東方魔人黙示録

怠惰のあるま

【憎しみ抜いた先に】



その後、魔界に戻った俺は親父の代わりに魔王として魔界を治めることにしたが、自分に存在意義を求めて幻想郷に来た。そして、霊夢達はこの世界の住人達に出会い今の俺がいる。
聖はどこか悲しそうな顔で当時の気持ちを伝えた。

「貴方は危険な存在だった、消しておかなきゃいけなかったの」

そんなわかりきったことを言われたところで、もうどうしようもないのも事実.........自分自身が危険だってのもわかりきってるんだよ。

「けどな...俺の周りの人間が巻き込まれるのは嫌なんだよ!」
「.........それで貴方は復讐に来たのですか?」
「俺がここに来た理由は.........暇だったからだ」
「.........へ?」

第一に俺はついでにここに来たような感じだし、俺くるつもりなかったし、なんか来ちゃったし、ここまで来たくもなかったし、それに暇と言ったが俺は一秒でも多くパルスィと一緒にいたいんだ。

「でも!貴方は私を恨んでいるでしょ!」
「よく考えてみた。お前は俺を殺さないと周りが危ないと思った。俺はお前が封印からとかれると俺の周りが危ないと思った」

俺は思ったんだ。こいつと俺はやり方は違うが考えてることは同じだ。だから、俺はこいつを恨んではいない。

「.........昔とは大違いに成長しましたね」
「当たり前だ。むしろお前が成長してない」
「そうかもしれませんね......そういえば貴方の名前、聞いてなかったですね」

そうだったけ?覚えていないな。名前も名乗る隙がなかったってのもあるのかな。いやあったかも、どっちでもいいか。

「桐月アルマだ、覚えとけ聖白蓮」
「アルマ.........私は貴方に償いをしなくてはいけないようですね」
「そうか、じゃあ俺の弾幕でも喰らっとけ」
「へ?」

予想外の一言に聖は気の抜けた声を出した。俺はそんな彼女を気にもせずおもむろにスペルカードを取り出した。

「感情【憎しみと怒りの輪廻】」

使用したスペルカードが消滅すると、大量の弾幕が聖を四方八方から囲むように出現した。どう見ても逃げ場がない聖は恐怖に震え怯えた表情で言った。

「さ、さっき憎んでないって.........言ってましたよね?」
「あ?怒りが残ってるぞ?」

彼女を囲む弾幕の距離が徐々に狭まり隙間の一つもない弾幕の檻が完成した。その光景を見たナズーリン達も恐怖で動けずにいた、アルマは準備ができたかのように手を前に突き出すと、ぎゅっと拳を握った。
その瞬間、弾幕が聖を押しつぶすように伸縮し、その衝撃で起こった爆発によって法界は消滅したのであった。

そんなこんなで俺は復讐したので、もう過去なんてどうでも良くなりました。え?聖は生かしてるよ?殺すわけないじゃないですかヤダー。

「この度は申し訳ありませんでした」

この通り、とうの本人も反省していますからこれ以上、罪を追求する必要がない。

「もういいよ、俺もすっきりしたし」
「そ、そうですか」

あと魔理沙と霊夢が俺から距離をとってる気がするんだけど気のせいではないよね。それに早苗も霊夢達の後ろに隠れて怯えている。

「アルマってやっぱり怒ると怖いんだぜ」
「本気になるとえげつないものね」

こいつら酷すぎない?それに俺以上にエグい人がいるじゃないですか。幽香とか幽香とか幽香とか。
聖はふと何かを思い出したかのように霊夢と魔理沙の方に振り向き頭を下げた。

「あなた方のおかげで封印を解除できました、ありがとうございます」

俺を殺そうとした人間の封印を俺が解くって言うのも皮肉なもんだな。

「それでお前はこれからどうするんだ?」
「人里で人助けでもしようかと」
「へぇ.........まあ、頑張れ」
「............本当に変わったんですね」
「こいつらのおかげだな」

事実俺はこいつらに会うことができたから素直になったわけだし、それに今の自分も受け入れることができたのもこいつらのおかげだ。

「いい仲間ができたようですね」
「まあ........そうだな」

さてと、要件は終えたわけだ。これからは特に何物にも縛られることもない、自由に行こうか。その場を立ち去ろうと歩くと魔理沙に声をかけられた。

「また何処かに行くのか?」
「ああ、ちょいと行く場所があってな」
「どこに行くんですか?」
「地底に行ってくる」

地底が俺を呼んでいる。いやパルスィが俺を待っている!はずだ!
喜んで走って行くアルマの姿を見た霊夢達は何処か不思議そうな顔をしていたそうだ。

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