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僕のとなりは!?(僕とな!?)

峠のシェルパ

マスターその三!!

そんなわけでこんなわけでわけも分からずコーヒークイズを始めた僕とレイピアだったが僕の出した問に対する回答は情報を既知であろうマスターに求めることにした。
彼の行動はゆったりしているというべきか、一つ一つの所作が丁寧なので此方の気分までゆったりとさせられてしまうのだ。
「そう…ですね、先ずは涼さん頼まれていたお品物が出来ますので先にお渡ししておきます。」
カタッと小さな音を立てて美味しそうな小麦色というのか茶色の液体がいつの間にか出来ていた。
「まだまだ気温も低いですし、このお店は床暖房システム等はなく奥に達磨ストーブがたまに稼働するくらいで基本的に省エネ促進中なのであったか~い方で作っておきました。」
湯気が確認できるほどに結構アツアツなんだな~と思いつつ始めの一口でも飲んでかないと…
     「「じーーー。」」
レイピアさんとマスターの視線が痛いので一先ずはこのカフェオレがやけどしない程度にはなっていると思いつつ一口飲んでみる…
暖かさとともに広がったのはすっきりした苦味と少し濃いめのミルク、レイピアとマスターが僕の感想を今か今かと待っているので急いで一口飲んでみたら砂糖を入れるのを忘れていることに気付いたけれど僕としての感想は砂糖はあまりいれない方が味が楽しめるんじゃないかと思うくらいにしつこくない。

「あ、美味しい…」と半分無意識に呟きカウンター越しにマスターの顔を見ると満足そうにそうですか、と微笑みかけてきたマスターの反応にほっとした、
失礼な事を言わずに率直な反応を見た方が分かりやすいからね。

レイピアは「うんうん! そうでしょ!そうでしょ!?」
と言ってマスター以上に嬉しそうにしているのを見てどきっとしたのは気のせいなんかではなかった。
「カフェオレ美味しいですよマスター、あんまり上手い感想は言えませんけど、ひとの作るものって人柄がでるんですね、深く優しい味がします。」
いわゆるお世辞なんてとんでもない、確かにこのカフェオレは並みの市販品では出せない美味しさを出している、個人店ならではの味と深み…
なんて僕はコーヒーマイスターでもバリスタでも無いので並みの感想しか言えないけれどね。

「素直な感想をありがとうございます、美味しかったのであれば幸いです。」
頭を下げるほどの事ではないと思うのだけれどマスターはこーいう人なのですかと聞かれれば僕は首を縦に振るだろう。
マスターは礼儀正しく礼節を重んじる人だと感じるのはこの短時間であってもはっきりした。
「さて、涼くんが行ったコーヒークイズの第二問題の答えについてそろそろ発表をしたいと思います、
先ずは始めに涼くんの発問が正しくない場合はレイピアさんの不戦勝となります、例えば選択肢の中に正答が入っていない場合が言えますね、ですか今回はそれは起こりませんでした、
前回、涼くんがあげたものの中にはきちんとした答えが入っています。
しかし、難点が一つありまして…私の知るところと涼くんの知るところがデータとして前後して変わってしまうことが有るのでは…などと考えてしまうと少し面倒ですがそこは気にしません、あくまで私としての答えを言うまでですから…
それでは行きますよ…正解は……!?!」.     
若干一名が固唾をのんで見守るなかでマスターは冷静に答える

