約束の指きり

りょう

第19話

            第19話  くだらないやり取り

僕は結局、夕方になるまではしゃぎ続けた(近所の方々ご迷惑をおかけしました)。で、流石にお腹が減ったので・・。
「拓、まだ焼けないの?私お腹減ったよー。」
「何でこういう時に春香は子供モードになっているか分からないけど、もう少し待ってて。」
「拓、俺も腹減ったぞ。」
「あ、健はそこの生野菜でも食べてて。茄子とか焼けたらあげるから。」
「何故に俺だけそんなにヘルシーなんだ?しかも、焼けても野菜だけかよ。」
「それが健らしいわよ。」
「由紀、それはどういう意味だ!」
別荘にあるテラスでバーベキューを行っていた。
「ほら、由紀と春香。肉が沢山焼けたから食べなよ。」
「「わーい。」」
「じゃあ俺も・・。」
「はい、健には茄子三つ。焼けた物二つと地面に落ちた物一つです。」
「何故茄子オンリー?しかも一つ、落とした物も混ざってるじゃねえか。」
「大丈夫、どれがどれか分からないから。」
「大丈夫じゃねえ。むしろ不安になったわ!」
既に食べる前からこのノリ。本当楽しいな健いじり・・。さらに、このやり取りは食べ始めてからも続く。
「拓、おかわりちょうだい。」
「はいよ。」
「私も。」
「はい。」
「俺もおかわり。」
「はい。」
「サンキュー、ってやはり茄子かよ。こんなに茄子いらねえから。」
「え!」
「何だその、明らかに今知りましたって顔は!」
「だって、茄子って言ったら健じゃん。」
「待て、お前は俺に対してどんなイメージを持っているんだ?」
「ただの茄子好き。」
「何だよそれ!俺一度もお前らに茄子が好きだなんて言ったことがないぞ。」
「あれそうだっけ?健君は散々茄子好きって公言してたような・・。」
「春香ちゃんにだけは言われたくなかった。まだ、会って一ヶ月の春香ちゃんにだけは言われたくなかった。」
「まあまあ健も落ち着いて。さて、健は茄子が大好きなのはよく分かった事だし、みんなさっさと肉を食べよう。野菜類は健に全部任せて。」
「なあ、今の話の中のどこに俺が茄子が大好きって言葉があった?それに、俺に全部野菜を任せるなよ。お前らも食えよな!」
「さあ、これで肉は全部我々が貰った。野菜は任せたぞ、Mr.茄子。」
「あー、俺の肉全部取るなよ。それに何だよその名前は!」
そんな感じで夕食の時間は過ぎていった。
Mr.茄子、いい響きだ。
「だからその呼び方はやめろー。」
                                                   第20話へ続く




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