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ルームメイトが幽霊で、座敷童。

巫夏希

ゲームの食事は賛否両論(後編)


「あぁ、いい匂いだねぇ。焦がした醤油と……これは、インスタントコーヒー?」

 いやいや、そんな馬鹿な。幾ら何だってラーメンにインスタントコーヒーを入れるのはないでしょうよ。インスタントコーヒー自体(もしくは現実でいうところのそれ)はあるだろうけれど。

「よく解りましたね?」

 奥からそれを聞いたらしきリザが笑顔で戻ってきた。
 彼女はお玉を持っていた。その中から湯気が出ているところを見るに、その中には何かが入っているらしい。

「インスタントコーヒーをほんのちょびっと入れると味に深みが出るんですよ。でも香りには反映されないくらいしか入れてないはずなんですけれどねぇ……」
「ふふーん、私の鼻をなめないでもらいたいね」

 そう言って碧さんはドヤ顔した。いやいや、これそういうゲームじゃねぇから!

「……にしても素晴らしい嗅覚の持ち主ですね。もしかして、『学者』様の称号を持っているんじゃ?」
「学者?」

 碧さんはぽかんと口を開けて、呆れてしまった。ここはゲームの世界だから、ある種の冗談じみたことも現実みたく思えてしまう。いや、間違ったことではないのだろうが、学者という称号もきっとその類いだろう。

「……プロフィール画面に『title』と書かれた画面がありません?」

 “title”。題字とかそういう意味かと思うが、その流れからすれと恐らく『称号』ということだろう。

「あ、あぁ。思い出した、確かに私は学者だよ」

 碧さん、そこは素直に「外の世界から来たので解りません」とでもはっきりと言えばいいのに、そう言わずになぜそう答えた。なぜそれを数ある答えの内から選択したんだ。疑問しか湧いてこない。

「……さすがは学者様ね」
「あ、あのー……ラーメンのほうは……?」
「えっ?」

 流石に忘れていたとは言わせないし、彼女も俺のそれを聞き、思い出したらしい。
 もう、随分と話していた。ラーメン調理の真っ最中に。
 と、いうことは。
 ――ラーメンはもうすっかり食べ頃を見失った、ということであった。


 ◇◇◇


「さ、さぁ、召し上がれ!」

 投げキッスが加えられても食べようとは思わない。
 何故か?
 それは簡単なことだ。伸びきった麺に萎びた野菜、さらには海苔も水分を吸ってへなへなという事態。なぜ交換しねぇんだよと突っ込みたいところだが、信楽さんが「伸びたラーメンも美味しいじゃないか!」とこういう時に入れなくていい、なんとも最悪なタイミングで彼女を思いやったためで、何だかその後から交換を申し出るのも癪だと思い、伸びきったラーメンを食べている次第であった。
 しかし……、このラーメンは伸びていても美味かった。ステルスマーケティングではない。本当に、美味いものであった。
 伸びていてもこの状態ならちゃんとした状態だとどうなるのか……考えるだけで涎が出そうだ。

「……ところで」

 リザが、ちょうどラーメンが食べ終わり口の周りを拭いていたヒトミに訊ねた。


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