休日

肌触りのいいシーツ。
温かい腕。
静かな寝息。
柔らかい髪。
白い肌。
触れる体温。

それだけが今の自分の世界。

　明るい日差しが窓から入り込み、瞼越しにそれを感じたあずみはゆっくりと目を開けた。
「あ、れ…？今…何時？」
　枕元の時計を確認しようとして、体を捻った瞬間、あずみは力強い腕に抱きしめられた。
「まだ駄目」
　掠れた優しい声と頬に触れる唇に、幸せな笑いが込み上がる。
「もう起きないといけなくない？」
「まだいいよ。今日は休みだし」
「でも…」
「それとも、あずみは俺から離れたいの？」
　拗ねたような眼差しを向けられて、あずみはクスッと笑みをこぼした。
「そんなことはないけど…でもせっかくいい天気だしもったいないかなって」
「ダメ。今日は俺と一緒にいるって約束したくせに」
「約束って…いつも一緒にいるじゃない」
　子供のように甘えてくる大きな体が愛しくて、あずみはその細い腕を伸ばして抱きしめた。
　滑らかな肌は、あずみの肌になじむように吸い付いてくる。
　呼吸するたびに静かに動く胸も、自分を抱きしめている腕も、あずみにとって誰よりもどこよりも大切で安心できる場所。
　あずみは無意識にその白い滑らかな胸に頬を寄せて大きく息を吐いた。
「まぁ、良いか。外は寒いし」
「ん？」
　まだ眠いのか、半分夢の中にいるような声で返される。
「なんでもなぁい。もう一回寝よう」
「んー…」　
　そっと、薄く瞼が開けられ、緑色の瞳があずみを捉えて微笑む。
「あずみぃ…」
「何？」
「好き」
　突然の言葉にあずみは頬が赤くなってしまう。そのままあずみを大切そうに抱え込んだまま眠ってしまっ
たケイは幸せそうな顔をしていた。

　これは、人間のあずみとアンドロイドのケイのとある休日の光景。

　

ノベルバユーザー599850

2023/01/03

こんな友達欲しい、って小説読んで初めて思いました。
投稿ありがとうございました。

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