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白と蒼の炎

巫女と鬼

 はるか昔。
 人間は鬼と共存していた。
 他のあやかしからの災いや、天災、その他の凶事から守ってもらう代わりに、鬼へ花嫁を献上する。
 数百年に一度生まれるその花嫁を、人間たちは敬意を払い「天上の巫女」と呼んだ。巫女は繁栄を約束する不思議な力を持っている。
 まず、生まれ落ちた時に不思議なことがある。巫女は金髪で虹色の瞳、全身に幾何学模様の紋様を持って生まれてくる。しかし生後一日でその姿は身を潜め、他の人間と変わらない容姿となり成長する。 そして18歳までに黒髪と紫の瞳に変化し、再び金髪と虹色の瞳になった時、本格的に覚醒することになる。
 また、巫女には守り手がいる。巫女が生まれるのと時を同じくして生まれるそれは、虎。
 白い虎と蒼い虎。巫女の命令には絶対服従する美しい生き物だ。

 そして、いつ生まれるかも分からない存在を、鬼は待ちわびているのだった。

 鬼は、巫女と交わることで子をなし良き子孫を残してきた。
 鬼同士の繁殖は、短命で知能の低い下等な鬼を増やしてしまう。高等な鬼を残すためには巫女が必要だった。
 巫女の不思議は力は、人間のように簡単に子をなすことが出来ない鬼たちにとっては必要不可欠なものだった。
 それ故、長い寿命と圧倒的な力を持つ変わりに、子孫を残すことが難しい鬼たちにとっては、巫女から生まれる子供こそが何よりの頼りになっていた。
 鬼と交わった巫女は、その後鬼と変化へんげし、産み落とす子供は一度に100人ほど。その中でも高等な鬼はほんの一握りくらいしかいない。
 また、巫女の婿となる鬼は、銀髪の赤い瞳を持った鬼でしかならなかった。
 その姿の鬼は非常に貴重で力も強く、一時代に一人しか生まれない。いわば鬼の頂点に君臨する者のことだった。

 ともに利害の一致する人間と鬼は共存することに何も疑問は持っていなかったが、ある時から人間側に不穏な動きが現れ始めた。
 繁栄というすばらしい力を持つ巫女をなぜわざわざ鬼に献上しなければならないのか。
 私利私欲にまみれた時の権力者たちは巫女の純潔を奪った。
 巫女は純潔をささげた相手に対しその力を用い一族を繁栄に導く。が、純潔が奪われた後はその力は消滅してしまうのだ。
 ただでさえ巫女が生まれる確率は低く、鬼たちの繁殖能力は低い。
 人間たちの行為により鬼は衰退の道を余儀なくされてしまう。
 他の貢物もなくなり、下等な鬼たちは同族食いを始め数が激減していく。
 わずかな数になった鬼たちは冥界に逃げ込み、なりを潜めた。
 また、巫女も理由は分からないがいつしか生まれなくなり、二つの存在は時に埋もれるように消えていった。



 しかし、最後に生まれた銀髪の鬼は誓う。
 いつしかまた巫女は生まれる。
 その時は我が貰い受ける。
 そして、我ら一族の復活を遂げる……と。

 

 

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