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僕のとなりは!?(僕とな!?)

峠のシェルパ

交錯と倒錯

僕が望んているように世界は当たり前だが回らない。

カミサマなんてものを信じる気には今のところまるで無い、

僕の隣には迷い猫だか迷い犬とかには当てはまらない不思議なものが心配そうな顔をしてそばにいる、
そして目の前にいるのは保健所のお兄さんでまたこの子を檻の中へ入れたがっているのならたとえそれが時間伸ばししか出来ない癖に大丈夫たと言うだけの偽善者が僕であってもこれは保護すべきだろう。

「それで? 正直なところここでこの場でそこな少女をこちらに引き渡す気は毛頭ないと?」

改めて聞くことでも無いだろうに、わざわざレイピアの前で格好を付ける機会が増えるだけなのだが彼の様に饒舌に語ってやる気も起きずにぐっと僕は応戦する構えを見せた。

この場の意思は言わないでもわかると思う、けれど不確定要素があるとすればこの乱闘の渦中に不本意にも巻き込まれているレイピアだろう、

「涼くん私の為なんかにあの人と殴り合ってるの?
それなら止めて、私を取り合わないで!とか冗談半分じゃなくて本気でよしてよ、
優しい君がこんな私でも受け入れてくれた貴方がその手をワタシの為に人に拳を向けないで」

それは違うよレイピア、僕は自己中心的な人間なんだから自分の為に決まっているじゃないか、僕の下らない意地のせいなんだから君は関係ないんだ、

「おーおー優しき傷の舐め合い…じゃなかった庇い合いだことよ
お涙ちょうだいだね~全く、「…へどが出る」」

目の前の男にもまた相手方の事情など関係ないのだろう、自分の動きたい様に着の身着のまま自由気ままに活動できる範囲内で好き勝手に動く、そんなところは何処と無く僕の横にいる少女を彷彿とさせ…

「いや、ないな」
少なくてもレイピアはあんな悪人面しないし、もうちょっと楽しいときの表情が純真無垢と言うか、もっとかわいい!!

「もしもーし、殴っちゃうぞー?」

一先ずは一度落ち着いてD51の方へ視線を向けてみよう、次に狙うとしたら何処を狙ってやろう、正直なところ気を抜いたら腹部の痛みが喉を通ってご近所迷惑になりかねない声を上げてしまいそうなのを堪えつつD51に対して策を練る。

「浅知恵なんだけど男の人って股が弱いらしいよ!」 

レイピア、小さい声で耳打ちするのは良いけどもそれは流石にやられた方もやった方もなんか居たたまれなくなるから禁止で
でもそのアイデア折角だから貰おう。

「いいのかいそんなに近づいちゃって反撃されたらモロに吾が輩の攻撃を受けることになるぞー?」

真正面から堂々とD51へ近づいて行く、なんか虎穴にでも突入するようなそんな気分だよ、そのなかには別に得たい虎児はいないのだけれど。

「中学校の頃の男子ってなんであんなににわかにプロレス技覚えるんだろうねぇ、しかもがたいのいい奴に限って…」

クラスの中で大人しいやつ程がまるで生贄のように愛想笑いやら「空気を読め」の言葉で縛られて羽交い締めにされたり殴られたりするんだ、俺達は見世物じゃないし慰み者でもないのだから抵抗する権利も有るはずなのに世間じゃ素行の良い奴が突然キレたとか言うんだ。

「下手に抵抗すると怖いけど、君位なら大丈夫かな!?」

D51にゆらりと近づいてできるだけ自分のこれからの動きを悟られぬ様静かに近づいてゆく、僕はD51の太ももに向って右膝を叩き落とす、これによって彼の足の血流は一瞬だけ詰まり足全体にしびれが伝わり数秒間だけでもD51を行動不能に出来る、後はレイピアを抱えるか手を引いてやればいい。
後はインターフォンの電源を落としてフィニッシュそれだけだ、卑怯とかそんな御託は一切受け付け無いよ、あの焼けてるんだか燃えてるんだか良くわからない右手の攻撃はもう一度も受けてはいけないってことは僕にも分かる、残念だけど楽しい? 喧嘩の時間は此処までとしよう、