「正解は!?」
「……正解は…アメリカ以外の何処か!と初めに選択肢の一つ目を不正解とさせていただきましょう、
因みにですがコーヒーベルトと言われるものが赤道を中心とした緯度経度に存在しています
そこがコーヒの生産地の中心となっているためアメリカは生産はされてはいるのでしょうがあまりものは見たことはないですね。」
やっぱりアメリカはなんでもあるイメージがあるけどもそんなこと無いのか…
とふと思う僕は心臓に悪い思いをしているであろうレイピアへ視線を移すとふぅと安堵の声が漏れていた。
そこに対して付け入らないほど僕は甘くない。
と言うより単純に僕が意地悪なだけだよ多分
「随分とまた気が気でなかった様だったけどコーヒー従者のレイピア様ともあろうお方が問のふたつ目にまさか自らが出した答えに不安を感じるとかまさか…」
「そんなことないよ~、残念だったね涼くん!!
私はそんな簡単に決めたことは変えられない性分なのさ! にししぃ!!」
なんてあざとい返事をとレイピアから貰ってしまって質問したほうが恥ずかしくなってしまったりならなかったり…
「ええと次に行かせてもらってもいいですか?
話を先に進めませんといけませんので、」
とマスターに釘を差されたので僕もレイピアも黙ってマスターの話に集中する。
「ヒントを申しておきますと少なくとチョコレートの生産地として有名な国は残念ながら生産量一位ではありません。」
となると消える選択肢が出てくるけど僕もレイピアもその選択肢は分かっている
アフリカの東海岸象牙海岸だとか奴隷海岸とかそっちの方にある国だったはずだ
「主な産出物は金にダイヤモンド、現在はイギリス連邦に属していますね…」
ビンゴ! 知ってたけどマスターが緊張感をかなり持たせた言い方をするので心臓に悪い
「ガーナは違うのか~でも私が選択した答えとは違うから全然焦ってなんか無いもんね~?」
とはいったもののレイピアも答えに確固たる自信は持っていない…なら2分の1の確率で不正解に…
「ではでは次に行くとしましょう、残った答えはブラジルと…コロンビアですね、
此処で豆知識を伝授しましょう。
南米大陸の一部地域を除いて各国の公用語はスペイン語であることが多いですがしかし、ブラジルは何故かポルトガル語を公用語を使用しています、原住民族と言ってはあまり良い評価は得られませんがその人達の言語よりも圧倒的に優位に立っています、これは15世紀から18世紀にかけてポルトガルに植民地支配を受けてきたからなんですよ、まぁこれはコロンビアにも当てはまることなんですが…」
さてさて、結果が気になるのでいよいよ最後の審判です!
「それでは発表をしたいと思います、正解はですね…」
レイピアと僕に少しだけ緊張が走る
果たしてマスターが出す答えとは!
不安そうな顔をしなくてもまだ今回は続くから安心してね?

