約束の指きり

りょう

皆へのメッセージ編

           春香の日記 皆へのメッセージ編

                       8月24日 天気 雨

夏祭りから数日の間、ずっと皆に会えなくてすごく寂しかった。もうあと6日しかないのに会えないなんて・・。
そんな憂鬱な日々の中で私はふと考えた。そういえば、健や由紀ちゃんと2人きりで一緒に遊んだ事が無かったなって。
だから決めた。明日から1人1人の家に遊びに行くと。
健の家って、一体どうなってるのかな?楽しみ。
     
                        8月25日 天気 曇り

まさか今日健に告白されるなんて、すごくビックリした。健が私の事を好きだったなんて・・。
でもその気持ちに私は答えることができなかった。当たり前だよね、だって私は拓の事が好きなんだもん。健もそれは分かった上で、私に気持ちを伝えてくれた。すごく嬉しかったよ健。
ありがとう

次は由紀ちゃんの家に行きたいんだけど、29日まで天気がまた悪い。どうしよう。拓の家に行くのって、最後の日になっちゃうけど、ちゃんとしてられるかな私・・。
 
                      8月30日 天気 晴れ

今日は由紀ちゃんの家でこの日記を書いている。
まさか拓が私と由紀ちゃんの事で、あんなに悩んでいるなんて思っていなかったな・・。
私が知らない所で拓色々な事で苦しんでいるのに、何で気づいてあげられなかったのか私・・。何か情けない。
このまま私が消えたら、拓は由紀ちゃんの気持ちに答えてあげられなさそうだな・・。いつまでも私の影を追わないでほしいよ・・。

ここまで書いてい気づいたけど、これを書くのも今日で最後になるんだよね・・。明日私は居なくなる。嘘じゃない事実。何かを残して去りたいけど、今からはさすがに無理だと思うから、この日記をこっそり由紀ちゃんの机にでも入れておこうかな。でも、ただの日記になっちゃうから、最後にメッセージを・・。

                   拓、健、由紀ちゃんへ
たった二ヶ月の間でも、私と一緒に遊んでくれてありがとう。そばに居てくれてありがとう。幽霊だと知ったあとも、普段通り接してくれてありがとう。
もう会えなくなるのは寂しいけど、私はずっと皆のそばに居るから。だから・・。
これからも、私の分まで沢山生きてね!
大好き!
・・・・・・
「春香・・。」
高校を卒業してから数日後、由紀がこれを届けにきた。最初は何だろうと不思議に思いながら、開くと春香の日記だった。
で、今全部読み終わった僕は、あの日以来溜まっていた悲しみが爆発した。彼女に会えないのがこんなにも寂しいなんて思ってもいなかった。こんなにも・・。
「あれ・・。何か挟まってる。」
ページの一番最後に何かが挟まっているのに気づいた僕は、それを抜いた。
「これは・・写真?」
挟まっていたのは写真だった。そこには・・。
「いつ撮ったのかな・・この写真。」
そこにはふざけ合っている僕達三人が写っていた。それを見て僕は思わず笑ってしまう。
「まあ、そんなの関係ないよね・・。」
外には綺麗な桜が咲き乱れている。
「春香。」
暖かなら日差しが差し込む僕の部屋には、春の香りが漂っていた。
                                                       番外編2 完

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