「おっと、これは…これは?」

此処に来て思わず膝から崩れ落ちるD51なんて見ている余裕は全く持っていないので急いでじんと痛むお腹を庇いながらさっさと此処から退散することにしようこれ以上はもしかしなくても明日に響くからね。

「はいはい、そこで朝まで粘ってくれてもいいけど僕らはお先に寝ることにするよ!! good night!!」

逃げ足差し脚忍ぶ足…を通り越してレイピアを奪取してダッシュでスライディングして強制帰宅と洒落込もうかな!!
レイピアは僕の手に引かれて急いで付いてきてくれた、これならきっと大丈夫
僕らのドタバタコメディはまだ始まったばかりだって次のお話に移れるよ!!
そうだなぁ、次回の僕とな!? は喜劇 微風千の風になる、レイピア包丁のお勉強、涼くん夕涼みの三本です乞うご期待!!
ってのは流石に冗談だけど今回はちょっと早いけどこの辺にしておこうかな?
では皆さんご機嫌よう、おやすみなさいませ!!
僕は思い切りドアノブに手を掛けたところまでは覚えているそこから先は一時的に記憶が欠落しているので
ある、これはあまりにも大きなショックでも受けたのか真相は定かではないが…これで次回の僕とな!?は平和で甘えん坊なレイピアと僕が織り成す

「これでハッピーエンドだってって思ってたよねぇ、少し小賢しく強かな涼くんはD51に生じたスキを見逃しはせずにレイピアの家からの追手からレイピアを守り見事に寮室に帰還した、これを世に言わない小谷荘の大返しでーすめでたしめでたしーー!!
なんつってなるかよど阿呆、吾が輩はそう言うご都合主義な展開は大嫌いなんだ。」

覆いかぶさった影は次の瞬間には僕の背骨を折らん限りに肘を打ち付けてきて僕は勝利目前で慢心から満身創痍となってしまった。
痛いというよりもう既に腹部と後背部の痛みに耐えかね意識が白濁しかけている。

「涼くん!!?」

レイピアは今の今まで引かれた手が言葉もなく地面に落ちてゆくのを心配とか細かい感情を通り越して恐怖と驚きそして僕に向けていたというのをあとから聞いた。

「血反吐吐いて完膚なきまでに叩きのめされてからの一発逆転とかがいいんじゃねーか、え?」

僕のすることはよく裏目に出るとか親切心が重いとか小さい頃に言われたけど本当に僕の思いつきは碌な事にならないと改めてて思い知らされたのである。

「何で!? 私が居なかったからって何で涼くんがこんなになるまで殴られなきゃいかないのさ!!
貴方は私の家に恨みでもある人なの!?」

レイピアは今日一番の大声を金切り声にまでなりそうな声で上げた、そこには悲痛さが混じっている
D51とレイピアはあわせてはいけないと思い僕は行動したわけだがなんとも裏目になってしまったようである。
レイピアに早く逃げろと、D51よレイピアに近づくなと言いたいが
こんな時になってもレイピアの心配をする辺り僕は自分の心配をしない人なのだと思うけど駄目だね起き上がれないし声も殆ど出ない…

