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ルームメイトが幽霊で、座敷童。

巫夏希

資料と座敷童と意見交換(中編)


「ちょっと待ってください」

 それって。

「あぁ、そうだ」俺の反応を解っていた、否。俺の反応をこちらまで誘導して、ふざけたような笑みを溢した。

「……『ホープダイヤモンド・ゲーム』で死者は一人だって出ちゃいない。正しくは……、『魂をゲームに吸い取られた』んだ」


 ◇◇◇


 その言葉は、確かにはっきりと聴こえた。少なくとも聞き間違いではない。
 ……しかし、そうだとするなら。

「肉体はどうなっているんだ? 魂が剥がされているのなら、死人同然にも思えるが」
「今の技術をなめてはいけないね。今は、秘密裏ではあるんだが、冷凍保存技術が確立しつつある。それを用いて、肉体を保存しているそうだ。本当ならば、このような事件は世間に広まることなんてない。箝口令が即座に敷かれるからな。……しかし、今のネットの力はなめてはいけない。SNSの力に於いて、あっという間に拡散されていく。今や箝口令は無理なんだ。することが出来ない。しようと思えば、ネット自体を潰す外ない。しかしだ、今はネット無しでは社会は活動しないほど、社会はネットに依存している。それを……君は解るかね?」

 解らないわけではない。俺だってネットを使っているんだから。
 だけど。
 だけど。
 だけど、ネットを封鎖すれば箝口令が成立するか? と言えばそうではない。それは、勿論の事だ。

「君が思っているのは、恐らく『ネットは悪者ではない』ことだ。確かにそれは正しいよ。しかし、情報は散乱していてね。正しい情報と間違えてある情報、その分別が大事だしそれをせねばならない。悪さをする子供がネットの事を便利な道具などと言っているがそれは大きな間違いだ。ネットは使う人間によって盾にもなれば剣にもなる。諸刃の剣……とまではいかないが、それにちかいものを孕んでいる」

 そこまで言って信楽さんは一つ咳払いをした。

「――さて、話がずれてしまったな。ここで私は一つの問題を提起しよう。……『どうやって魂を肉体にサルベージするか?』という問題を」

 確かに、それは気になった。今までの意見交換ですら語られる事はないのでは……と思えた程だ。

「それについての私の見解はこれだ。魂と肉体は糸屑のようなもので繋げられている。これを利用して、魂と肉体に残っている糸屑の欠片を結び合わせる。ただし……そんな簡単なものではない。それは百も承知だ」

 魂と肉体が繋がっている糸屑。
 これはクレンデッド・オーバーチュア教授により三年前に発表された論文『精神形成論 〜輪廻トランジスター観についての研究概論報告〜』にて書かれたものだ。
 彼の論文曰く、精神とは魂と肉体を結ぶ糸のようなもので、精神は魂には存在しないのだという。更には肉体そのものに魂は保管されておらず、ガウス平面の虚数軸における位相空間にて魂は浮き沈みを繰り返しているらしい。魂が浮き沈みしている空間には思想粒子イデロジオンで満たされており、そこは彼の論文では『思想粒子の海』と定義されている。

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