東方魔人黙示録
《永遠亭の住人たち》
「こんちわー」
「ただいまー」
挨拶と共に屋敷の中にお邪魔する。
すると、奥の方から慌てた様子のうさ耳の女の子が現れた。そして、背負っているてゐを見るなり怒った。
「てゐ!!どこ行ってたの!?あれ?その人は?」
「竹林で迷ってた人」
その言葉に彼女はキョトンとしていた。
「迷ってたなら出口に.....」
「出口に行けないのよ」
「へ?あ、あなたがついて行ったのに?」
「うん」
二人でお話ししているところ悪いのですがあなた誰ですか?ぱっと見てゐのお姉さんのようにも見える。
でも、うさ耳以外全然似ていない。体型と体型とか体型とか。うん。言ったらなに言われるか分かったもんじゃないので言わない。
「でも悪い人じゃないよ」
「てゐが言うならいいけど、その前になんでおんぶされてるの?」
「疲れたらしいから、おんぶしてあげてる」
「まったく.......すいませんお世話になったみたいで」
この子は礼儀正しいな。幻想郷じゃあ珍しいから、なんか涙が出てきそうなぐらい嬉しいんですけど。
「気にすんなよ。俺もつかなかったけど、出口案内させちゃったし」
「.......ねえ一ついい?」
「ん?」
「あたし、名前聞いてない」
あ、忘れてた。てゐは名乗ったのに名乗らなかった。失礼なことをしたな。俺ってこう見えて、礼儀はいい方ですよ?誰ですか?嘘つけって言ったの。
「俺は桐月アルマ。改めてよろしくなてゐ。あと......」
「わたしは鈴仙・優曇華院・イナバといいます。よろしくお願いします」
「長いな.....鈴仙でいいか?」
「いいですよ。それで、あなたは何故竹林に?」
そういえば、なんでだっけ?
確か妹紅に会って〜
永夜の原因を作った人物を知っているって話だったから着いて行って〜
置いてかれて〜
てゐに会って〜
今に至るねうん。というわけで....
「自分でもよくわかりません」
「そうなんですか。よかったらお茶でも」
「あ、じゃあお言葉に甘えて」
「あたしも〜!」
「てか、いい加減降りろよ」
俺はお茶を待ってる間、永遠亭の中を回させてもらった。
結構広いな。紅魔館ほどじゃないけど。あ、でもあれは咲夜の能力で広く見えてるだけなんだっけか。いや、それでも広いか。
ぼーっと歩き回っていると後ろから声を掛けられた。
「あら、見ない顔ですね。お客様ですか?」
「そんなとこ、俺は桐月アルマあんたは?」
「私は八意永琳と言います。それでこの屋敷には何をしに?」
「ああいや、鈴仙にお茶を淹れてもらってる間に中の見物的な?」
「そういうことですか。では、ごゆっくりしていってください」
「ありがとうございます」
優しそうな人だな。美人だし。そろそろ準備できてそうだから戻るか。
客間に戻るとちゃぶ台の上に置いてある湯のみに、鈴仙がお茶を淹れてる最中だった。
「あ!戻ってきたんですか」
「ああ、有る程度見て回ったからな」
「どうだった?」
「広い」
「それだけ?」
それだけしか思い浮かばねえよ。俺は家マニアか?それにしても、鈴仙ってよく見ると可愛いよな。
「な、なんですか?さっきから私を見て
」
「鈴仙が綺麗だから、見惚れてるんじゃないの?」
「そ、そんなわけないでしょ!?」
「いや、見惚れてたのは本当かな?」
そう言うと二人から「え?」と言われた。
なんだよ。鈴仙普通に綺麗で、美人じゃん。見惚れても不思議じゃないだろ?なんか、鈴仙顔真っ赤だし、かわいいな。
「ちょ、ちょっと......外に行ってきます........」
そう言って鈴仙は、千鳥足で部屋を出て行ってしまった。酒でも飲んだのか?
「アルマも隅に置けない人だねぇ〜」
「なんだよ。事実だろ?」
「あたしの時も、普通に言ってたけど。あれも事実?」
「当たり前だ。てゐはかわいいぞ?」
「ま、真っ正面で言わないでよ......恥ずかしい.......」
女の子って難しいな。
褒めても顔真っ赤にして謙遜するし、たまに怒って弾幕ぶつけてくるし、特に幽香とか幽香とか幽香とか。女の子ってわかんないな。まあ、あいつほど素直じゃない女の子はいないか。....会いたいな〜。
「ちょっともう一回、見物させてもらうぞ?」
「いいけど、物とか壊さないでね?」
「壊すわけないだろ?はっはっはっはっは!」
部屋を出て、有る程度進むと、廊下から花瓶を落とした音がてゐの耳にまで、届いたのであった。その後、聞こえたのはアルマの叫び声。
「やっちまったぁぁぁ!!」
「アルマって馬鹿なのかな」
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