D51の話術は別に相手を支配するとかそんな高等なものでは無いけれど知らず知らずにD51の主張も一理あると思わらせられてしまうのだ。

レイピアは今日のぼくとD51の喧嘩のような何かを知ってほしくはなかったのだけれどこればかりはもうどうにもなるまい…

レイピアは僕が仕掛けたのではなく、自分のせいで小谷荘の僕の部屋に自分が此処にいるからD51が僕を殴るのだと思っているようだがそれはちょっと違う、と思う
僕はレイピアの話を聞いてこの子の親は酷いやつだと思った、自分のもとに縛り付けるタイプのそういう揶奴はそのくせ中身は殆ど育てずに放置する、均等に均等にと育てるこの国は成人した途端に今までの積み立てたものだとか個性を一瞬だけ見せろといいその後はまたロボットのような人生が待っている
この子にとってはもしかしたらそっちのほうが楽なのかもしれないが折角その外側に気がついたのだから少しくらいは遊んだほうがいいじゃないか、子供にだって意志があって親が敷いたレール通りに進む必要なんて何処にもないのだから、そう僕は思っているからレイピアを保護と言うかレイピアの隣に居てみたいとすこしだけ思ったのだ。


「涼くんがこんなにまでして何をしたかったかは分かんないけどさ、こんなの誰も得をしないよ?
涼くんも、貴方も、こんなの見てて痛々しいよ…」

声を詰まらせながらレイピアはD51を毅然として睨んでいるのだと勝手に地面に這いつくばりながら思う
だからこそ僕は今この時に立ち上がらなくてはいけないのだと直感的にそう思った。
よろめきながら、レイピアが慌てて支えてくれなければまたもや無様な姿を晒してしまうところだったが何とか僕は言葉を紡ぐ

「D51、さっきのは効いたよ僕はもう虫の息で完全に敗北したと言ってもいい、それにレイピアを隠し通してD51とは合わせないのを目的に勝負をしていたのにある意味で台無しだよね。」

レイピアが勝手に出てきたことについてはとやかくいうつもりはないけどとにかくD51との契約はきちんと果たした、後は彼がどう出るかだ。

「ふーん、まぁそれなら話が早くて助かるんだけれど…」
D51はレイピアに近づくと何を思ったかレイピアの頬を思い切り叩いて僕ごと突き飛ばしたではないか!?

「うぜぇ、何だお前ら会ってまだ間もないにしたって相手のことかばい過ぎかよ、見返り求めすぎ人間かよ見てて痛々しいのはこっちだわまったく、どうしたらそんなことなんのか知りたいわまったく…」

良くもまぁそんな事を言うよね…
こんな簡単に諦める様になったのは何時からだろう、
レイピアだって僕だってもう少し子供でもいいんじゃないか、

「見返りなんて求めて僕はこの子を受け入れたわけじゃない、少しでも僕の高校生活が華やぐ事を期待したんだ。
理由が無くちゃ人は救えないのかい、人はそんなものじゃないはずだよ、困った人を見過ごせないこれで十分じゃないか」

僕はよろよろとレイピアとD51の間に立ち上がってD51の前に立ちふさがった。
D51は僕の事をめんどくさそうに睨み付ける
「D51、君は今余裕の表情を崩したね、どうしたんだい?
自分が理解できないものって言うのは怖いだろ? 嫌だろ?」

D51が僕に向けて拳を向けようと今は僕の手番なのだから手出しは出来ない、彼がどれだけ脅しをかけようともちっとも怖く…いや怖いな

「君にはどうしようもないよ僕とレイピアの関係は僕らだけのものだ君がどれだけ気持ち悪いとか異常だとか言ったところで君に被害とかそんなものはいかないし…だからさ少しはそのなんだ…黙れ」

とまで思い切り言ってしまうとD51の面子は丸つぶれにされて敢えなくD51は退散しましたーなんてなるわけないか

そーだーそーだー言ってやれー涼くーん!!
とレイピアが火に油を注ぐからD51が思い切り地面をダンッと踏みつけると床のタイルの一部の模様が溶けて消えているのを見るとどうやら本気で起こらせてしまった様である。 

「いい度胸だ覚悟は出来てんだろうな…?」 
これもしかして僕ら怪我だけですまないんじゃ…
「それだとしても僕は君があきらめるまで戦わなくちゃならないんだろ?」
怖いこと無いわけないけども僕は日常を変えないために…正直なところレイピアがいない方が平和だとは思うんだけどD51が単純に気に入らないからこんなことになってるんだよね…

