俺の同級生は魔王

巫夏希

1-[2] 魔王、交渉。

 そしてみえてきたのは、黒と青が混ざったような鮮やかな色をした眼だったよ。まるで外国人じゃないかと思った。でも顔立ちとかが純日本人っぽかったし、まあ、それはあり得ないな、とか思った。


 そんなことをかんがえてるうちに彼女は俺に声をかけた。さあ、第一声はなんだ? まさか「好きになりました」とか言い出さないかなー。いや、それなんてラブコメなんだよ? とか勝手に思っていたら。


「あの」


 彼女の声は自分が想像したとおりのすっきりとした高い声だった。あれ、もしかして俺の想像からの恍惚とした表情をみて、怪しがられた? とか思っていたら。

「どけ! 私を誰だと思っている!」


 思わず1m以上離れてしまったね。いや、もしかしたらツンデレじゃね? とかまだまだ見捨てられない――それくらい彼女はきれいだったのさ――そんな思いを抱いて彼女を眺めていた。


「……お主。我が何者か、わかるか?」


「え?」


「我は、この世界を統べるべくやってきた魔王! お主、我の部下となれ!」


 いやあ、もうびっくりしたね。もう戻れないと思ったよ。








***




「は?」


 俺はただその声を聞いて、立ち尽くしていた。遠くの山から烏の鳴き声が聞こえてくる程度である。


「……わからなかったようね! もう一度だけ言うわ! いいからさっさと私の部下に」


「いやつまりどういうことなんだよ。おまえ厨二病でも発症してるのか?」


「その『ちゅうにびょう』とやらはわからぬが、わたしは本気だぞ?」

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