約束の指きり

りょう

第8話 意気投合する三人(僕を除く)

         第8話  意気投合する三人(僕を除く)

それから一週間後、僕は春香との約束を果たすために、再びあの公園に向かっていた。恐らく彼女はそこに居るのだろう。
「で、何で健まで来てるの?」
由紀は来ると言っていたのだが、健を誘っていない。
「今日は部活無いんだから別にいいじゃねえか。俺も気になるんだよな。お前が好きになった女が」
「だからそれは、由紀の嘘だって」
「拓ったら嘘ばっかりついて、本当に困った人」
「何で僕が怒られなきゃいけないの?」
そんなくだらないやり取りをしている内に
、目的に到着した。公園内には誰も居ないので、春香はまだ来てないらしい。
「まだ来てないのか?お前の彼女」
「だから違うって。しかもいつの間にか彼女になってるし」
「じゃあ妻か?」
「何でそうなるの!」
必死に健の誤解を解こうとしていると、後ろから足音が聞こえた。春香が来たのだろうか?振り返ると、予想通り春香がこっちに歩いてきた。
「あ、あんたは!」
「久しぶり春香」
僕の方から寄っていくと、春香は驚いた顔をしたままその場に立ち止まっていた。
「どうして…来たの?」
「どうしてって、約束したじゃん。また会いに来るって」
「確かにそうだけど…」
「だからその約束を守って来たってわけ」
「そ、そうなんだ…」
春香はどこか恥ずかしそうな顔をして、答えた。か、可愛い…。
「おーい、そこのお二人さん、イチャイチャするのは構わないけど、俺達をお忘れでは?」
後ろから声がした。あまりの可愛さに二人の事を忘れてた…。
「あの二人は?」
「ああ、あれは僕の…」
「兄です」
「姉です」
「そうなんですか。あの、私は彼の妻の春香と申します」
「いつから兄弟になったの僕?それに春香は二人に合わせてキャラを変える必要ないよね?妻になった覚えないし」
「「「えー。」」」
「何でそこだけ、ハモるの?」
どうやら僕以外の三人は、ある意味気が合うらしい。
「はぁ~」
人数が増えた事によって、僕の労力が無駄に増えたような気がした。
                                                    第9話へ続く

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