「こっから先はとばしてくよ!!」

僕はD51に無謀にも突っ込んでいくが彼はその場からほとんど動かずに僕に対して冷静に、そして冷淡に反撃を加えて行くのをレイピアは不安そうに見ていた。
これが終わったらきっとこっぴどく怒られるのだろうとふと頭のなかに考えがよぎるがこの場からD51が逃げ帰ったり諦めたりする事はあまりにも可能性として考えられずに僕が再び地面に膝を付くのにはそんなに時間はいらなかったがとても気の遠くなる時間のように僕は感じられた。

「もうさっきから十発は殴ったんだが…そんなにへこたれないのは何でかねぇ…」

君には僕の生き方なんて理解できないだろう、当たり前さ赤の他人を理解するのって凄い時間がいるんだ、僕は残念ながら頑固な人でね…
物理的にどこかしらへこんだり折れたりしない限りとか
君が本気で僕を殺そうとしない限りは立ってやろうと思うよ。
と言うか早くしないとガス代もったいないんだけど!!

「なんで意識はっきりしてんだよ、もう一発あれで殴られて失神させるしかないか~」

筋力を増強するとかなんとか言ってたっけ?
D51の手のひらには蝋燭のとは比べ物にならないほど荒々しい赤い炎がそこにあって、幾らあれがD51が起こした現象であったとしても
人の手が焼けてるのに痛くも無いとか思ってしまう。

「なんだ、レイピア嬢そこまで驚かないのかぃ?
普通ならこれびびるんだけどな?」

何せレイピアは君みたいな異能持ちだからね、しかも君と同系統とは思えないけど炎の異能持ちだから特に驚きもしないんだろう、「異能」とは人ならざる力でありそれを行使するのは昔は異端者とか言われて秘匿する対象となっていたという、今ではどうかと聞かれたら…
それはまぁ、程度にもよるけれど大体の人が脳のリミッターを外して人外の力を使う異能か古くから形態化され伝承された魔術を持っている…とは聞くけれど一般にそれは秘匿するのが未だに美徳とされている、だからD51みたいなのは異端者のなかでも異質と言える。
この世界は秘匿する文化が多く、自らが知らないうちにそんな力を持っていたりするんだけど僕には関係のない実に些細なことである。

「君は…つまり何にもないのか」
つまらなそうに僕に吐くように言う、
それは僕にとっては禁句になるのだがそれを言ってしまうのかD51
全く君の無神経さには本当に腹が立って来るのだけれど僕にはそれを見返してやる術は残っていないだろう、

これは一矢報いる事もならないじぶんに対しての怒りなのかそれとも身体が限界を迎えたのか何だかカイロでも全身に張られたかのように身体がポカポカしてきた…
視界が少しだけ歪み蜃気楼とか陽炎でも目の前にあるかの様にぼんやりと目の前に居るD51の輪郭がぼんやりとして見えるのは一体どうしたことなのだろうか

「おーい、もしもーし…あらあら?
涼くんやーい、これはこれは…もしかして気絶とかしちゃった感じですかにゃー?かにゃー?」

挑発を重ねてくるD51にイラッときたが僕はこの不思議な間隔を味わっているのでそれどころでは無いからちょっと放っておいてほしい、まだ意識ははっきりしているので僕は決して彼には屈していない

「立ちながら気絶って何? 鎌倉時代のとある僧兵かなんかかよ…いや~でもお宅の保護者さん根性あったね~」

弁慶の立ち往生か、でも僕まだ死んでないしそこまで言うことは無いんじゃないかな?

「涼くんがあんなになるまでして何で喧嘩してたのか良く分かんないよ、ねぇ…なんで?」
レイピア…
あれ?心配して駆け寄ってくれるとかそういうのは無いの?
僕は廊下の天井を見上げながら非業の最後とか迎えてないから、僕まだ生きてっからね!?

