東方魔人黙示録

怠惰のあるま

《感情消滅返し》



あれから一週間が経過した。
さとり様達にパルスィとの出会い方を知られたおかげで外に一切出ることができなかった。
普通に出ればいいじゃないかって? パルスィと顔を合わせるのが気まずいんです。
あれはあまり思い出さないようにしていたのに......嫌な記憶ってわけではないんだけどさ。思い出すと顔すら見れないだろ? だから引きこもってました。
まあ、その後の出来事がばれてなければいいんだ。うん! あれは俺の半人生の中で一番の恥ずかしい行為だ。

《恥ずかしいとは、どんなことでしょうねぇ?》

うっわぁ......まじかよ。さとり様......もしかして聞こえてました?

《はい。全て聞こえてました》

最悪だ......というか、人の心を勝手に読まないで下さい。無意識に聞こえる時もあるんでしょうけど、それでもプライバシーってものがあるでしょ?

「距離が近くなると、どうしても聞こえてくるんですよ」
「部屋の前にいたんですか......」
「そもそもここは私の部屋でもあるんですよ?」
「そうですけども...」

俺が言いたいのは部屋が同じであろうと人の心を覗き込むのをやめてほしいんです。癖であるにしろ直していただけませんか?

「覚妖怪に何を言ってるんですか」
「種族を持ち出すのはセコイ」
「それで恥ずかしい行為とは?」

《現実逃避》を使っておけばよかった。もう無駄だろうけど。
絶対に話す気はないですよ。話したら俺の今後の評価に関わる。

「そんなに恥ずかしいことなんですか?」
「うん」
「聞きたくなるじゃないですか」
「さとり様って、そんな感じでしたっけ......?」

なんかもっとこうホワホワって言うか、ふわふわな感じの柔らかい性格で掴みにくい感じだったはずなんだけど。
今は人の秘密を暴くのが好きで好きでたまらない。サディストな行為が大好きって感じ?
あ、女王様がいる。なんでこんな人になっちゃったのかな。

「あなた達の全てを知りたいのですよ」

紫色の目をいつも以上に輝かせて微笑むさとり様。なんだろう...狂気の目をしてるけど、綺麗な目だなぁ。

「ふふふ......嫉妬されちゃいますよ?」

け、けどあれだ! 綺麗なモノを見て綺麗と思って何が悪い!

「けど《パルスィの方が綺麗》ですか?」
「心の奥底まで読むな!!!」

とりあえず部屋からの脱出だ。さとり様には悪いが少しの間、眠ってもらいますか。

「消滅 感情しょーーーーー」
「想起 感情消滅」

パチンッ! とさとりがアルマに向けて指を鳴らした。感情を奪おうとしたが逆に奪われてしまったアルマ。人形のように崩れ落ちた彼をさとりは縄で縛り、ニコニコといやらしい笑みを浮かべながらパルスィの部屋へと引きずって行くのであった。


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