「ふぅ…」
マスターが小さく息を吐いて答えの説明に
「某司会者が司会をしていたクイズ番組がありまして、有る問題に回答者が答えたんですよ…この問題において優勝者が自身に確定する瞬間彼はカメラにズームされいわゆるドヤ顔でガッツポーズをしたんです…
今からレイピアさんがそれをしますよー? せーの」「「コロンビア!!」」
僕が目にした今までの光景の中でこれは上位にノミネートされるであろうシュールな絵面だったことは間違いない、この後にも先にもマスターの思わず笑ってしまうシーンはこれが唯一になろうとは僕はまだ知らなかった。
案外にこの人のりがいいのかもしれない、レイピアも見よう見まねで真似していることもポイント高いよね!!
「というわけで答えは②のコロンビアで」「で?」
「ではなく本当の答えはブラジルでした残念!?」「え!?それ本当なの!?」
「本当ですよ? 日本で有名な銘柄とかはコロンビアも見られますが世界的な生産量ならブラジルが圧倒的優位に立っているんですよ(実際の話です)
因みにコロンビアは第二位というわけではなく生産量は第四位、第三位と第二位はアジアの国のようです。」
さすがにカフェのマスターだけは有るなとも思いつつ答えの予想がついていた僕にとっては胸を撫で下ろす結果となった。
一瞬ヒヤヒヤさせられたけれど何とかなったぁ…
「勉強になったけど! 問題が意地悪だったんじゃないのかなって思うよ!?審判長、再審を要求したいです!」
なんて不服申し立てはしたものの「確かに明確には教えていませんがコロンビアではないことは言っておいたはずですが?」「うぐぅ?!」「コーヒーも最近では高級志向が流行っているので等級が高いもの…等級とは鉄道の略称ではなくコーヒーの位であって良質なものがコロンビアは等級が高いものが多く取れる良い地域ですから日本の輸入量は多いと言っていたはずなんですが…まだまだ勉強がたりませんね、この時を持ってコーヒー従者からコーヒー見習いに格下げ致します、と言うよりそもそもコーヒー従者ってなんです?」
それを言っちゃぁおしまいな気がするけれど一先ずは今回のお話としては僕がコーヒー従者から一本取ったということでお開きに…しないよ!
僕は、まだ目的を果たしてはしてはいないんだからね、前回というか前のお話のレイピアが見せたあの姿
ぼおっとした暗闇の中で彼女が見せたのはほんの一瞬で言うなれば朝焼けの前の静かな空を切り取ってレイピアに着させたみたいな…我ながら語彙力のない表現で申し訳ないのだけれどそんな姿に僕の目には写った。
…狐火って確か蒼い炎だったと思うけれどあれとはもっと違う感じがする(僕自身狐火なんて見たことはないんだけれど)
妖しく浮かぶのではなくそれとは比較にならない程に綺麗で儚げに見えたのは気のせいなのだろうか
あの姿は僕の疲れによる錯覚なのかそれとも? どちらにしても僕には疑問があるのでレイピアに確かめなくてはならない、そこで喧嘩腰でクイズをふっかけあの事件の真意を聞こうと言うのだ、我ながらなんとも大掛かり? なことをしたものだ(回りくどいとか言わないでもらいたい、そのとおりだから)
「さてさて、不運にもここでレイピアの冒険は潰えそうになってるわけだけど僕とクイズの前にした約束をまさか忘れているわけじゃあ無いよね?」
言い方が悪いのは分かっているけれどこうでもしないと多分この子の場合話してくれないんだろうなぁ…多分
「な、何のことかなぁ?」
とぼけて来るとは…
「いやいや、確かにレイピアは約束を僕としたはずだよ、きっと思い出せるから頑張って思い出してみて?」
小さな子に言って聴かせるかのようにゆっくりと言ってみると
「そんなこと言われなくたって覚えてますよ~! 」
レイピアは背もたれもない丸椅子の上で動くものだから見ていて危なっかしいよまったく…
周囲には雑談する学生に老人ばかりで余り此方に意識は向いていないらしい、レイピアがかなりリアクションを大きくするので大丈夫かと思ったが案外とこちらを微笑ましそうにするお爺さん位であまり気にしてしない様子、その親指を上げて「がんばれよ少年」!とか「いいなぁ、青春だなぁ」と言った風なしみじみとした顔はしないでもらいたい、僕がむず痒くなるからね?
少しすねたふうにと反論されたので「なら言いたいことは分かるよね?」とでも言うかのように笑ってみせた。
なんとも意地の悪い話だなんて思うけれどこんなところにしか頭が働かないので仕方ない、
自分優位にしようとは考えることはできるけど相手を手玉に取る形になってしまうのであまり良い評価を自分の中ではしていないのである。
「どうやら一杯食わされたようですねレイピアさん、彼に何か隠し事なりをしているのなら早い内に言ってみることです、些細なことが原因で不仲になってしまってはこの先大変でしょうからね」
マスターもいい時にパスをくれるのですごく助かるよ!!
「ええと、一つだけ聞いてみたいことがあるんだけど…あ、これ真剣な話ね?」
最初に僕が言いたいことが重要であるってことを前もって置く、
「うん? まさかとは思うけど私の…」「私の?」
