東方魔人黙示録

怠惰のあるま

《図書館の小悪魔》

 
崩れ去ったパズルが組み合わさって行くように意識が少しずつ戻ってくるなんとも奇妙な感触を味わいながら目を覚ました。

「あ!目が覚めた!」

そして、今の俺の現状はフランによって拘束されてると言っても過言ではないほどに強く抱きしめられている。どうしてこうなったか思い出そうとしたが、どうしてもそこだけが思い出せない。

「あれ?記憶が........」

地味に意識が混濁してると紅魔のメイド長《十六夜咲夜》が部屋に訪れ、状況を把握してくれたようで紅魔館に訪れたところらへんのことを説明してもらった。

「アルマ様は美鈴の攻撃で気絶したのですよ」
「そうだった」

咲夜が言うには恥ずかしさのあまり一切加減をせず放ったせいけんづきが俺のみぞにいい感じに直撃、そのままパタリ......したらしく急いで担ぎこんでくれたそうだ。
その時の彼女はいろいろな感情が入り混じっていたそうだ。見たかったな。

「あとでお会いになってください、すごく心配ましたから」
「ああ、そうするよ。さぁて...パチュリーのところ行くか」
「やだ!遊ぼうよお兄様!!」

今の状態でフランと遊ぶのは命に関わる......まじで勘弁してくれ。なんとか彼女を宥めるために考えてるとあることに気づいた。

「あれ?霊夢と魔理沙がいねえ」
「二人なら、お嬢様とお話になられております」
「なら大丈夫か」

俺はなかなか離れようとしないフランを頑張って宥め図書館に向かった。途中何度か俺のズボンの裾を掴んで離さず引きずられるフランの姿は結構シュールだった。
フランからどうにか離れることができた時には大図書館に着いていたが、前に来た時にパチュリーが座っていた場所に彼女はいなかった。

「あれ?おーい!パチュリー!......いないのか?」
「パチュリー様はただいまお昼寝中です」
「げ......」
「なぜ私の顔を見ると嫌な顔をなさるのですか?」
「べ、別に......」

パチュリーを様で呼ぶこの子は小悪魔、パチュリーの使い魔として身の回りのお世話などをしているらしい本名は知らない。みんなが小悪魔とかこあと呼んでいるからそう呼んでる。そして苦手だ。

「まあいいですけど、どうします?パチュリー様が起きるまで待ちますか?」
「そうする」
「わかりました」

俺は適当に本棚から取った本を読みながら待つことにした。タイトルは《異世界の主人公共へ》だってさ、どっかで聞いたような......?

ちょうど本を読み終わったころにパチュリーが眠たげに寝室から出てきた。

「あら......来てたの?」
「まあな」

パチュリーは眠たげな声を出した。
寝起きの彼女の着崩れした服のせいで俺は少し目のやり場に困った。

「あれ?こあは?」
「ん?買い物」
「ああ、頼んでたっけ?......それにしてもあなたって本当に不思議な魔力を持ってるわね」

また聞いてくるか、この魔法使い。俺の魔力については一切触れて欲しく無いのにつくづく幻想郷の人間は容赦ないな。

「.......気のせいだ」
「そうかしら?こあやレミィ達の魔力に似てるけど?」
「気のせいだって言ってるだろ、俺は普通の人間だ。そんなことより俺が来た理由は」
「あなたが気絶してる時に大体聞いたわ」

パチュリーは二つの青い球状の塊が入った袋を持っていた。

「これは?」
「キノコの効果を消す薬、飲んだ後すこしの間眠ってしまうから」
「わかった、ありがとう」

パチュリーにお礼を言って大急ぎで逃げるように図書館を後にした。




薬を渡した後、彼は逃げるように大図書館から出て行った、そこまで隠すようなことでもないでしょうに......まあ、彼が嫌なら無理矢理バラすようなことはしない。それに彼のおかげで退屈しなさそう。

「あの半人がこの幻想郷に何をしに来たか......目的を果たした後どうするか......彼の今後が見ものね」

楽しそうに笑った彼女は大きなあくびをし、また眠たげに寝室へと戻って行った。

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