約束の指きり

りょう

第6話 日常風景

                 第6話  日常風景

翌日の学校で、昨日の事を由紀にそのまま話してみた。
「へえ、面白い子だねその子。私も会ってみたいな」
「今度会いに行くから、一緒に来る?」
「うん、行く」
二人でそんな会話をしていると、
「おい、拓、由紀。二人でなんの話をしているんだ?」
後ろから聞き覚えのある声がした。恐らく健だろう。
「あれ?健、今日部活ないの?」
振り返りながら僕は尋ねた。
「ああ、今日は部活はないんだ。だからこうして、お前らの所に来たってわけ」
「そうなんだ」
皆川健太郎。通称、健。僕にとってもう一人の親友だ。彼は剣道部に所属していて(ちなみに言い忘れていたが、僕と由紀は帰宅部である。)、毎日忙しいのだが今日は部活がないらしい。
「で、二人とも何の話をしていたんだ?」
「実はね…」
僕に変わって由紀が説明をする。
「で、拓、その子を好きになったんだって」
「へえ、拓が恋をしたんだな」
説明を・・する?
「今度デートするんだって」
「おお、もうアタックしたんだな。さすが!」
説・・明?
「実はもうキスも…」
「何だと?よく一日でそこまで行けたな」
「ストーップ!」
僕はこれ以上変な事を言われる前に大声を出して止めた。
「なによ拓?説明の邪魔をしないでよ」
「ねえ今のどこが説明なの?明らかに嘘だらけだよね?」
「え?私は拓が言った事をそのまま説明しているだけじゃない」
「僕そんな事一言も言ってないよ?ほら、余計な事を言うから、健が余計な事を考え始めちゃったじゃん」
「あ、ごめん。キスはまだだっけ?」
「そういう意味じゃなくて」
「拓、お前意外と積極的なんだな」
「健も由紀の嘘をいつまで信じてるの?僕にそんな事を出来るわけないでしょ」
「「確かに」」
「どうしてそこだけハモるの?何か逆に悲しいよ!」
僕達三人が揃うと、二人は完全にボケなので、ツッコミ役の僕は毎回疲れるわけで・・。まあ、その分楽しいから良いんだけど・・。
「はぁ~」
まだ暴走している二人を見ながら、僕はため息をつく事しか出来なかった。
                                                  第7話へ続く

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