約束の指きり

りょう

第1話 同じ夢

             第1話    同じ夢

「あ、その夢私も見たことがあるよ」 
「え? 由紀も同じ夢を?」
「うん。拓がさっき言っていた内容と全く同じのを」
まさか由紀も僕と同じ夢を見たことがあるとは、思っていなかったので流石に驚いた。
ちなみに由紀とは、僕柏崎拓也(中学生)の数少ない親友の一人だ。家が近所という事もあってか、小学生の頃から同じ学校に通っている。実はもう一人親友がいるのだが、今はこの場に居ない為、また後ほど紹介しよう。とにかく今は謎の夢の話だ。
「それっていつから見るようになったの?」
「確か今月に入ってからだったような気がする」
「僕と同じだ・・」
僕も確か今月から見るようになった。同じ時期に同じ夢を見るようになる、ただの偶然ではないような気がしてきた。
「拓、どうしたの?黙り込んじゃって」
しばらく考え込んでいると、由紀が不思議そうにこちらを見てきた。
「ああ、ごめん。何かただの偶然ではないよなって思って」
「その夢の事?」
「うん。二人が同じ時期に同じ夢を見るようになるなんて、普通は考えられないよね?」
「確かにそうかもしれないね。似たような夢を見た事があるって聞いた事はあるけど、全く同じでしかも、同じ時から見るようになるなんて、普通じゃないかもね」
「うん。もしかしたら他にも見た事が居るかもしれないから、僕考えたんだ」
「何を?」
「この事について調べてみようかと思う。ただの偶然ならそれで良いかもしれないけど、どうも引っかかるし。よかったら由紀も手伝ってくれる?」
「良いよ。でも何をするの?」
「とりあえず同じ夢を見た人が他にも居るか調べてみて。僕も色々聞いてみるから」
「分かった」
もしかしたら、調べたところで何も結論が出ないかもしれない。でもやはり気になるのだ。あの少女は何者なのか・・。それを知った先に何が待っているのかは僕には分からないけど、とりあえず調査を開始する事にした。
                                                  第2話へ続く

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