ルームメイトが幽霊で、座敷童。
予言のペンと研究個体
カミサマとはそれほどまでにデリケートな存在だったのか。……ある程度は知っていたけれど。ということはあの『タイガノミコト』っていう出雲大社に常駐しているニート……いや、カミサマもあのバランスの上に成り立っているんだよなぁ……。カミサマってのはやっぱりよく解らないものである。
「……それはいいんだけど、どうしてあんたらここに居るわけ?」
「『猿の手』を回収しようと意気込んでいたらこんな感じに」
ふーん、ととてもつまらなそうに言った。どうやらヴォギーニャはこの事に関して興味はないらしい。
「なら、私が関わってる仕事とベクトルがあうね。協力した甲斐があった」
「待て待て……え? ベクトルが合う?」
「つまり平行ってこと。私が命じられてるのは……翠名創理の完全抹殺及び『ヨハネのペン』の回収かな」
そんな重要そうな事を俺に言っていいんだろうか。
「敵の敵は味方、って言うでしょ」
確かに言うかもしれないが……。
それにしても、ヴォギーニャが言った単語、ヨハネのペンとは一体何なのだろうか?
「その顔は、『一体こいつは何を探しているんだ?』的な表情だね」
こいつ、の部分でヴォギーニャは自らを指差し、言った。
「……答えてくれるのか?」
「私が解る範囲でね。まず、『ヨハネのペン』は名前の通り羽ペンよ。キリストの弟子、ヨハネが使ったとされるペンだけど……、何故それを追いかけてるかと言えば答えは簡単。そのペンが書いたものは現実として起こるということ」
「予言をする……っていうのか?」
「そういうことだね。恐ろしいことはその効果、誰が書いてもなるってことなんだよ」
なんだよそれ、チート過ぎるじゃないか。俺は愚痴すら溢したくなってきた。
「ただしそれにはペナルティーがあってだね。……おっと、話しすぎたな。そろそろ行かねば」
「……何処へだ?」
「さっき言わなかったかな。私の目的……翠名創理の抹殺。それを遂行するときが来たってことだ。君も猿の手と自分の身体を取り戻したいなら来るんだね」
そう言ってヴォギーニャは部屋を駆け足で出て何処かへと向かった。そんな大胆に行動して見つからないだろうか……、そんな俺の心配を他所に長く続く廊下をただひたすら歩いていた。とりあえず、俺もそれを追うことにした。
◇◇◇
『レギア・サードの解析は如何かね』
「まずまずです。今は別の研究が立て込んでまして」
『現人神計画、だな。あれは……我々が今更言うのもどうだと思うが、金がかかりすぎる。もうちょいどうにかならんかね』
「研究者がお金の事を気にし出したら負けです」
『君は何の勝負をしているのだか知らないが……現人神計画はこのまま打ち切りとし、レギア・サードの解析を優先してもらう。頼んだよ、では』
そうして、通信は一方的に切られた。
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