僕のとなりは!?(僕とな!?)
鎮守の森と巫女様その1!
マスターからの地図をもらって閑静な住宅地が広がる駅の南側にやって来た僕たちだったのだけれど、
目の前に広がっているのは異様な存在感を放つ暗い森であった。
「目的地付近に到着したのでルートガイドを終了するとしよう、北村くん後は…任せたぞ…!!」
今まで僕らを煽動もとい先導していた微風が自分の今際の際の様に崩れ去る様な口調をしてきたので
「もう…いいよ微風くん、疲れたよね…
君はもう休んでて…後は僕らが君の屍を越えていくから!!」
なんて冗談半分で言ってみたら微風が驚いた顔をしたところから話を再開するとしよう、
「お…おう、そうか…そうだな我は君らの後ろからついて行くとしよう、お二方が妙に気が合っているので我もそれに少しずつ合わせる方向で頼むな? よろしく」
目的地付近と言う割には微風に渡された地図を確認すると森の奥まで行かなくちゃいけない様なのではあるが…もう一本道なので地図の案内もいらないな、
「よし、マスターからの依頼だし行ってみようか!」
微風に合わせてみたら反応が微妙だったけど気を取り直しして僕らは歩みを進めていく、それにしてもさっき石畳が終わって
土を踏み固めた道になったのだがあまり整備がされていないのかところどころに雑草が生え始めている。
こんな森のなかに一体何があるのだろうか、朽ち果てた洋館とか工場…はないか
肝試しには季節が早いし人気の無い場所を好む怪しい人達が彷徨く場所だったりするのだろうか?
「…言おうかどうか迷ったのですがこの森に入ってからずっと視線を感じているのですか私だけでしょうか?」
そんなお世辞にも冗談に聞こえない事を急に言わないでくれよレイピア嫌な予感しかしないよ…
「何…だと? おいおい北村くん、レイピア嬢は霊感でも有るのかい?」
レイピアに霊感が有るなんてそれは僕にも初耳なんだけどさ、けれどお化けとか幽霊とかって人間が分からないかったとを当てはめているだけでそれは暗闇を見て自分達には不可視だからそこに「恐怖」を抱くのだ…
とは仕組みとしてわかっていたとしても感情というのは理性や道理を超えてしまうものでぶちゃけていくと僕だって怖いものくらいは有るよ…お饅頭とかね。
「我も霊感を持つと自称する気はないがこれは勘違いであってほしいがこの森…歩みをすすめるごとになにやら違和感を覚えて嫌なのだが…流石に気のせいであってほしいぞ」
僕らは足が竦むとかそんなことこそは起きないけど昼間にこんな薄暗がりを作っている影は決して木々だけではないのではと僕らは不安にのまれていた。
「マスターのことだから変な場所ではないと思うんだけど、あの人も謎めいてるというかどんな人生おくったらあんな感じになるんだろうね?」
落ち着いているとか、大人っぽいと簡単に片付けられない何かをあの人は持っているよね。
「マスターは女性の扱いに長けていそうですよね~それこそコーヒーの様に人生の苦いも酸っぱいも乗り越えている…なんて言うのはどうでしょうか?」
詩的だねレイピア、願わくはもう少しキャラを僕といるとき位まで崩してくれればいいんだけどねー、
「あぁまでに周囲に慈悲を振り撒くには傲慢にも欺瞞を使い捨て、偽善を毅然と語る輩は確固たる覚悟をもって撃滅せねばなるまいて…」
曲がりくねっていたり、苔むしている土を踏み固めただけの道はどこへ続いているのか、具体的な建造物が一向に姿を現さないと思っていると僕らは開けた場所に出たんだけれど
「ほぅ…これは…石鳥居か…」
目の前に現れたのは白い…いや、この森のなかで自然に半分ほど埋没してしまっていて、緑が這うように取りついている。
「まさか我らが歩いてきたのは鎮守の森なのか?
