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ルームメイトが幽霊で、座敷童。

巫夏希

幽霊の正体は奇想天外(後編)


「……ところでさ、碧さんに任せきれるの?」
「美夏さんは碧さんのチート能力を知らないからね。……なぁに、直ぐに解るよ」

 碧さんの能力を知っているのは……俺と姉ちゃんくらいだろうか。神事警察でも今までは何だかんだでこの能力を使うような事態には陥らなかったからな。
 それほど、リスクの高い能力――ということだ。しかし、その分リターンも大きい。だが、俺は今までリスクのみを鑑みていたから、この能力をあまり使わせなかった。
 だが。
 今こそ――それを使うべき、だった。

「碧さん!」
「……『分離』!!」

 ただ。
 ただその一言を発しただけだった。
 碧さんの周りに竜巻が巻き始める。それと共に轟音も唸り始めた。
 周りの人間も顔には見せていないが困惑している。当たり前だ。今まではそんな能力なんてないと思わせていたんだからな。

「まだこんな力を残していたとは……!」
「別に私はあれが『全力』だとは言ってないわよ?」

 碧さんはきっとそんなことを言っているのだろう(余談だが、距離があって碧さんの声は聞こえない。無論、海馬王明の声もだ)。
 だが、そんなことだろう。間違ってはいないはずだ。
 碧さんの能力は『分離』。簡単に言えばそういうことだ。最小単位にまで物質を『分離』させる。
 分離させることは最強だが、それが使える回数は限りあるため、使い所を見極めるのが大事だ。

「……さぁ、あんたを今どうするか解るかな? 人間は七十パーセント、あんたは『水』のカミサマと同化しているのだからそれ以上。恐らく、限りなく百に近い比率だと思うのだけれど……さて、その水分子を全て水素と酸素に分離させたらどうなるかなぁ?」

 碧さんは笑っていた。
 人間でも、そう簡単には出来ないことをいとも簡単に実行しておいて、笑っていた。普通なら、人間ではない。
 だが、碧さんは人間であって人間でない。
 幽霊――黄泉の住民だ。
 それに人間界の常識など通用しない(だからこそ、人間界にいる幽霊、霊体は法律で厳しく人間界の常識を守らせるようにしている)。

「さすがは…………だな……!」
「今更尊敬されても遅いけれど?」

 海馬王明は身体の殆どが酸素と水素に分離させられた。なのに、まだ彼処まで喋れるとは並大抵の神憑きではない。だが、碧さんのあれを喰らってしまえばもう助からない。……その逆の能力を持った霊体が居れば、の話だが。

「……私を倒しても、まだ駄目だぞ……! ゲームに閉じ込められた人間は助けられまい!!」
「それくらいは解っている。……あ〜あ、早く帰ってゲームしたいよまったく。ログインボーナスも結構もらってないから、それくらいのリターンは今回の仕事で貰えればいいけどね」

 碧さんの言葉に海馬王明は呆れていた(既に俺は碧さんの傍に辿り着いている)。
 だろうな。碧さんはあくまでも『ついで』に俺に付き合っているだけなんだから。リターン(主にゲームについて)があるからこそ、碧さんは俺の仕事を手伝ってくれるに過ぎない。鎌倉時代にあった『御恩と奉公』に近いシステムだ。


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