俺の同級生は魔王

巫夏希

3-[0] 魔王、躊躇。

 もう夏とは一年の別れとなり、秋の寒さがゆっくりと匍匐前進でやってきたように俺の体を蝕んでいった。


 暦の上では九月も半ばになり、もうこの前のような夏のごとく照りつける暑さはこの北風によって飛ばされていったかのようだ。


 まぁ、いつになっても俺がこの坂道を登ることには変わりはない。未だに怨んでいるのは『この学校を選んだ俺』ではなく『この学校がある山』なのだが。


 さて、そう話しているうちにチャイムが鳴ってきそうなので、一気に走っていくことにしよう。間に合わずに担任による一週間遅刻の罰である男子トイレの掃除を4週連続任されてはたまったものじゃないからな。

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