この街も都会だと思っていたが案外とこういった場所があったとはな…」
ここだけ時間から取り残されたかのようにぽっかりと急に不安になる、
絵画でも見ているのか…天鵞絨の深い色合いと木漏れ日とが相まって溜め息をつくほどに何か神秘的なもの僕らにを感じさせた。
「こんな場所があったなん全然知らかった…」
これだけの自然がぽっかりと残っていることとあまり認知されていない事が僕には不思議なんだけど、何か理由でもあるのだろうか。
「噂だけなら聞いたことがあるぞ、あまり情報源は信用しないんだが。
というのも駅の南側には古谷天守という昔の領主の館があって夜な夜な呻き声やら森に入ってから視線を感じて振り返ると赤い爛々とした目が森を駆けずり回るのだ。」
冷静さと空気の読めないことには定評がある僕なので微風の口調からしてわざとらしさに気づいてしまって、
そんな訳ないなと古谷天守って古家の雨漏りっていう昔ばなしだったことに気づいてしまいなんとも言えない微妙な気持ちになってしまった。
「ふ…古谷天守…そんな方聞いたこと無いのですがま、まさかこんなお昼過ぎの時間まで幽体になって私達のもとに出る…なんてことないですよね!!?」
僕とは正反対に人を疑うことを知らないレイピアは残念ながら微風の冗談混じりの話を信じきってしまっているのはなんとも可愛らしい様な危うい気がする。
「お、おう、確かに奴は表の歴史には一切出てこない、何故ならば…」
「存在しないから」と一言で済ませてしまえば簡単に事が済むのだけれどレイピアがここまで戸惑っているところを見ると
もう少しだけ怖がらせてみようかなって僕なら考えるところだけれど微風は僕より良心的なのだろうか、二の句がさっと出てこない。
「…何故ならば奴はかつて自らを新皇と名乗り国家へ反逆したのちに終には一族郎党の一切を滅ぼされ都からこの地に単身落ちのびたが裏切りにあい捕らえられた。
最後はこの社付近にて斬首され祀られたという…古谷天守を祀る社なのだぁ!」
その似たような話を聞いたことある気がしないでも無いけれど僕もそれに肯定的な素振りだけしておくことにしよう、
因みにこの物語は実際の団体および個人名とは一切関わりがございません。
あらかじめご了承下さい。
「古谷天守…命を落とされたのが不本意のうちだとしたらこの周辺が何処か寂しい場所になっているのはこの場が良くないものの吹きだまりの様になっているからなのでしょうか…?」
良くないものの吹きだまり…レイピアは人ではない、尋常ならざるものを持っている。
空色の火炎を吹き出しまたそれを身に纏う「藍斬」という刀、全くそんな少女の話に僕のようなまるで特殊性の無い奴がしゃしゃり出てきてこの少女にしてやれることなど果たしてあるのかと今更になって思う、昨日の一通りの初対面の人達の話で隣で小刻みに震えている少女についての情報はある程度仕入れることが出来たけど…
「悪いものの吹きだまり?まさかここは呪われし大地であるというのか!?」
「流石にそこまでは私個人の見識では申し上げられませんが…」
「見識とはまた小難しきことを言いますなレイピアさんは」「いえ、何分不勉強なので…」
微風とレイピアが少しずつ打ち解けているところを見て心配は要らないなとすこしだけ安堵したけれどマスターの指示によると森の突き当たりまで行くようになっているので僕らはもっと先へ進まなくてはならない、
「二人とも目的地までもう少しなんだけどお見合いみたく向かい合ってペコペコしてないで早く行こうか?」
そんなことを言うけどこれぽっちも怒っているとかは無くて単に二人が立ち止まっていたからなのだ、他意はないさ…
「涼くん、神社にある鳥居は中央を通ってはいけないのですよ。
参道は神の道でもありますからその中央を歩くのは止めておいた方がいいと思いますが…?」
鳥居を潜るのに真ん中を歩くのは確かに良くないけれど僕らは別に神様なんて今更に信じたところで果たして意味なんて…
参道の中央、鳥居の真下を歩く僕の目の前で唐突に風が、なんの前触れも無く僕を参道から突き飛ばした、
よろけながら僕は体勢を立て直したのだけれどこれじゃあまるで…神様が実際に僕をどかせたみたいじゃないか、
「信じる者は救いがない…よくある話じゃろうて、うむ、紛いなりにもそこは儂の道じゃ、のけ」
急に聞き覚えの無い声がしたのでレイピアか微風が冗談で口調を変えて言ったのでは無いかと驚いて振り替えるとレイピアと微風も何が起きていたのかよく分かっていない様子で「大丈夫か」と微風が手を差し伸べてくる、僕はあの声は何だったんだと微風に聞こうとも思ったが微風とレイピアをみるに僕は幻聴でも聞いたのだろうか…
レイピアについてのストレスでも溜まっていてそれが出たなんて不確実なことを考えても仕方ないと言うのに何か責任を押しつけられるものが僕には欲しいのかと思って余計に嫌になる、
「北村くん大丈夫か、顔色が悪いんじゃないか?」
微風の気づかいはありがたいけど僕なら大丈夫だよと一度深い溜め息をついてもう一度参道の中央を歩いてみよう…とは流石にならず僕らは苔むした石鳥居を後にした。
ぼんやり空を眺めてみるとぽつんと雲が一人でふらふらと浮かんでいる、「どこにいきたいんだい?」なんて聞いてみたところで返してくれる訳でもないので視線と意識を地上に戻してみよう。
「あー、我とある七十五日を聞いたことがあるのだが聞いてみるか?」