「残念だが吾が輩は秘密主義でね君には教える義務はないし聞きたければ吾が輩の口から直接力付くで聞き出してみるかぃ?」

レイピアがそんな二束三文な挑発に乗って喧嘩を買うとは思えないけど僕まだ身体を動かせないのでうんともすんとも言えないのである。
D51は確かレイピアに対しての対抗策を握ってるって言っていたしここで文字通り火花散らす戦いとか起きたらもう救い様が無い。
嫌だよ、新生活始まって僅か10時間足らずで住んでたはずの寮が焼け落ちてしまうだなんて流石にjokeにもなりはしないからね、

「それは確かに興味あるけどこれは涼くんの喧嘩だから私は口出しできないよ、そんなことをするほど私は彼を信頼していないなんて事無いし、信用していないけど」

それはおんなじ様な意味なんだけど結局のところ僕はレイピアに信用されていないってことでいいのかな? まあ、無理ないけどさ
当然と言えば当たり前で普通だ、

「あーらら、そりゃまた残念なこって~だがしか~し吾が輩には秘密兵器があるのだ、悪いけどこれ仕事だからね承ったからにはやり遂げないといけないのさ…」
D51…まさか電話口の人からもらったって言う秘密兵器…ってレイピアが苦手とするものとか出して言うこと聞かせる気なんだな!?
それはいい加減に冗談だけれど呪いとかそんな代物が実際に存在してしまう世の中だ、D51が何をしてくるか分かった物ではない。

「あー、呪いとかその類いなら私には効果無いからその右手に巻き付いたやつは早めにどっかにやってしまうことをおすすめするよ、しかも失敗すると使った人に跳ね返る悪質なの」

D51の右手には確かレイピアに対抗策として縛りを効かせるものがあると彼は話していたはずだが…

「これを使う事になったら人を呪わば穴二つって事を吾が輩は
してたってのかい…やれやれこりゃあ一杯食わされたか…」

ボサボサの頭を悔しそうにかくのを僕は辛うじて見ることができたが依然として身体は金縛りでもなったかのようにピクリとも動かせない、D51はレイピアの言うことを何故か真に受けているのが僕には少し以外だった。
彼は猜疑心を人にしたかのようであり、素直にヒトの言うことを聞くとは思えないけど…

「君の言うことを信じれば…ね」
小さくねずみの鳴くような小さな声でD51がこう言ったのを僕は聞き逃さなかった。

「涼くんもいつまでもそんなオブジェみたいに立っていないで私も鬼じゃないけど中途半端は嫌いなんだよ!」
背中を勢い良く叩かれたと思うと僕は前のめりに身体が動き始めた…動き始めたではないか

「ちょ…!?」
驚いてるのはレイピア以外男性陣である僕とD51の両方だ、
「まったくぅ、涼くんたら寝ぼけてないでちゃっちゃと用事終わらせてね!!」
何か裏がありそうには思えない屈託の無いいい笑顔をレイピアからもらった涼くんは元気100倍!!
D51なんてお茶の子さいさいにやっつけちゃうからね~覚悟しろ!
なんて甘いマスクて甘言を振り撒くヒーローなんかには僕はなれそうには無い、それは何故かと聞かれたら

「まぁ…それも、これも…何でもない。」
だなんて小言と文句を吐く辺り小者な気がして仕方ないからである。
余計な考えは頭の片隅に置いておいて… 

「ん? どうした、そんなに殴られ足りないならもっと重いやつをくれてやろうか…あ?」
ここに来てまで怒気を込めた顔をするD51に今さら尻込みなんてするわけが無い、今さらそんなことをしたって怖じ気づいたって意味がないからだ。
身体を縛っていた痺れに似た感覚は遠ざかり、感情の高まりだろうか頭に血が上っているが妙に冷静で意地悪でもレイピアにふとしてしまう様な変な気分だ。 
「よっし、D51の真似でもしてみようかな?」

僕が廊下の端まで吹っ飛ばされた時D51はどう動いていたっけ?
彼は炎に似たもので筋力を瞬間的に上げたりが出来る様だけど僕にはそんなこと出来る訳がない、僕はただの普通の人だもの、突如として湧き上がった

「確か握ってた手に力を込めて…」
ゆっくりとしかしそこにははっきりと何か大事な意志があって彼の原動力とかなんだろうかと考えながら力強く手を開いてゆくと…
あれ? どうしたことなのだろうかそこに日だまりでもできたかの様に手のひらが暖かくなって…なんで僕の手には…小さな火花が飛んでいるんだ?

