ルームメイトが幽霊で、座敷童。

巫夏希

ゲームの世界の最新事情(中編)


 そんなこんなで急いで準備をし終えた頃には六時一分を過ぎたあたりで、ちょうど窓の外からクラクションが鳴り響いてきた。危ない、ギリギリセーフだ。

「それじゃ碧さん、留守番頼んだ!」
「幽霊に留守番頼むって何よ! 私も連れてけ!」
「じゃあ誰がこの家を守るんだよ!」
「祐希に頼んだら? あの娘ならちゃんとやってくれそうよ?」
「……仕方ない」

 そう言って俺はスマフォを起動させ、アドレス帳から祐希のメールアドレスを呼び出し。メールの本文は出来る限り簡潔がいいだろう。

『虚数課との共同捜査があるから留守番よろしく。鍵はポストの中にあるから』

 最後に何か顔文字でも付けておいた。簡素な俺のメールの、唯一の装飾だ。
 さて、いつまでも待たせてはならない。急いで行かなくては……。

「だから私も連れていけって」
「解った。解ったからついてこい」

 そう言うと碧さんは目を輝かせた。まぁ、何かあったら役立つしな……。役立つよな?
 因みに美夏さんは虚数課たっての希望でついていくことになっている。そりゃ、(二代目とはいえ)日本神話最強のカミサマというのだからオカルト関連の部署は必需品になるよな。

「私と待遇が違い過ぎるのよ!」
「だってただの幽霊だしなぁ……」
「いやぁ、本当はあんまり幽霊とかカミサマとかを連れ込みたくないんだよ。そっち系の人間には直ぐにバレちゃうからね」

 ミニバンには柚帆さんと信楽さんの二人が居た。
 『人間だけなら三人だけど、実際はもっと乗るからね』そう言ってミニバンにしたらしい。乗用車で良かったのに。

「いや、乗用車でも良かったんだが。『もしかしたら乗ってくるかも』と柚帆が言ったものでね」
「さすが虚数課、神事警察とは違うわ!」

 憑く相手を間違えたようだな?
 運転は、信楽さんが行っている。柚帆さんも免許を持っているようだが、ペーパードライバーらしく、結局は信楽さんだけが(安心して)運転させられる人間ということになる。

「わたし、ペーパーだからゴールドなんですよね」

 そりゃ乗らないから、事故も違反も無いですよね。というかペーパーのゴールドは廃止すべきだと思う。何年間車両保有証明が無かった場合は免許剥奪、とかさ。まぁ、免許を持っていない俺が言うのもなんだが。

「そういえば新聞社の人ってどんな人なんですか?」

 俺はそれが気になった。だって、大成新聞社といえば超一流……とまでは言わないが、結構名の知れた新聞社だ。
 やはり警察関連で知り合ったのだろうか?

「……警察と新聞記者ってのは一番癒着しちゃいけない存在だが、あいつとは幼馴染でね。今もこう言った潜入捜査の時には協力してもらっているんだ。まったく、助かるよ。あいつが居なければ解決しなかった事件だってあるくらいだからな」

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