七十五日…何のことかな、微風言葉は少しだけ捻ってあるからそこから考えると微風のしたり顔というのか微風の悪巧みの顔を崩すにはどうすれば…
「その七十五日はすなわち噂ですね、いわゆる人も噂も七十五日のところから取ったのかと思いますが…どうですか微風さん?」
あぁなるほどその七十五日か、てっきり僕は初物かと思って旬の食材でも紹介されるのかと思ったよ。
「いぐざくとりー!! 素晴らしいぞレイピア君よくぞ見破ってくれた」
微風は尊大な態度でもってレイピアを誉めているのに対し
「いえいえ、そんなことはないです。
私もまだまだなところがありますので、さっぱりなことも無いこともないんですよ?」
丁寧な対応をして猫を被るのが僕からするとなんとも奇妙なモノに見えるな…
「いいけど先に進むよ、こんなことを続けていたらあっという間に夜になっちゃうからね」
僕はレイピアと微風のやり取りを気にせずに潜った本殿を何となく振り替える…妙な事が続いてどうにも心にもやでもかかってしまったかの様に感じてしまう、
「それでこれはあくまで「噂」の域をでない話ではあるんだが、この街には風が突然吹いたら神様が怒っている証拠なのだと言われている…
風が吹いたら桶屋が儲かるではなくばちがあたるとは言わないしそれに加えて確たる話でもなくそれこそ風の噂なのだがな」
風の吹く町か…そんな眉唾物の話が残っているのはなんでだろう
「風が吹くのはばちがあたる警告みたいなものなのですか…なるほど面白そうですね!」
真に受けた女の子が若干名いらっしゃいますが今回僕が経験したこともきっとたまたまだろう…そう信じたい。
この社には噂がある。地元に住んでいれば耳にしない事はないはないそれは
「この地域にはもののけがおり、鎮守の森をねぐらにしている。」
となんとも古典的で漠然としたものではあるが実際この森を都市の再開発の一環で市が伐採や土地の地上げを試みた時には偶然や不運が重なって失敗に終わっているのだ。
「昔は景観が良くて保養地だったなんて話ですし…それも廃れ始めてから随分たちますと話には聞きますけどそんなことを懐かしみながらされても困りますし、私知らないので!!
…っと、一人で境内を掃除しながらそんなことを言っても仕方ないですよね…」
例大祭やらのお祭りをする機会もあるのですが最近は参加する方自体が少なくなってしまって…一応神社として登録はしているのですがこのままだと存立が危ぶまれるというのに…
「なんでまたうちの両親は私に丸投げして海外旅行とかし始めちゃうんですかね!!!
神主の仕事もほっぽりだして今頃地中海クルーズて、なんなんですかもぉぉぉ!」
と今にでもこの森に向けて叫びたい気分なのですが流石にそんなことはしません、
どうせ一人なので本音を言えば大声出したいですけどね。
「神様が本当にいるならこの状況を救って欲しいものなんですが、自分から行動しない限りは何かを変えることなんて出来ませんよね…?」
学校もそろそろ始まると言うのにこの社の行事に振り回されるのも困るしかといって…
少女が一人寂しく思案をしながら境内を箒で掃いている、話と格好から察するにこの神社の人のようだ。
「何となく隠れてしまったのだが…これどうなんだろうね?」
石鳥居から少しばかり歩いたところで広い場所に出たんだけどこんなところに誰かいるのは不審だということで微風の提案で隠れてみたところだよ。
「なんだか探偵とか密偵になった気分ですよね!!」
レイピアさん、それはやりすぎるとプライバシーの侵害になって捕まっちゃったりするから気を付けてね?
「いやはや…まさか神主さんというものがきちんといる神社だとは思わなかったな…てっきり廃寺かと…
まぁ、あの人の前で言ってみる勇気は流石に無いがな」
微風が隣で少し申し訳なさそうに言う、
確かにこの時間に人気の無い森と寺って言うのはもう人がいない場所だと思っても仕方ないと思うしそこで無いはずの人影が有ったら隠れるよね、分からないでもないよ。
「あの姿形から察するにこの神社の人の様ですね、マスターからの依頼はここに参拝することなのでしょうか?」
レイピアの推測は正しいのかどうか僕にはわからないけれど、マスターから渡されたお手製の地図の裏にもなんにも書かれていなかったしここまで来ればマスターには取り敢えず報告できるよね。
「え、涼くん帰るつもりなの?」
なんだいレイピア、その僕を非難するような目はそんな上目遣いをしたところで無駄だよ、この神社に来る目的は果たしたし帰ろうよ。
「北村くん、ここまで来てそれはないだろ…未知に無知なのは誰であっても同じ事だがこの神社に参拝して由縁位あの御仁に聞いても旋風の罰は当たるまい、むしろ良いことが下りてくるやもしれんぞ?」
賛成二票に反対一票で賛成多数か、微風もあの神主さんに突撃する方向は変わらないようなので渋々僕も付き合うことになった。
多数決って嫌いだけどね…
僕はあくまで傍観系主人公なのでやれやれとかオラオラとか言わないけれど一度だけ溜め息をついてからレイピアと微風が動き出す前に謎の神社関係者さんに向けて歩き出したのだった。
僕より少し小さな背中を目指して進んでいく、
「あの~すみません、僕達初めてここに来たのですがこの社の方ですか?」
肩に手を置かないまでも1メートル位近づいたところで僕は神社の方に声をかける…するとどうだろう、いつの間にやら僕の視線は木々の隙間から見える青い空に向いていた、あれ…何が起きたんだ?