「吾が輩の真似事をしたからって君が強くなるわけないだろう、君は君以外居ないのだから他人にはなれないし目指すことに意味は無いよ」

D51の真似する気なんて無いさ、人は誰かの背中を追いかけていつのまにか自分史しか居ない場所に立ってたりするもんなんだって僕は思うけどな、やっぱり君とは分かり合えなそうだよD51!
「君が僕には勝てないよ、君の主張も意志もまるで僕には理解出来ないんだから」

変に熱い左手は放っておいて僕は右手の大振りをわざと直撃から反らせて自分から体勢を崩しよろめき、相手の油断を誘う。

「あーらあら、もうフラッフラッじゃないのさ、ほーれあんよはじょーず、あんよはじょーず」

本当にこいつは人を怒らせるのが上手いよね、そんなところが…
「そーいうところがはらたつんだよこのジャージマンがよぉぉ!」
左手は沿えるだけ、崩れた体勢を起こしながらD51のかがくつまりは下顎有り体に言うのであればしたあごを確実に当てていく、
叫ぶことばは別にいらない、レイピアに格好をつけようとか思っている訳でもないし

D51が下から突き上げられて吹き飛ぶだけでは済まされず加えて小さな爆発まで起こった時にはもうびっくりしたよね、何が起きたのか分かんなくて思考停止する感じを普段あんまり久しぶりに訳が分からなくなったよ、僕はほら普通の人だからさ…ドウシテコウナッタンダロウ… 

「涼くんどうしたの!? あのジ、ジャージマン?に恨みでもあるの!?」
恨みより鬱憤しか貯まってないんだけどね?
まさかそれが爆発まで引き起こす位あいつに腹が立っていたとは…
僕にも何が何やらさっぱりなんだけどさ

「っ痛…何だってんだよお前、何だってんだよお前…!!」
起き上がったD51は思い切り僕に迫って廊下の天井を焦がしてしまう勢いで硬く拳を握り締めるとこちらをまたその嬉々として楽しそうに睨んでくるのである。正直怖い、なんで笑ってんだよこんな状況で…

「無能力の一般人ですーみたいな面をしてよ、人を騙すってのは楽しいかい?
無知な奴を文字通り掌の上で踊らせるってのはよ、まぁそんなことを言っても仕方ないんだけどよあぁ?」
言葉の一語一句も僕を畏敬させるものは何にもなくてこんなにD51って普通の人に見えたっけ?
それはともかく、そのまま巻き上がる怒りからなのか分からないけど紅くはっきりと命が危ないと感じるほどの筋力上昇から繰り出される拳を受ける…なんてのは話にならないしヤバそうなことは詳しいことが分からないけど分かるよ

「ほら、いい加減これ見て諦めてそっちの娘渡せや、それとも会って数時間の義理守るために高校生活の半分くらい棒に振るか?」
高校生活始まってすらいないのにも関わらず半分くらい治療に専念するってどんな怪我するんだよ、そんな脅し文句が僕に通じるわけ無いだろ

「涼くん…死んだら骨と部屋は貰っておくからね(*´・ω-)b」

そんなのはyellじゃないからね、あんまり洒落にならないんだけども起こり得ないからこそ冗談みたいな事を言ってくるんだろう。

「ありがとう、でもそんなに心配することないよ
僕はこの人に負ける気なんて全然ないんだからさ!」

このD51との騒動をレイピアのせいなどと言うつもりなんて僕には後にも先にも無く君がもし僕にたいして想像もしていないような秘密を持っていたとしても僕らはなんか似た者同士だと思うから、昼間に驚かしあったり食事も一緒にとったの実はレイピアはは寂しがり屋だって思ったからで…

