女神と契約した俺と悪魔と契約した七人の女の子
6
プリンを買って帰るとリビングに居た恵美が飛び跳ねて喜んでくれた。露骨にも分かりやすい喜び方に自分の方も嬉しくなった。一緒にプリンを食べ、テレビを見ながら宿題をし、先輩から来た連絡に返信を入れ、ベットに横になった。
翌日。昨日の連絡通り、彼女は俺の家に迎えに来た。
こういう時は俺が迎えに行くべきだと思うし、一応ボディーガードなんだからという気持ちがあったが彼女がそれで良いと言うのだから俺は彼女に合わせるだけだ。
昨日は「ベタベタするの気持ち悪い」とか言っていたくせに今日は一緒に登校とか……果たしてこの人はなんだろう。俺をおちょくっているのだろうか?
俺と先輩は特に何も喋る事は無かったが、お互いに目を合わせたり、合わせなかったりして、カップルになりたいけどなれないみたいなそんな男女二人組の如く、学校へと向かっていた所、後ろから声を掛けられた。
二人同時に後ろを振り向く。
「会長、おはようございます」と薄い黒縁メガネをかけたキリッとした男がそこにはいた。
勿論、俺が声を掛けられたわけではなく、先輩の方だ。
あれ? 何か、先輩の表情がいつもと違う?
「お、おはよう。裕也君!」
猫かぶりモードの会長が裕也君と名乗る男に挨拶を返す。俺もそれに合わせて、会釈だけしておいた。
いや、俺の気のせいか。
彼の名前は、津川裕也――こいつの事は学校関連の事なんて無知の筈の俺でさえ知っている。
学校一のイケメン。それが彼だ。
俺とは絶対関わりを持つことは無いだろうと思っていたけど、こんな所で関わることになるとはな。
「あ、あの……この人が会長の彼氏ですか?」
「そうなんです。かっこいいでしょ?」
かっこいい……嘘だとしても嬉しいな、その台詞。
「そうですね。会長……」
彼がそう言いながら、雪の手を握りしめ――させない。
津川裕也の手を蚊を叩き落とすかのように叩き落とした。
「……ん?」
こっちを思いっきり見られた。
いや見られたというよりも睨まれたというべきか。
「あのごめん。つい、手が動いた』
こんな言葉が俺の口から出ることは無かった。
というか無意識の内に手が動くなんてな。
なんかこいつに先輩を触らせたくないと思った。
「あぁー僕の方こそ……ごめんごめん。つい、手が動いてたよ」
そのまま彼はペコリと頭を下げて走って行った。
なんだ……? あいつ?
「その、陸空君……」
「なんですか? 先輩?」
「い、いや……何でも無いわ。い、行くわよ。学校に!」
先輩に腕を引っ張られ、学校へと向かう。
***
「なぁ、お前バイトしないか?」
教室に入ると既に金髪碧眼美少女が居たので、俺から喋りかけてみた。
しかし彼女が自分に言われていると気づかずに勉強を続けたので、「お前だよ、俺の隣の金髪ちゃん」と言うとこいつに関わりたくないオーラを出しながら、俺の方を睨んできた。
「バイトねぇ……何のバイトなのよ」
もしかして、脈ありか?
「プリン屋さん、何だが……どうだ? お前が働くって言うんだったら――」
「無理よ、私はそんなに暇じゃないの」
ならバイトが何かなんて聞くなよ。
暇じゃ無いなら言うなよ。このヤロー。
しかしどうだろう。
佐々木さんは困ってる。プリン一つおまけして貰ったし、ここは借りを返すべきか。
ならば、もう土下座しかない!
もし、それが俺の気高い誇りを捨てることになったとしても、俺は佐々木さんの力になりたいんだ。
「なぁ、本気で頼む。この通りだ!」
俺は両膝を下につけ、両手を床につけた。
フッ……もうこれで満足だろ?
「無理」
俺の本気のお願いは「無理」の二文字で終わってしまったようだ。
翌日。昨日の連絡通り、彼女は俺の家に迎えに来た。
こういう時は俺が迎えに行くべきだと思うし、一応ボディーガードなんだからという気持ちがあったが彼女がそれで良いと言うのだから俺は彼女に合わせるだけだ。
昨日は「ベタベタするの気持ち悪い」とか言っていたくせに今日は一緒に登校とか……果たしてこの人はなんだろう。俺をおちょくっているのだろうか?
俺と先輩は特に何も喋る事は無かったが、お互いに目を合わせたり、合わせなかったりして、カップルになりたいけどなれないみたいなそんな男女二人組の如く、学校へと向かっていた所、後ろから声を掛けられた。
二人同時に後ろを振り向く。
「会長、おはようございます」と薄い黒縁メガネをかけたキリッとした男がそこにはいた。
勿論、俺が声を掛けられたわけではなく、先輩の方だ。
あれ? 何か、先輩の表情がいつもと違う?
「お、おはよう。裕也君!」
猫かぶりモードの会長が裕也君と名乗る男に挨拶を返す。俺もそれに合わせて、会釈だけしておいた。
いや、俺の気のせいか。
彼の名前は、津川裕也――こいつの事は学校関連の事なんて無知の筈の俺でさえ知っている。
学校一のイケメン。それが彼だ。
俺とは絶対関わりを持つことは無いだろうと思っていたけど、こんな所で関わることになるとはな。
「あ、あの……この人が会長の彼氏ですか?」
「そうなんです。かっこいいでしょ?」
かっこいい……嘘だとしても嬉しいな、その台詞。
「そうですね。会長……」
彼がそう言いながら、雪の手を握りしめ――させない。
津川裕也の手を蚊を叩き落とすかのように叩き落とした。
「……ん?」
こっちを思いっきり見られた。
いや見られたというよりも睨まれたというべきか。
「あのごめん。つい、手が動いた』
こんな言葉が俺の口から出ることは無かった。
というか無意識の内に手が動くなんてな。
なんかこいつに先輩を触らせたくないと思った。
「あぁー僕の方こそ……ごめんごめん。つい、手が動いてたよ」
そのまま彼はペコリと頭を下げて走って行った。
なんだ……? あいつ?
「その、陸空君……」
「なんですか? 先輩?」
「い、いや……何でも無いわ。い、行くわよ。学校に!」
先輩に腕を引っ張られ、学校へと向かう。
***
「なぁ、お前バイトしないか?」
教室に入ると既に金髪碧眼美少女が居たので、俺から喋りかけてみた。
しかし彼女が自分に言われていると気づかずに勉強を続けたので、「お前だよ、俺の隣の金髪ちゃん」と言うとこいつに関わりたくないオーラを出しながら、俺の方を睨んできた。
「バイトねぇ……何のバイトなのよ」
もしかして、脈ありか?
「プリン屋さん、何だが……どうだ? お前が働くって言うんだったら――」
「無理よ、私はそんなに暇じゃないの」
ならバイトが何かなんて聞くなよ。
暇じゃ無いなら言うなよ。このヤロー。
しかしどうだろう。
佐々木さんは困ってる。プリン一つおまけして貰ったし、ここは借りを返すべきか。
ならば、もう土下座しかない!
もし、それが俺の気高い誇りを捨てることになったとしても、俺は佐々木さんの力になりたいんだ。
「なぁ、本気で頼む。この通りだ!」
俺は両膝を下につけ、両手を床につけた。
フッ……もうこれで満足だろ?
「無理」
俺の本気のお願いは「無理」の二文字で終わってしまったようだ。
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