「あっ…!? えっとすみません!!!」
僕の知らない女の子が上からのぞき込んできたと…うん?
微妙に状況が理解できないのだけれど…?
「涼くんになにしてんの!!」
草むらからレイピアの声がこちらに向かってきていているのが分かったので大丈夫だよと石畳にゆっくり下ろされながら言う、
別に体に痛みもなく何をされたのかと言えば目の前の女の子に投げられたのかと数秒してから気がついた、正確に言えば体勢を崩されただけだけどね、
「ごっ、ごめんなさい!
 ぼーっとしてて急に話しかけられたものでここに人が来るのってお酒に酔った人とかへ、変な人しかいないのでつっ、つい手が出てしまって!! 
本当に申し訳ないといいますか、もうっ…ごめんなさい!」
勢い良く謝られても…まぁ素直に謝ってくれるのは良いんだけど…あれ、僕そんな謝られるようなことされたっけ? 
「いやはや、きれいに宙を舞っていたな北村君…柔道かはたまた合気道の心得でもあるのかなーと思いつつよろしければお名前とか伺ってよろしいかな?」
ご立腹なレイピアを制して微風は僕の腕を捕まえている少女にファーストコンタクトを取った。
「あの、えっと…」
微風とレイピアを見てから僕のほうにお知り合いですかという視線を送ってきたので一先ず崩された体勢を戻して頷いた。
「私はこの熱川神宮の神主代行を努めております、来宮優花と申します。
私で数えて二十一代目となっていますがそもそもこの熱川神宮は…」
体を起こして来宮さんはどんな人なのだろうと観察してみると、なるほど確かに神主さんの赤と白のいわゆる「巫女服」を着ている。
お正月にみるとバイトの大学生の人がコスプレしている様に見えるけど来宮さんは確かにその感じは無く板についているような
あまり違和感がない、
黒い髪からもみあげを肩にかかるまで伸ばしていて誰かさんみたいに本来ならば活発な子が大人しくさせられている様な違和感というかギャップを感じるし
今こそおどおどしているけど普段なら自信ありげにキリッとしてかわいらし…これ以上は止めておこう、僕の価値観による感想よりも話を先に進めたい。
「あー、その話は追々聞かせてもらうとしてここは神社でまぁなにかしらを祀っているということでok?」「は、はいその様に思ってもらえればおーけーです、
ここが何を祀っているのかとかご興味があればお話しすることも出来るのですが…」
来宮さんの心配そうな目線がどこへ向かっているかというと怪しげに彼女を睨んでいるレイピアに他ならない、もしかして怒ってる?
「涼くん、私には未だに来宮さんと手を繋いでいる意味と意義をふかーく説明して欲しいのだけどー? 本当に意味はあるのかなー?」
レイピアのこの一言の後もドタバタする話はまだまだあるのだけれど来宮さんと僕で目を合わせてお互いに気まずい沈黙の後で慌てて手を離すというところで今回のところはおいとまさせて頂くとしよう。
「やれやれ、騒がしいのぅ…」
風の唸りにしてはまたはっきりとした声が森の何処からかしてきたのだけれど僕はあまり気に求めなかった、幻聴とか幻覚の類いは僕らの深層意識とかが言っているに過ぎないからである、
騒がしいのなんて今まではあまり良くも思えていなかったがこれからはもしかするとその意識も変わっていくのかもしれないと僕はそう思ったのだった。
人は中々性根は変わることはないかもしれないが環境次第でコロコロと順応して適応力を養うのが人であると人を信じない僕が僕は少しだけ信じていることである。
「待ち人来ず…か確かに昨日は俺が来なかったが…今度はあっちがうんとも寸とも言ってこないんだぜ☆」
本に囲まれながら少年が一人覚えられそうにない英単語に毒づくのである、
「やったらやり返されるの法則、「目には目を歯には歯を」そんなのハンムラビ法典で明らかにされてることでしょ?」
近くの本棚からもっとな声がして少年は項垂れるしかなかったのだが
「英単語覚えに図書館に来たんだから書くなり読むなりして覚えないと!ほら!」
急かされて急に何かが進むわけでもなし午後の時間を待ち人をしながら少年はのんびり急ぐのであった。
次回へ続くんだぜ☆
次回、消印と消し炭その3!
