東方魔人黙示録
《巨人の願い》
妖夢達と対峙した少し後、城に戻ったアルマはキッチリとスーツを着こなす執事の淫魔と話していた。
頭を抱えながら理解不能と言いたげな顔である。
「なんで来たんだよ...あいつら......」
「幻想郷の住人ですか?」
「ああ...来なくていいのにな」
絶望的な俺にクスクスと執事は笑う。
「どこか嬉しそうですね?」
「茶化すなバーカ」
「アルマ!面白いことが起きてるぜ!」
部屋の入り口を荒々しく開き、入ってきたのは人間より大きい体格。オレンジの肌を持つ一つ目の巨人。
その顔はものすごく笑っている。
「アトラス...魔王様ですよ?」
「呼び捨てでいい。で?面白いことってのは?」
「お前を追ってきた幻想郷の奴らの中に風見幽香がいたんだってさ!」
「.........まじで?」
そのことを聞いたアルマの顔はまさに絶望していた。
△▼△
時同じくして...妖夢達はアルマの居場所を知っているという幽香に案内され、少し寂れた城の前にいた。
その大きさは紅魔館よりも大きく、威圧感を感じる。
城を見た彼女達の反応は様々であった。
「なんか...まだ頭が痛い.........」
そんな中、レミリアとフランは頭痛でもするのか頭を抑え、少々ふらついていた。
二人の感情を戻すには強めの衝撃を与えないといけず、かなり強く攻撃されたようだ。
「あれぐらい強くやらないと意味ないの。ほら、入るわよ」
「それはちょっと......困るねぇぇ!!」
突如、空から声が聞こえ全員が見上げるとオレンジの物体が落下するのが見えた。
城門を塞ぐようにそれが落ちると地面に亀裂が走る。
目の前に落ちた物を見ると先ほどまで最上階の魔王の部屋にいたアトラスだった。
「お、大きい...!」
「あら意外ね。あんたが来るなんて、アルマもほんとに嫌がってるのかしら?アトラス」
幽香の質問に対し、アトラスは苦笑した。
「幽香さん...悪いけどさ。俺はアルマの気持ちも分かるわけよ。だから自分の意思で来たわけ」
「ふーん...」
「だから.........追い返す!!」
自分の身の丈はある棍棒を振り下ろした。
しかし、寸前でレミリアの弾幕で棍棒の軌道は逸らされる。
地面に叩きつけられた衝撃は小さなクレーターを作った。
「嬢ちゃん危ないねぇ」
「いま私たち急いでるの。だから...どきなさい!」
「待って...アトラス。回りくどいのは嫌い。それに、あなたはそうゆうの苦手でしょ?」
幽香の発言に首を傾げる妖夢達に対し、アトラスは額に手をおいて大声で笑う。
「さすが幽香さんだ。俺もめんどくさいことをせずに済む」
「大方...リリスにでも頼まれてきたんでしょ」
「正解!いやぁ、さっさと気づいてくれて無駄に戦わなくてすんだ!」
「どうゆうことよ?」
話に着いていけないレミリア。
そのことにアトラスは自分の目的と願いを伝える。
「リリスに何人か通すように言われたんだ」
「なら少ない方がいいわね。少人数の方が動きやすいし」
パチュリーの意見に皆が賛成する。
「そこは任せる。そして、俺からお願いだ。アルマを説得してくれ」
「アルマ...さんを?」
「ああ、本当はお前らと一緒にいたいはずだ。けど...素直になれないだけなんだ」
頼む...!そういい頭を地面にこするほど下げるアトラス。
その気持ちが届いたのか、妖夢は跪き彼の肩に手を置き、笑顔で自分の気持ちを伝えた。
「大丈夫です。無理矢理連れて帰りますから安心してください」
「嬢ちゃん...」
「はぁぁ......まったくあの半人は困ったものね」
「まあ...昔からバカみたいに頑固だから」
幽香の言葉に皆が笑う。
その姿を見たアトラスは呆然としていた。そして、妖夢を見つめて呟く。
「嬢ちゃんなら...」
「え?」
「嬢ちゃん。あんたが城に入ってくれ」
「わ、私ですか?でも...」
思い悩む彼女に励ますようにレミリアは言った。
「あなたが適任よ。一応の安全のために私と紫も行くわ」
「妖夢?あなたは半人君とどんな約束をしたのかわからない...でも、あなたはこのままでいいの?」
「......いやです」
「なら行きなさい」
「はい!」
こうして、妖夢、紫、レミリアの三名がアルマがいる魔王の城へ入ることとなった。
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