何だろう、僕は細かいことを神経質になってとやかく言う質ではないし
「私の資産額とかは教えないからね!!」
予想の斜め上を行く応答だったので飲みかけのカフェオレを少し吹き出しそうになったのは恐らくマスターにはお見通しなのだろうな…
「大丈夫だって僕みたいな普通の高校生にとっては資産とか預金残高とか投資信託なんて高校生にとっては眼中にないものだから!!
それにね僕が質問したいのはそんなんことじゃなくて君自身の事なんだ。」
僕はカフェオレの甘くて優しい苦さから口を離してレイピアと向かい合う、
僕の思い違いであって欲しいのだけど…思い切って聞いてみるとする
「レイピア、もしも僕の言ったことが長時間の移動の疲れで一時的にどうにかなっちゃってて見間違いだったとしたら「涼くん疲れてるんだから早く休んだほうがいいよ!」なんて笑ってくれればいい、
レイピアさっきの電車の高架下でさ…」
でも変な格好をしてたって言えばいいのだろうか、それとも燃えてた?
うーんどうにも相応しい表現が見当たらないなぁ
「さっきのの格好は一体何だったのかって言いたいんでしょ?」「え?」「いいのいいのそのことを話したいからここまで来たのだ!
おやつを食べに来たっていうのははあくまで建前上の話でね?」
そう言いながら微笑むレイピアは何だか妬ましく思う、何故かって?
全部僕の先を読んで行動しているじゃないか「してやられた」としか言えないよまったく…
「そんななんとも言えない顔しないでよ~こっちが話し出しづらくなるじゃないのさぁ、
話すけどね! 」
あ、話してくれるんだ…
「さっきのはええとぉ、なんというか…世を忍ぶ仮の姿?」
いやいやそれは流石にダマされないって、
「仮の姿があんなに目立ちそうな姿なわけ無いでしょ?」
痛いツッコミだったのか少し考え事をするように俯くと
「あ、あれに気付いたのかーー! まさか新作のぎ、ぎりーすーつに気づくとは大したものだよハッハッハ!」
とこんな感じなのでいまいち話が前に進まない。
「ギリースーツって言えてないよレイピア、それにギリースーツは透明になるように作られたわけじゃないよあくまで迷彩とか狙撃手が使うものだけどレイピアって暗殺家業でもして」「無いよ!!」
とのツッコミを入れたところで一旦落ち着いてみる…
「はぁ、もう一回説明するとね? 実は私は…
うーん、やっぱり説明しづらいなぁ…
普通じゃないって言えば正解? 専門的な言い方が分からないや。」
僕にもあんまりピンとこないからふたりとも噛み合わなくなる気がしてきた、
「えっと…詳しいことは言えないけど私には秘密があるの」「秘密?」
「秘密があるってことくらいは言っていいかなって」「随分と曖昧な答えだね」
それでは説明にすらなっていない気がするのだけれど…
「秘密の姿…うーんまぁ、秘密を持った少し「みすてりあす」な女の子の方が男の子好きでしょ?」
それはあんまりレイピアには似合わないと思うし、ミステリアスの言い方もぎこちないけど、
レイピアはカタカナ語苦手なの?
「秘密の姿ねぇ…蒼いアレがひみつの姿…」
僕もイメージとしてはこう…炎みたいに見えたから焼き芋とか焼けたら便利だなぁ…なんてごめん冗談
「別にあの姿だから何かできるってわけじゃないの、
私は「失敗作」だったみたいであんまり良くは思われなかった、「そういうもの」だって最初に言っておきたくて、もしかしたらこの秘密のことで涼くんに迷惑掛けちゃったら…悪いから
これが理由で私だけで無くて君に迷惑が掛かりそうになったら君からそっと離れて自分で解決するから
これから不束者ですが出来ればどうかご贔屓に、もしよければお試し期間が過ぎても…なんて」
半分ほど諦めているような顔をして微笑みながら此方に手を伸ばすのはよしてくれ、
そこにどんな理由がどんな利害があったとしても僕を無条件に信じてくれようとしてくれる人を
僕にほほえみかけてくれる人を疑ってかかる様な大人じみたことはまだ僕には出来ない。
「レイピアにはとある秘密があるんだね分かった、それだけならそれでいいよ」
言い難いことなら今はそれでも構わない。別にそれが制御できなくて突然吹き出して部屋を火事にするとかそんなものなら別だけど僕は適当だからね。
「え、いいの!? 」「あ、家出中だから家の人から匿ってって言うのは難しいかもしれないけど出来る限り僕は干渉しない方向でお願いね?」
僕ははにかみながらレイピアにそう言うとレイピアは少し腑に落ちないとばかりに首を傾げたが本当は僕も同じ気分だった。
互いに相手の腹を探れないまま喫茶店での午後は過ぎてゆく、
この後少しだけでは済まされず大分話し込んでしまったが僕もレイピアもこの話題には触れなかった。
願わくばいつまでもマスターが時折やって来るお客さんを接客をしつつコップを磨く音や、かなり年季の入っているであろうレコードから奏でられる何だかわからないジャズ系の曲のんびりと聞いていたかった。

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