目の前に広がっているのは異様な存在感を放つ暗い森であった。
「目的地付近に到着したのでルートガイドを終了するとしよう、北村くん後は…任せたぞ…!!」
今まで僕らを煽動もとい先導していた微風が自分の今際の際の様に崩れ去る様な口調をしてきたので
「もう…いいよ微風くん、疲れたよね…
君はもう休んでて…後は僕らが君の屍を越えていくから!!」
なんて冗談半分で言ってみたら微風が驚いた顔をしたところから話を再開するとしよう、
「お…おう、そうか…そうだな我は君らの後ろからついて行くとしよう、お二方が妙に気が合っているので我もそれに少しずつ合わせる方向で頼むな? よろしく」
目的地付近と言う割には微風に渡された地図を確認すると森の奥まで行かなくちゃいけない様なのではあるが…もう一本道なので地図の案内もいらないな、
「よし、マスターからの依頼だし行ってみようか!」
微風に合わせてみたら反応が微妙だったけど気を取り直しして僕らは歩みを進めていく、それにしてもさっき石畳が終わって
土を踏み固めた道になったのだがあまり整備がされていないのかところどころに雑草が生え始めている。
こんな森のなかに一体何があるのだろうか、朽ち果てた洋館とか工場…はないか
肝試しには季節が早いし人気の無い場所を好む怪しい人達が彷徨く場所だったりするのだろうか?
「…言おうかどうか迷ったのですがこの森に入ってからずっと視線を感じているのですか私だけでしょうか?」
そんなお世辞にも冗談に聞こえない事を急に言わないでくれよレイピア嫌な予感しかしないよ…
「何…だと? おいおい北村くん、レイピア嬢は霊感でも有るのかい?」
レイピアに霊感が有るなんてそれは僕にも初耳なんだけどさ、けれどお化けとか幽霊とかって人間が分からないかったとを当てはめているだけでそれは暗闇を見て自分達には不可視だからそこに「恐怖」を抱くのだ…
とは仕組みとしてわかっていたとしても感情というのは理性や道理を超えてしまうものでぶちゃけていくと僕だって怖いものくらいは有るよ…お饅頭とかね。
「我も霊感を持つと自称する気はないがこれは勘違いであってほしいがこの森…歩みをすすめるごとになにやら違和感を覚えて嫌なのだが…流石に気のせいであってほしいぞ」
僕らは足が竦むとかそんなことこそは起きないけど昼間にこんな薄暗がりを作っている影は決して木々だけではないのではと僕らは不安にのまれていた。
「マスターのことだから変な場所ではないと思うんだけど、あの人も謎めいてるというかどんな人生おくったらあんな感じになるんだろうね?」
落ち着いているとか、大人っぽいと簡単に片付けられない何かをあの人は持っているよね。
「マスターは女性の扱いに長けていそうですよね~それこそコーヒーの様に人生の苦いも酸っぱいも乗り越えている…なんて言うのはどうでしょうか?」
詩的だねレイピア、願わくはもう少しキャラを僕といるとき位まで崩してくれればいいんだけどねー、
「あぁまでに周囲に慈悲を振り撒くには傲慢にも欺瞞を使い捨て、偽善を毅然と語る輩は確固たる覚悟をもって撃滅せねばなるまいて…」
曲がりくねっていたり、苔むしている土を踏み固めただけの道はどこへ続いているのか、具体的な建造物が一向に姿を現さないと思っていると僕らは開けた場所に出たんだけれど
「ほぅ…これは…石鳥居か…」
目の前に現れたのは白い…いや、この森のなかで自然に半分ほど埋没してしまっていて、緑が這うように取りついている。
「まさか我らが歩いてきたのは鎮守の森なのか?
