東方魔人黙示録

怠惰のあるま

指名手配

未確認歩行少女-ぬえと一緒に命蓮寺へと向かう俺たちの前に紫さんが現れた。

「お久しぶりね魔人くん?」
「久しぶりだな紫さん、あんたから姿を見せるなんてなんかあったのかい?」
「話が早くて助かるわ、実はあなた達二人に頼みたいことがあるの」
「私も?」

パルスィは不思議そうに言った。まあ、確かになんとなく俺に頼むのはわかるが彼女にも頼むところをみると、人手が足りないのか単純に力を借りたいのかのどっちかだな。
一度助けてもらった恩もあるから俺は断るわけにもいかない、ただパルスィ次第かな?

「いいけど、この足の状態で役に立つか知らないわよ?」

手伝う気はあるようだ、優しい子なんだよな本当に。

「魔人くんといれば大丈夫よ、それで頼みっていうのは倒してほしい妖怪がいるの」
「妖怪?強い妖怪でも出たのか?」
「種族としては弱小よ、けれど一度幻想郷を混乱に陥れた本人で指名手配されているの」

弱小の種族に何されればそんなことになるんだ、まあ幻想郷は何が起こるかわからない場所だ、常識も通じないようなもんだ。
けど今までだって異変を起こした奴らが何人もいるのになぜそいつは指名手配されてるんだ?それほど危険因子ってことなのか?

「見つけたらお仕置きして頂戴、それじゃあ私も行くからお願いね?」

ニコッと微笑んでスキマの中に消えて行った。なぁんか気が進まないなぁ......とりあえず一旦命蓮寺に行こう。パルスィの足を治すのが最優先事項です。
寺に着くと、たまたま入り口にいた聖が飛びつこうとしてきたので何も言わずにかわして進んだ。

「母の抱擁を無視なんて......悪い子ですね」
「だから母親と認めた覚えはねえよ!」
「恥ずかしがらずに......甘えていいのですよ!」

やっぱり来なければよかった命蓮寺......!
あまりにもしつこいので彼女の感情を奪った、バタッと倒れると村紗が申し訳なさそうにひきづっていった。
あまり見ない姿だったのか、ぬえは聖の暴走した姿を見て驚いていた。

「.........あんな聖初めて見た」
「だろうな、あれがなければいい奴なんだが」
「アルマのこと息子同然に扱ってるもの」
「だとしても溺愛すぎる.......」

寺の中に入ると信行戦争のおかげなのか、修行僧の姿が多く見られた。聖の人望すごいなぁ、いや寅丸が代理をしている神の宗派なだけか?
ぬえに聞いてみたところ、ただ女だらけの命蓮寺に魅了された愚かな参拝者が入門してきただけらしい。なんていうか......いや、やっぱいいや。言ったら寅丸に弾幕飛ばされそう顔真っ赤にしながら

「こんなところで何をしているんだい?魔王」

噂をすればなんとやら......いいタイミングで出てきたなこいつも、正直俺は寅丸が苦手だ。人間性?妖怪性?まあどっちでもいい、とにかく性格はいい方だと思うがお堅いイメージが強いせいか、馴染めないんだよなぁ。
映姫もお堅いと思う人もいるが、あの娘天然だからな?寅丸は完璧すぎて本当に馴染めない。

「僕の顔を見て嫌な顔をしないで欲しいな」
「悪いが魔界の時のこと根に持ってるんで」
「根に持つタイプは嫌われますよ?あなたもそう思いますよね?」
「それには同感するわ」

パルスィは俺の味方だと思っていたのに......しかもちゃっかり意気投合してるよ彼女ら、いや嬉しいけどさパルスィと仲良くしてくれる人が増えるのは、ただ俺をいじらないでくれ。



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