ルームメイトが幽霊で、座敷童。
カミサマの同化と特殊能力(中編)
「火を水で打ち破る、ならば話は解るけれどね。バケツ一杯の水を火にかけてやりゃいいんだ。大抵のパターンはそれで消えるものだ」
「馬鹿じゃねぇんだ、俺だって。それくらいのことは知っているさ。……だが、最近のニュースでは火は水で消えないし、火を効率よく消すってんなら土をかぶせて空気に当てなきゃいいんだ」
「つまり火から空気を無くせばいいんじゃないかね? 正確には空気じゃなくて酸素だけれどさ」
碧さんが一々言わなくても、それくらいは解る。
だからこそどうするべきか対策を練っているわけだ。信楽さんたち虚数課の人が頑張って抵抗していたとしても、そう長くは持たないだろう。
だからこそ、だ。
……待てよ。さっき碧さんはこう言ったな。
――まぁ、正確には空気じゃなくて酸素なんだけどね。
酸素……つまりO2だ。酸素イオンが二個結合した形……!
「そうか……これで行けるぞ……!」
俺はある対策を考え付いた。
実際にはある小説で読んだものだが、そんなものはどうだっていい。
「なぁ碧さんに美夏さん」
「なんだ?」「なんね?」
二人は同時に答えた。二人が居れば……俺が考え付いたこれも不可能でないと思う。
「俺が考え付いた方法なら……確実にあいつを倒せるんだが、どうだ? やってみる気はあるか?」
俺の言葉に二人は呆れることもなく、頷いた。これが第一段階だ。呆れてくれなくてよかったよ。
「そうは言うけど……あんた本当に倒せる自信あるの? 幾ら不死身だからって無鉄砲に突っ込ませるとかさせないでよ?」
片方は既に死んでいるというツッコミは無しですかね?
まぁ、そんなことはどうだっていい。今はあいつを行動不能(出来ることなら倒す)にしときたいのだから。
「さてと……というわけで……!」
作戦開始、だ。
◇◇◇
「碧さん頼むぞ!!」
「任せとけぇい」
碧さんは非常にかったるそうな感じで言った。しかし、大丈夫だろうか? ……まぁ、いつもはあんな感じだけど、実際には強いし、大丈夫だろう。
碧さんが向かったのを見てもなお、海馬王明は笑っていた。
強者の余裕、とやらだろう。
それもいい。笑っていれば、いい。
その笑顔が――この攻撃を受けても続いていれば、の話だが。
「……特攻か。弱者がやるような行動、パターンじみているな。……アホらしい。そういうのは弱者がすることだ。『神憑き』がやる行動ではない」
「はたして、そうと言えるかな?」
「小童が」
「酸素の構成ってものは結構固くてね、相当エネルギーを与えないとイオンになってくれないんだよな」
「――それがどうした?」
ほら見せやがった。
お前が考え付くことのなかったお前への対抗策を。
既に俺は見つけちまったんだよ。
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