この街も都会だと思っていたが案外とこういった場所があったとはな…」
ここだけ時間から取り残されたかのようにぽっかりと急に不安になる、
絵画でも見ているのか…天鵞絨の深い色合いと木漏れ日とが相まって溜め息をつくほどに何か神秘的なもの僕らにを感じさせた。
「こんな場所があったなん全然知らかった…」
これだけの自然がぽっかりと残っていることとあまり認知されていない事が僕には不思議なんだけど、何か理由でもあるのだろうか。
「噂だけなら聞いたことがあるぞ、あまり情報源は信用しないんだが。
というのも駅の南側には古谷天守という昔の領主の館があって夜な夜な呻き声やら森に入ってから視線を感じて振り返ると赤い爛々とした目が森を駆けずり回るのだ。」
冷静さと空気の読めないことには定評がある僕なので微風の口調からしてわざとらしさに気づいてしまって、
そんな訳ないなと古谷天守って古家の雨漏りっていう昔ばなしだったことに気づいてしまいなんとも言えない微妙な気持ちになってしまった。
「ふ…古谷天守…そんな方聞いたこと無いのですがま、まさかこんなお昼過ぎの時間まで幽体になって私達のもとに出る…なんてことないですよね!!?」
僕とは正反対に人を疑うことを知らないレイピアは残念ながら微風の冗談混じりの話を信じきってしまっているのはなんとも可愛らしい様な危うい気がする。
「お、おう、確かに奴は表の歴史には一切出てこない、何故ならば…」
「存在しないから」と一言で済ませてしまえば簡単に事が済むのだけれどレイピアがここまで戸惑っているところを見ると
もう少しだけ怖がらせてみようかなって僕なら考えるところだけれど微風は僕より良心的なのだろうか、二の句がさっと出てこない。
「…何故ならば奴はかつて自らを新皇と名乗り国家へ反逆したのちに終には一族郎党の一切を滅ぼされ都からこの地に単身落ちのびたが裏切りにあい捕らえられた。
最後はこの社付近にて斬首され祀られたという…古谷天守を祀る社なのだぁ!」
その似たような話を聞いたことある気がしないでも無いけれど僕もそれに肯定的な素振りだけしておくことにしよう、
因みにこの物語は実際の団体および個人名とは一切関わりがございません。
あらかじめご了承下さい。
「古谷天守…命を落とされたのが不本意のうちだとしたらこの周辺が何処か寂しい場所になっているのはこの場が良くないものの吹きだまりの様になっているからなのでしょうか…?」
良くないものの吹きだまり…レイピアは人ではない、尋常ならざるものを持っている。
空色の火炎を吹き出しまたそれを身に纏う「藍斬」という刀、全くそんな少女の話に僕のようなまるで特殊性の無い奴がしゃしゃり出てきてこの少女にしてやれることなど果たしてあるのかと今更になって思う、昨日の一通りの初対面の人達の話で隣で小刻みに震えている少女についての情報はある程度仕入れることが出来たけど…
「悪いものの吹きだまり?まさかここは呪われし大地であるというのか!?」
「流石にそこまでは私個人の見識では申し上げられませんが…」
「見識とはまた小難しきことを言いますなレイピアさんは」「いえ、何分不勉強なので…」
微風とレイピアが少しずつ打ち解けているところを見て心配は要らないなとすこしだけ安堵したけれどマスターの指示によると森の突き当たりまで行くようになっているので僕らはもっと先へ進まなくてはならない、
「二人とも目的地までもう少しなんだけどお見合いみたく向かい合ってペコペコしてないで早く行こうか?」
そんなことを言うけどこれぽっちも怒っているとかは無くて単に二人が立ち止まっていたからなのだ、他意はないさ…
「涼くん、神社にある鳥居は中央を通ってはいけないのですよ。
参道は神の道でもありますからその中央を歩くのは止めておいた方がいいと思いますが…?」
鳥居を潜るのに真ん中を歩くのは確かに良くないけれど僕らは別に神様なんて今更に信じたところで果たして意味なんて…
参道の中央、鳥居の真下を歩く僕の目の前で唐突に風が、なんの前触れも無く僕を参道から突き飛ばした、
よろけながら僕は体勢を立て直したのだけれどこれじゃあまるで…神様が実際に僕をどかせたみたいじゃないか、
「信じる者は救いがない…よくある話じゃろうて、うむ、紛いなりにもそこは儂の道じゃ、のけ」
急に聞き覚えの無い声がしたのでレイピアか微風が冗談で口調を変えて言ったのでは無いかと驚いて振り替えるとレイピアと微風も何が起きていたのかよく分かっていない様子で「大丈夫か」と微風が手を差し伸べてくる、僕はあの声は何だったんだと微風に聞こうとも思ったが微風とレイピアをみるに僕は幻聴でも聞いたのだろうか…
レイピアについてのストレスでも溜まっていてそれが出たなんて不確実なことを考えても仕方ないと言うのに何か責任を押しつけられるものが僕には欲しいのかと思って余計に嫌になる、
「北村くん大丈夫か、顔色が悪いんじゃないか?」
微風の気づかいはありがたいけど僕なら大丈夫だよと一度深い溜め息をついてもう一度参道の中央を歩いてみよう…とは流石にならず僕らは苔むした石鳥居を後にした。
ぼんやり空を眺めてみるとぽつんと雲が一人でふらふらと浮かんでいる、「どこにいきたいんだい?」なんて聞いてみたところで返してくれる訳でもないので視線と意識を地上に戻してみよう。
「あー、我とある七十五日を聞いたことがあるのだが聞いてみるか?」