「今の涼くんなら多分大丈夫だよ! だって私が隣にいるんだもん!」
後ろに彼女がいて守ってとか任せてとか白馬の王子様みたいなことは僕には出来る訳がないけど目の前のジャージマンをなんとかする位は必死になれば出来ると思う、きっとこんなの自惚れだろうけどD51を本気にさせるくらいの何かを僕は今、幸運にも左手に対抗するべき力を持っている。

「本当にどうなっても文句を言うなよ…!!」
D51から焼ける様な熱さを感じながら自分の体に熱みたいな得体の知れない奇妙な感覚が体を覆うだけで僕はレイピアを咄嗟に寮室のドアに隠れさせるとそのままD51の業火に飲まれるのであった…。

「…流石に吹っ飛ばされて廊下の端にでもぶつかったかねぇ…
この能力は視界が悪くなんのが弱点なんだよなぁ、嬢ちゃんは咄嗟に隠す余裕があったってのか…こりゃ本命捕まえる方が難しいんじゃね?」

 D51の与えられた仕事の範囲内では北村涼の事は全く記載も無ければ予想もされていなかった、その理由は依頼者がレイピアと呼ばれる少女の気さくさを予想しておらず逃亡に協力する者を考慮していなかったのである。
彼は別に学校内に授業の肩代わりできるボランティア活動として迷子の捜索として受けただけでまさか迷子か人間とは微塵も思っていなかった。
彼は炎と言っていたが筋力を上げているのは炎と共に上がる蒸気だったりする、実名でなくそんな名前を言った、
弱いのに立ち上がるのはまだ構わないが彼が嫌に思ったのは目の前の少年の達観した様な、未熟だと感じる、昔の自分を見るようで許容出来なかった。

「蒸気貯めるのはいいんだがまぁ…全然見えないよねー」
炎を巻き上げて涼まで迫ったD51はそこから蒸気を出しながら筋力に強化をかけた、骨のある同級生に会えたのは良かったがこれでは…

「…ちょっと待てお前…なんで…
なんで立ってんだよ…それ笑うしかねーよ」 
蒸気の白煙の中でD51は感じるわけ無い感覚に焦りと苛立ちを覚えていた、何故かと言えばさっきまで敵対視して殴り、殴られていた相手の顔に向けて放ったはずの腕に他の手に捕まれた感覚があっからだ、自分と似た男のゴツゴツとした感触…

自分の能力には自信があったのだがそれがまさか…

 「そうだね、取り敢えず僕が一番驚いてるんだけど止められるかなんて自信がなかったよ」  
不発なんて事はない、涼くんとか言少年がなにも持っていないと思っていたから多少なりとも加減をかけたのだが…

一応、さっき起こったことを話すと
D51が右半身を捻りながら腕を焔を煌々と上げて地面を蹴っ飛ばして一気に近づいてきた、右手が僕の頬を捉えてそれこそ廊下の端を突き破って投げ出されてしまうかもしれないけど…
今の僕にはD51の動きを捉えてしまうだけの余裕が出てきている、走馬灯では…ないよな、
あれは確か過去の記憶が流れてきたりするんだからまだそれには早いし、動きがゆっくりに見えるって言うよりD51の考えが漠然と分かるんだ、怖い感覚だけど…
いや待て、ここで僕が死んだら物語はどうなるんだ、そんな事が起こる事は多分ない、昼間にレイピアが不思議な光景を見せてくれたし、大方僕の背中を押したときに時に何かを吹き込んだのかもしれない。 

「とにかく僕は無事だからレイピア、安心してね。
目の前のをぶっ飛ばしてやるから…」

頭の中でこれはレイピアのお陰だと一先ず断定して冷や汗と悟りが混ざった不思議な顔をしたD51へ近づいてゆく、
勢い良く助走をして空を切った拳から小さな爆発まで起こる始末でD51が上手く受け身を取りながら倒れ込んだ。

