにカミサマに認められた人間が住むこともある。
「……アマテラスの所業、今まで見てまいりまして……どうお思いかな、スサノオ殿」
男の言葉を聞いて、スサノオと呼ばれた男は頷いた。
彼は剣を持っていた。その剣は彼が少年だった頃から持っていたものになるが、錆一つ見えない。
スサノオの茶がかった瞳が輝いた。
「……確かに自由奔放な姉ちゃんらしいな。甘いものも相変わらず好きらしいし。にしても姉ちゃんが神界を出て行ってどれくらいになる? もう三年か?」
「お前はいつまでたっても、そういう感じでいくつもりなのですね、スサノオ」
そう言ったのは最初に発言した男の横に座っている、凛とした女性だった。その名前をイザナミという。かつては人間に取り憑いて『死』を予言したカミサマであったが、今はイザナギのいるオオヤシマと呼ばれる神界を管理する組織に所属している。
イザナミは反応しないスサノオを見て、さらに話を続ける。
「……私たちだって心苦しいのですよ。三年前、アマテラスが突如『広い世界を見たい』などと言ってこの世界を後にしました。その時私たちが明示した条件を、あなたは覚えていますね?」
「ああ」
スサノオは溜息を吐いて、言った。
「神界の決議に反する行動を取った場合、神の権利を剥奪する……だったな」
その言葉は、深く重かった。
では、その決議の内容とは……何だったのか。
「スサノオ、お前も人間に深い思慕を抱いているカミでしたね。……辛いのは解りますが、仕方ないことです。人間は……力を持ちすぎました。そして我々を敬い尊ぶ気持ちすら薄れてきているのですよ」
「それは解っている。だが、それは強制するものじゃないんじゃないか?」
「かつて、カミの力を人間に入れて……悪用した組織がいたことをお忘れですか! あれは確か二年前のことです。カミの力を奪い、それを人間に加えた! あれのことを……忘れたとは言わせませんよ!」
「よすんだ、イザナミ」
激昂するイザナミを隣にいる――イザナギが制した。
そろそろ私は私として頑張らなくてはならないのだろうか。
日本という場所を創ったときのような忙しさを、また経験しなくてはならないのか。だから私は……あの世界から飛び出たというのに。
カミサマは、腐ってもカミサマだ。
かつて一緒に暮らしていたアイツの言葉が耳に残る。
「……ほんっと、くだらない話よ」
私は呟くと、行動を開始した。
――これが、私の最後の戦い、みたいなものを私は心の中でなんとなく思うのであった。
◇◇◇
人間界より遥か空にある、神界という場所がある。
それはカミサマが住む世界だ。しかしたまにカミサマに認められた人間が住むこともある。
「……アマテラスの所業、今まで見てまいりまして……どうお思いかな、スサノオ殿」
男の言葉を聞いて、スサノオと呼ばれた男は頷いた。
彼は剣を持っていた。その剣は彼が少年だった頃から持っていたものになるが、錆一つ見えない。
スサノオの茶がかった瞳が輝いた。
「……確かに自由奔放な姉ちゃんらしいな。甘いものも相変わらず好きらしいし。にしても姉ちゃんが神界を出て行ってどれくらいになる? もう三年か?」
「お前はいつまでたっても、そういう感じでいくつもりなのですね、スサノオ」
そう言ったのは最初に発言した男の横に座っている、凛とした女性だった。その名前をイザナミという。かつては人間に取り憑いて『死』を予言したカミサマであったが、今はイザナギのいるオオヤシマと呼ばれる神界を管理する組織に所属している。
イザナミは反応しないスサノオを見て、さらに話を続ける。
「……私たちだって心苦しいのですよ。三年前、アマテラスが突如『広い世界を見たい』などと言ってこの世界を後にしました。その時私たちが明示した条件を、あなたは覚えていますね?」
「ああ」
スサノオは溜息を吐いて、言った。
「神界の決議に反する行動を取った場合、神の権利を剥奪する……だったな」
その言葉は、深く重かった。
では、その決議の内容とは……何だったのか。
「スサノオ、お前も人間に深い思慕を抱いているカミでしたね。……辛いのは解りますが、仕方ないことです。人間は……力を持ちすぎました。そして我々を敬い尊ぶ気持ちすら薄れてきているのですよ」
「それは解っている。だが、それは強制するものじゃないんじゃないか?」
「かつて、カミの力を人間に入れて……悪用した組織がいたことをお忘れですか! あれは確か二年前のことです。カミの力を奪い、それを人間に加えた! あれのことを……忘れたとは言わせませんよ!」
「よすんだ、イザナミ」
激昂するイザナミを隣にいる――イザナギが制した。
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