七十五日…何のことかな、微風言葉は少しだけ捻ってあるからそこから考えると微風のしたり顔というのか微風の悪巧みの顔を崩すにはどうすれば…
「その七十五日はすなわち噂ですね、いわゆる人も噂も七十五日のところから取ったのかと思いますが…どうですか微風さん?」
あぁなるほどその七十五日か、てっきり僕は初物かと思って旬の食材でも紹介されるのかと思ったよ。
「いぐざくとりー!! 素晴らしいぞレイピア君よくぞ見破ってくれた」
微風は尊大な態度でもってレイピアを誉めているのに対し
「いえいえ、そんなことはないです。
私もまだまだなところがありますので、さっぱりなことも無いこともないんですよ?」
丁寧な対応をして猫を被るのが僕からするとなんとも奇妙なモノに見えるな…
「いいけど先に進むよ、こんなことを続けていたらあっという間に夜になっちゃうからね」
僕はレイピアと微風のやり取りを気にせずに潜った本殿を何となく振り替える…妙な事が続いてどうにも心にもやでもかかってしまったかの様に感じてしまう、
「それでこれはあくまで「噂」の域をでない話ではあるんだが、この街には風が突然吹いたら神様が怒っている証拠なのだと言われている…
風が吹いたら桶屋が儲かるではなくばちがあたるとは言わないしそれに加えて確たる話でもなくそれこそ風の噂なのだがな」
風の吹く町か…そんな眉唾物の話が残っているのはなんでだろう
「風が吹くのはばちがあたる警告みたいなものなのですか…なるほど面白そうですね!」
真に受けた女の子が若干名いらっしゃいますが今回僕が経験したこともきっとたまたまだろう…そう信じたい。
この社には噂がある。地元に住んでいれば耳にしない事はないはないそれは
「この地域にはもののけがおり、鎮守の森をねぐらにしている。」
となんとも古典的で漠然としたものではあるが実際この森を都市の再開発の一環で市が伐採や土地の地上げを試みた時には偶然や不運が重なって失敗に終わっているのだ。
「昔は景観が良くて保養地だったなんて話ですし…それも廃れ始めてから随分たちますと話には聞きますけどそんなことを懐かしみながらされても困りますし、私知らないので!!
…っと、一人で境内を掃除しながらそんなことを言っても仕方ないですよね…」
例大祭やらのお祭りをする機会もあるのですが最近は参加する方自体が少なくなってしまって…一応神社として登録はしているのですがこのままだと存立が危ぶまれるというのに…
「なんでまたうちの両親は私に丸投げして海外旅行とかし始めちゃうんですかね!!!
神主の仕事もほっぽりだして今頃地中海クルーズて、なんなんですかもぉぉぉ!」
と今にでもこの森に向けて叫びたい気分なのですが流石にそんなことはしません、
どうせ一人なので本音を言えば大声出したいですけどね。
「神様が本当にいるならこの状況を救って欲しいものなんですが、自分から行動しない限りは何かを変えることなんて出来ませんよね…?」
学校もそろそろ始まると言うのにこの社の行事に振り回されるのも困るしかといって…
少女が一人寂しく思案をしながら境内を箒で掃いている、話と格好から察するにこの神社の人のようだ。
「何となく隠れてしまったのだが…これどうなんだろうね?」
石鳥居から少しばかり歩いたところで広い場所に出たんだけどこんなところに誰かいるのは不審だということで微風の提案で隠れてみたところだよ。
「なんだか探偵とか密偵になった気分ですよね!!」
レイピアさん、それはやりすぎるとプライバシーの侵害になって捕まっちゃったりするから気を付けてね?
「いやはや…まさか神主さんというものがきちんといる神社だとは思わなかったな…てっきり廃寺かと…
まぁ、あの人の前で言ってみる勇気は流石に無いがな」
微風が隣で少し申し訳なさそうに言う、
確かにこの時間に人気の無い森と寺って言うのはもう人がいない場所だと思っても仕方ないと思うしそこで無いはずの人影が有ったら隠れるよね、分からないでもないよ。
「あの姿形から察するにこの神社の人の様ですね、マスターからの依頼はここに参拝することなのでしょうか?」
レイピアの推測は正しいのかどうか僕にはわからないけれど、マスターから渡されたお手製の地図の裏にもなんにも書かれていなかったしここまで来ればマスターには取り敢えず報告できるよね。
「え、涼くん帰るつもりなの?」
なんだいレイピア、その僕を非難するような目はそんな上目遣いをしたところで無駄だよ、この神社に来る目的は果たしたし帰ろうよ。
「北村くん、ここまで来てそれはないだろ…未知に無知なのは誰であっても同じ事だがこの神社に参拝して由縁位あの御仁に聞いても旋風の罰は当たるまい、むしろ良いことが下りてくるやもしれんぞ?」
賛成二票に反対一票で賛成多数か、微風もあの神主さんに突撃する方向は変わらないようなので渋々僕も付き合うことになった。
多数決って嫌いだけどね…
僕はあくまで傍観系主人公なのでやれやれとかオラオラとか言わないけれど一度だけ溜め息をついてからレイピアと微風が動き出す前に謎の神社関係者さんに向けて歩き出したのだった。
僕より少し小さな背中を目指して進んでいく、
「あの~すみません、僕達初めてここに来たのですがこの社の方ですか?」
肩に手を置かないまでも1メートル位近づいたところで僕は神社の方に声をかける…するとどうだろう、いつの間にやら僕の視線は木々の隙間から見える青い空に向いていた、あれ…何が起きたんだ?