「こりゃぁ驚いた、まさか君は吾が輩の能力を真似したのか…?」
そんな事出来る訳がないでしょ、今までそんなことは全く出来なかったんだから。
「そーだな…ならば被害者第一号としてその力に仮の名前をつけてあげよう…!」
「そんなのいらないからレイピアの事を諦めて退散してくれ」
さっきの攻撃を受けきったとは言ったってそろそろ頑張って保ってきた気力が切れそうなんだ、早くしてくれ

「よし、解体接収(takeover)でどうだい?
今の君に鏡で見せてやりたいぜ、寒空の中で全力疾走した後みたく湯気が上がってんぜ?」

なんだよそれ、僕は君とは違うんだ、そんなの出鱈目に決まっている、僕は君みたい人とは違うんだ…ぜったい…こんなのは嘘だ。
う頭で否定的な文字列を並べて行くが起きた事実は変わる訳もない、人生は後戻りの出来ない旅であって、懐古はいくらできてもやり直す時は無く一本道の迷路を進むようである。

「なら吾が輩を殴ってやるといい、それで分かるさ」
僕は試しにD51の頭上めがけて拳を振るうと確かに沸騰したやかんから発する蒸気の様な白いものが自分の掌から出てきたではないか!?

「はぁー、ヤル気抜けたわ~丁度準備してきた分の力は使い切った感触あるし、でもでも単位数以上に発見があったしいいか~」

僕が自分の体から発する蒸気を払おうと腕をブンブンと振り回すのをニシシと歯を見せて笑いながらD51はズボンのポケットから携帯を取り出す、
「まさかまた依頼者とかに話すとかじゃないよね!?」
僕がそれを阻止しようとD51の携帯を取り上げようとするのを左手で器用に払い除ける「私用だ、気にすんな」と取り合ってもらえないが…

「何々!? なんかすっごいこと起きなかった!?」
レイピアがドアの影から顔を出し僕の無事を確認して嬉しそうに微笑むのを君のお陰だよ、と言ってあげようかと思ったけれど
D51のおーい、二人の世界に入り込むなやと言われて我に帰る

「あー、もう湿気たし吾が輩はこの仕事を放棄する。
馬鹿ち付ける薬は無いとか言うけど互いに思うことがあるならゆっくりと理解していきゃ良いや、価値観の押し付けをした吾が輩の落ち度かもなーほな、帰るわ」

二度と来るなー!このジャージマン!
とのレイピアの野次にも「うっせー、家出少女さっさと家との折り合いつけろや」と言ってそれを捩じ伏せた。
それは確かに正論だけども…言っちやダメなやつ

「貴方は結局何がしたかったんですか?」
僕が去り際にD51に問い掛けると背中を向けたD51が少しだけ振り替えって、
「さぁな、吾が輩は気分屋ってかやりたいことがころころ変わっちまうんだ、移り気があるって言えば聞こえがいいがイカれてるとも自分で思うぜ?
でもよその軸っていうのね、そーいうのはきちんとしたのをもってるつもりだぜ?」 

「それは…?」聞くつもりの無い言葉だったが疑問は直ぐに口からでた、
D51はそのままレイピアの方へ向かって行くと警戒する彼女は猫のようにふーっと威嚇するのを無視して僕らの右隣の部屋のドアノブに手を掛けた
「うーん、そーだなー俺のルールかな?
あ、それと因み隣の部屋吾が輩だから、よろしくーよ?」
今日一番衝撃的だったのはレイピアに、会ったことだけど多分二番目はボロボロになって殴り合った喧嘩の相手が同級生でしかも隣の部屋に居たことだと思う、呆気に取られる僕らを皮肉にも少し驚く僕らの表情さえも楽しみながらD51は隣の部屋のなかに消えていったのだった…。

次回、今回の後日談かもしれない。

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