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ルームメイトが幽霊で、座敷童。

巫夏希

ゲームの内容と状況確認(前編)

 会場は俺たちと似たようなスーツを着た男女が沢山いた。当たり前のことだろうが、ここに居るのは新聞社などのメディアと企業の人々だけだ。そういう人たちに向けた発表会だから当たり前といえば当たり前だ。

「……すごいな」
「そりゃ日本から様々なゲームが見られるからな。見ろ、フルダイブ型ゲームハードの体験会をやっているぞ。行ってみるか?」
「いや、やめておくよ。俺はああいうのが苦手なもので」

 フルダイブ型ゲームハードとは、簡単に言えば精神そのものを仮想空間に転写するもの――ホープダイヤモンド・ゲームもといperovskiteもフルダイブ型ゲームと定義されている。あくまでも、定義だ。
 前にも説明されたのだが、perovskiteもホープダイヤモンド・ゲームもカメラによるエクトプラズム現象を起こして、それにより精神を強制的にフルダイブさせるシステムである。即ち、システム的には同じなのだ。

「フルダイブ・システムコントローラをカメラとしたとき、『ホープダイヤモンド・ゲーム』はフルダイブ型ゲームハードを用いたゲームソフトであることが成立する。『perovskite』も恐らく同じだろう。……あれだ」

 そう言われて、見上げると『タイラーステイツ』と書かれた文字パネルがあった。ここがその体験会場か。
 体験会場には数名のスタッフと思われる人間がいた。人間は全員がスーツを着用しており、一応はお堅い企業を名乗っているだけはあるが、有限会社なんだよなここ。

「ようこそ、我が『タイラーステイツ』の最新ソフトを是非ご体験下さい」

 スーツを着た男――首にかかっている名前カードによれば斎藤というらしい――は愛想笑いの最上級をかましてそう言った。ほんともうこれ以上にないだろうな、こんな愛想笑いってものは。わざとらしい笑いってことは、あっという間に分かってしまうよ。
 斎藤は更に愛想笑いを浮かべながら、話を続けた。

「こちらは最新ソフトである『perovskite』です。名前は少々解りづらいものですが……、カメラでお客様の写真をお撮りいただいて、そちらがアバターとなります、そちらでゲームをプレイ出来ます」
「ほぅ……。でも、このカメラって普通のカメラなんですか?」
「特別に開発したカメラとなっています。普通に写真の撮影も出来ますよ。ソフトには八ギガバイトのmicroSDHCカードをセットで販売しますので、それにデータを保存することも出来ます」
「ほぅ……。でも、昔もそういうのを販売していましたものね。あれは確か……3Dで見ることのできるゲームハードですよね」
「我がソフトはこのゲームの為に新規に開発したハードです! システムコントローラをカメラに装着することで、それ自体がソフトとなるのです」
「七インチの画面か……。なかなかに大きいけれど、携帯性は?」
「そのへんもほら……、畳むことができますので」
「なるほど」

 ……こりゃ、ただのゲーム説明会だ。
 そう俺は思ったが、よくも考えてみれば、だ。
 これは、ただのゲーム説明会にしか過ぎないのである。
 ただ、それにアブノーマルな何かが紛れ込んでいるというだけのことだ。

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