「あっ…!? えっとすみません!!!」
僕の知らない女の子が上からのぞき込んできたと…うん?
微妙に状況が理解できないのだけれど…?
「涼くんになにしてんの!!」
草むらからレイピアの声がこちらに向かってきていているのが分かったので大丈夫だよと石畳にゆっくり下ろされながら言う、
別に体に痛みもなく何をされたのかと言えば目の前の女の子に投げられたのかと数秒してから気がついた、正確に言えば体勢を崩されただけだけどね、
「ごっ、ごめんなさい!
 ぼーっとしてて急に話しかけられたものでここに人が来るのってお酒に酔った人とかへ、変な人しかいないのでつっ、つい手が出てしまって!! 
本当に申し訳ないといいますか、もうっ…ごめんなさい!」
勢い良く謝られても…まぁ素直に謝ってくれるのは良いんだけど…あれ、僕そんな謝られるようなことされたっけ? 
「いやはや、きれいに宙を舞っていたな北村君…柔道かはたまた合気道の心得でもあるのかなーと思いつつよろしければお名前とか伺ってよろしいかな?」
ご立腹なレイピアを制して微風は僕の腕を捕まえている少女にファーストコンタクトを取った。
「あの、えっと…」
微風とレイピアを見てから僕のほうにお知り合いですかという視線を送ってきたので一先ず崩された体勢を戻して頷いた。
「私はこの熱川神宮の神主代行を努めております、来宮優花と申します。
私で数えて二十一代目となっていますがそもそもこの熱川神宮は…」
体を起こして来宮さんはどんな人なのだろうと観察してみると、なるほど確かに神主さんの赤と白のいわゆる「巫女服」を着ている。
お正月にみるとバイトの大学生の人がコスプレしている様に見えるけど来宮さんは確かにその感じは無く板についているような
あまり違和感がない、
黒い髪からもみあげを肩にかかるまで伸ばしていて誰かさんみたいに本来ならば活発な子が大人しくさせられている様な違和感というかギャップを感じるし
今こそおどおどしているけど普段なら自信ありげにキリッとしてかわいらし…これ以上は止めておこう、僕の価値観による感想よりも話を先に進めたい。
「あー、その話は追々聞かせてもらうとしてここは神社でまぁなにかしらを祀っているということでok?」「は、はいその様に思ってもらえればおーけーです、
ここが何を祀っているのかとかご興味があればお話しすることも出来るのですが…」
来宮さんの心配そうな目線がどこへ向かっているかというと怪しげに彼女を睨んでいるレイピアに他ならない、もしかして怒ってる?
「涼くん、私には未だに来宮さんと手を繋いでいる意味と意義をふかーく説明して欲しいのだけどー? 本当に意味はあるのかなー?」
レイピアのこの一言の後もドタバタする話はまだまだあるのだけれど来宮さんと僕で目を合わせてお互いに気まずい沈黙の後で慌てて手を離すというところで今回のところはおいとまさせて頂くとしよう。
「やれやれ、騒がしいのぅ…」
風の唸りにしてはまたはっきりとした声が森の何処からかしてきたのだけれど僕はあまり気に求めなかった、幻聴とか幻覚の類いは僕らの深層意識とかが言っているに過ぎないからである、
騒がしいのなんて今まではあまり良くも思えていなかったがこれからはもしかするとその意識も変わっていくのかもしれないと僕はそう思ったのだった。
人は中々性根は変わることはないかもしれないが環境次第でコロコロと順応して適応力を養うのが人であると人を信じない僕が僕は少しだけ信じていることである。
「待ち人来ず…か確かに昨日は俺が来なかったが…今度はあっちがうんとも寸とも言ってこないんだぜ☆」
本に囲まれながら少年が一人覚えられそうにない英単語に毒づくのである、
「やったらやり返されるの法則、「目には目を歯には歯を」そんなのハンムラビ法典で明らかにされてることでしょ?」
近くの本棚からもっとな声がして少年は項垂れるしかなかったのだが
「英単語覚えに図書館に来たんだから書くなり読むなりして覚えないと!ほら!」
急かされて急に何かが進むわけでもなし午後の時間を待ち人をしながら少年はのんびり急ぐのであった。
次回へ続くんだぜ☆
次回、消印と消し炭その3!
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